私が司法書士を目指すことにした理由・想い
理系出身で勤務先ではデジタル機器の開発業務などを担当していました。しかし、健康上の理由から開発業務から契約業務に転換しました。専門書や社内外のセミナーを活用したり、契約書作成や契約交渉などの実務を経験したりすることで知識・スキルを身に付けてきたつもりですが、業務転換後10年ほど経過して、会社の法務部と対等な立場で話をするにはバックボーンとなる法律の専門資格が必要だと考えるようになりました。どのような専門資格がよいのか検討した結果、弁護士のような前提資格が不要で、企業法務にも活躍できる司法書士がよいのではと考えました。ただ、司法書士が何をやるのか知らないも同然で、それほど深く考えて決めたわけではありませんでした。
受験勉強中に私なりに工夫したこと
受講していた講座の担当講師から「原則と例外を理解していることが重要」と教えていただいたことを受け、原則と例外の区別を特に意識しました。テキストや模試の解説などを読む際に、原則の部分には赤のアンダーラインを、例外の部分には青のアンダーラインをそれぞれ引いて違いをわかるようにしました。
受験回数が増えるにつれ、テキスト読み込みといったインプット学習は結果に結びつかず自分に合わないと感じるようになり、過去問や答練の問題を解くというアウトプット学習に重きを置くようになりました。実際に模試の点数が上がってきたので自分にはアウトプット学習の方が向いていたと思います。
憲法と刑法はそれほど苦労したことはなく、会社法と商業登記法は理系的な構成のためか理解しやすかったのですが、民法、不動産登記法、民事訴訟法は知識不足と解答肢判断ミスが多かったので模擬試験や本試験でよい結果を出せず苦労しました。この3教科については過去問や答練の問題を繰り返しテキストで確認してとにかく学習漏れのないようしました。
伊藤塾のこの講座が良かった
<択一式>
北谷馨講師の「択一直前総整理講座(現在は択一クイックマスター総整理講座)」は、一問一答によるアウトプット学習と図表中心に整理されたコンテンツによるインプット学習を一度にできるので、フルタイム勤務で時間のない私にとってはとても有効でした。試験当日には必ずテキストを持参して試験開始ギリギリまで読んでいました。中でも会社法・商業登記法・午前マイナー科目・午後マイナー科目については、必要な論点がコンパクトに網羅されているので秀逸でした。
民法と不動産登記法についてはB+ランクの問題も解答できるようにしないと基準点を超えないことを実感してきたので、宇津木卓磨講師の「択一実戦力養成答練」を受講しました。解説に図表が多く用いられているのでB+ランクの知識整理に役立ちました。
<記述式>
記述式問題の対策として、山村拓也講師の「記述式答案構成力養成答練」を受講しました。解答のうえで何に注意すべきか、答案構成をどう組み立てるのかなどを具体的に指導いただけたので、自分なりの解法パターンを早目に確立することができました。なりより「答案構成は可視化するための手段だ」と気づけたことが大きかったです。質の高い答練の問題を何度も解くことにより、記述式問題の論点が見えてくるようになりました。
感謝している方へのメッセージ
8年間も勉強のために相当な時間を使わせてもらったので、家族にはとても感謝しております。一方で、親が法律の勉強をしている姿を子どもに見せられたおかげなのか、子どもは大学の法学部に進学しました。受験は家族に対して良い影響ももたらしたのかなと少し気が楽になりました。
受験開始時の勤務先の上司の方からも、受験を応援していただきました。その方は、同時期に独学で行政書士を受験して一発合格されるような優秀な方でした。なかなか合格できず心苦しかったのですが、やっと胸を張って合格報告できます。
伊藤塾各講師へのメッセージ
入門講座でお世話になった担当講師は、講義でいつも「苦しければ最高」とおっしゃっていました。受験というあえて苦しい道を選んで後悔したこともありましたが、合格してようやくこの言葉の意味が少し分かったような気がします。
関信敏講師が、入門講座のクラスマネージャーを務めていらっしゃいました。受講生の兄貴分という感じで気さくに質問に答えていただきました。当時の様子を今も覚えていらっしゃって嬉しかったです。「民法改正」向上委員会の動画は、改正民法の知識整理に本当に役に立ちました。
山村講師は、伊藤塾ではじめてお会いした講師の方で、2度の「記述式答案構成力養成答練」でお世話になりました。講義で発せられる厳しいコメントは自分の弱点を突くものばかりでしたので、聴くたびに「すみません」と反省していました。そのおかげで丁寧にやらなければいけないと自戒することができました。
学習中の方やこれから司法書士試験を目指す方へのメッセージ
巷では「司法書士試験の合格には3000時間必要」と言われています。私はフルタイム勤務だったので勉強時間は平均して1日1.5時間くらいでした。単純計算すると8年間で4380時間となります。このように数字で振り返れば合格までに8年要したことは妥当だと今は納得しています。しかし、受験中はそんなふうに冷静に考えることができず「いつになったら合格できるんだろう?」と常に不安を抱えていました。
司法書士試験は科目が多くて範囲が広くかつ深いところも問われるので、どうしても時間を掛けて丁寧に勉強することが避けられないです。でも、丁寧に勉強した時間だけ実力が付きます。「合格までには時間が掛かって当然」と肯定的に受け止めて丁寧に勉強を続ければ必ずブレイクスルーの時期が来ますので、その時期が来ることを信じて、大変だと思いますが勉強する時間を確保してください。
他の法律資格に向けた受験経験が活きたこと
5回目の受験が不合格に終わって気持ちがどん底だったので、状況を打開するために司法書士試験受講生向けに用意された伊藤塾の「行政書士スピードマスター講座」を受講して行政書士試験に挑戦することにしました。司法書士試験で蓄積した民法・憲法・商法の知識と平林勉講師・丸山茂雄講師のわかりやすくかつ的確な解説のおかげで一発合格することができました。この成功体験で自信を取り戻し萎えていた司法書士受験の再挑戦の気持ちを復活させることができました。
こういう体験があるので、他の法律資格を受験することはプラスになると思います。
受験中で最も長く使用した教材です。直前期前は見開き左の一問一答を解き、直前期は見開き右のコンテンツを何度も読みました。何をすればよいのか悩んだときはこれに手を伸ばし、まさに御守りのような存在でした。
受験勉強で使い切ったボールペンです。「このボールペンを使い切ったときには合格できる」と自分に言い聞かせることでモチベーションを上げていました。