明日の法律家講座 バックナンバー
明日の法律家講座 東京校第315回
2022年5月21日(土)実施
「湖東記念病院事件」から学ぶ~供述弱者の冤罪を防ぐために~
講師プロフィール
小出 将則 氏(一宮(いちみや)むすび心療内科院長)
1992年4月信州大学医学部入学。1998年卒業。名古屋第二赤十字病院で研修後、いくつかの病院で精神科・心療内科医として勤務。2014年、出身地の愛知県で一宮むすび心療内科開業。精神保健指定医・精神科専門医。労働衛生コンサルタント資格を有し、名古屋市や東海理化(株)などの産業医活動も行う。
2017年、滋賀の冤罪事件「湖東記念病院事件」で、殺人罪で服役中だった元看護助手西山美香さんの獄中精神鑑定を実施。
講師からのメッセージ
皆さん、初めまして。愛知県一宮市で心療内科を開業している小出です。プロフィールに記したように、法学部出身で新聞記者経験のある精神科医という異色の経歴です。ご縁があり、5年前、滋賀の冤罪事件被害女性の精神鑑定を行いました。「運よく」再審の扉が開き、2年前、無罪の確定判決が下りました。
今回、これもご縁で「明日の法律家講座」でお話しさせていただく機会を得たことをうれしく、また誇りに思います。テーマは「湖東記念病院事件」。冤罪被害者の西山美香さん(42)は軽度知的障害・発達障害(ADHD)がある「供述弱者」です。こうした精神の疾患を抱えた人の触法行為が多いことはなかなか世間には知らされず、捜査の上でも配慮のないのが現状です。その中には西山さんのような冤罪被害も一定程度含まれています。
警察官はもちろんの事、法をしっかり学んだはずの検察官や裁判官でさえ、故意にあるいは気づかずに彼らの人権を蹂躙することのある点に、われわれは自覚的であることが必要と考えます。
今回の講演では獄中鑑定の経過を伝えることで、将来、必ず供述弱者と法的に関わるであろう皆さんのリーガル・マインドの向上に役立てていただければと考えています。