明日の法律家講座 東京校第337回

2024年2月3日(土)実施

タックスローヤーの業務と使命
~企業や税理士の信頼に応えるために ~

 講師プロフィール

瀧谷 耕二氏
(弁護士、「鳥飼総合法律事務所」所属)

瀧谷 耕二氏

兵庫県出身。兵庫県立神戸高等学校、神戸大学法学部卒業
2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)
2011年7月~2015年7月まで国税不服審判官
2014年11月公認会計士試験合格
2015年8月に鳥飼総合法律事務所に入所、パートナー就任
税務争訟、税務調査対応、各種の税務相談、事業承継、タックスプランニング、税理士賠償事件を中心に業務を行っている。

講師からのメッセージ  

 日本では税務を専門とする弁護士は多くありません。寧ろ、税務については殆ど手を出さない弁護士の方が多いと思います。これは、税務の専門性が高く、生半可な知識では手を出しにくいことに加えて、税務についてはその専門職である税理士がいるため、税務については税理士に任せるべきと考えている弁護士が多いからだと思います。また、クライアントも税務については税理士に相談をするものという理解をしていることが多く、大手企業でも税務について弁護士に相談をすることは多くありません。税務訴訟については弁護士が必要となりますが、税務訴訟の件数はかなり限られていますし、その中で納税者が勝訴できる事案ということになると更に限られます。そのため、税務が弁護士にとって魅力的な市場かというと、残念ながらそういう訳ではありません。しかし、弁護士が税務を行う意義があるのか?と問われれば、私は躊躇なく「YES」と答えます。税務の問題は、税法の解釈と前提となる法律行為の解釈及び事実の認定に帰着しますが、いずれについても法曹である弁護士が力を発揮できる領域です。例えば、税務調査は、税理士の先生が対応されることが一般的であり、それで十分であることも多いのですが、取引の法的性質が問題となったり、通達などで明らかにされていない税法の解釈が問題となったり、税額が大きく不服申し立ても視野に入れた対応が必要となるような場合には、税務に通じた弁護士が対応した方がよいと考えています。また、企業が新しい事業を行おうとする場合にその事業に伴う税務上の取扱いを検討するというような場面でも、税務に通じた弁護士に優位性があると考えています。難解な条文が多い上に、毎年改正されることもあって、税務について専門性を身につけることは容易ではないのですが、やりがいもあって面白い業務だと思いますので、ご興味がある方は、是非、税務の世界にも目を向けてみてください。