米山 祥子さん(50代)

◆受験回数 5回
◆主な受講講座
中上級講座》スタンダードコース、アドバンスコース、演習コース
直前対策講座》全国公開模擬試験

私が司法書士を目指すことにした理由・想い

私の娘は知的障害で自閉傾向もあり、発語もできず食事・入浴・排泄など生活全般に介助が必要です。娘が幼い時分は、私は実母の支援を受けつつ早朝から深夜まで働いておりましたが、娘は思春期にさしかかる頃から次第に多動、自傷、噛みつく、刃物を振り回すなどの他、傷が目立つようになり、祖母の手には負えず、私は25年務めた県庁を辞め当時単身赴任中だった夫のもと岡山で消費生活センターの相談員となりました。
消費生活センターでは様々な相談が寄せられますが、紛争解決のためには特商法などの特別法に加え民法などの般法の知識も不可欠でした。私は法律知識が不十分だったため、大学院に通い勉強をはじめましたが、久しぶりの学びとなった法律は、実務と直結するためかとても新鮮でした。大学院卒業後も実務に近いことをもっと学びたいと思ったことが司法書士の勉強をはじめるきっかけでした。

受験勉強中に私なりに工夫したこと

2019年受験では自分の中ではかなりがんばったと自負していたため、かなり落ち込みました。そんな時、何気なく伊藤塾のホームページを閲覧し、「アドバンス講座」の宇津木卓磨講師が「皆さんは司法書士のスタート地点で改正民法という武器を身につけることができるのです。一緒に勉強しましょう」と呼びかけているのを目にして目が覚める思いでした。お尻に火が付いた私たち受験生こそ、改正民法を覚えるのは早いかもしれないと思いはじめ、早速同講座を申し込みました。講師のポジティブな考え方に触発され、まずは立法趣旨からと内田貴氏の「民法改正」の新書を読み返し、有斐閣双書のSシリーズをざっくり読みアウトラインをつかむようにしました。
7月末からアドバンス講座が始まり、配信予定スケジュールに遅れないように視聴するよう心がけました。「アドバンス講座」のテキストは入門講座よりコンパクトで図表中心ですが、適宜説明文もあり大変読みやすいものでした。特に民法は項目ごとに改正のポイントが簡潔にまとめられており、私たち旧民法に馴染んだベテラン受験生にとっては、変更なのか判例の明文化なのか一目でわかるように工夫されていました。講座の中で宇津木講師はとにかくテキストを読み込み、繰り返すことを力説されており、重要なもの、対比となるもの、暗記の必要なものと色分けして講義中に「マークしましょう」と呼びかけていました。色分けのマークは理解を助けるとともに、学習の絞り込みの必要な直前期にとても有効でした。
私は12月上旬には過去問(『伊藤塾セレクション』)とテキストの読み込みを1周し、「今年はいいペース」と満足していましたが、カウンセリングで宇津木講師に現況報告したところ、「もう少しペースを上げることが必要、最低でも3回、できれば6回は回すこと」とのアドバイスを受けました。そこで、実際にペースを上げたところ、3回目が終了した4月頃急激に成績が伸び、6回目を終えたときちょうど延期された本試験でした。また、カウンセリングで北谷講師に午後の時間不足について相談したところ、午後択一の回答方法について、「肢の組み合わせで正解を導くことができた場合は、他の肢は検討せず思いきってマークすること」とのアドバイスをいただきました。択一肢全部を検討すると正答率は上がりますが、記述を解く時間は確実に少なくなります。結果、本試験では午後択一で若干ミスはあったものの、択一は1時間10分で終了し午前31点、午後28点。貴重な午後の時間の節約もできました。
 
記述については、「アドバンス記述式演習」でこれまで苦手としていた項目(不登法では名変、特に合併がからむもの、商登法では役員の任期、特に事業年度の変更がからむもの)を徹底的に練習しました。ある程度解けるようになった後は、宇津木講師のアドバイスにしたがい、過去の答練等で多くの問題に触れ、誤りをメモしました。それでも記述はなかなか点数が安定しなかったため試験1ヶ月前に自分のメモを見直し、間違いパターンを分析・図式化して本試験2日前に読み返して覚え込むようにしました。
また、山村拓也講師が「近年の本試験の注意事項等は似通っているので暗記するぐらい読み込むこと」と講義中でおっしゃっていたので、本試験1週間前に問題用紙のある初受験(平成28年)から4年分を実際に解き、注意事項や問題文の指示を丹念に読み込みました。本試験当日は問題文中の「移転の方法によらずに」という注意事項を読んだときは平成29年の出題を連想し、うれしくて緊張がほぐれました。また、解く順序について不登法と商登法どちらを先にするか本試験直前まで悩みましたが、本試験問題を実際に解き、不登法は近年複数の設問に分けて回答させる傾向があること、どちらの難易度が高いかは年によって異なることに気づきました。そこで、最初に不登法を解き、ウっとつまったときはすぐ商登法に移ると決め、本試験当日は不登法1欄2欄→商登法1欄と2欄の登記の事由・登記できない事項→不登法残り→商登法残りの順に解きました。商登法の登記できない事項まで概ね答案を仕上げた後は不登法の問題文に向きあう余裕が生まれ、答案の骨格をつかむことはできました。結果、ミスはあったものの、不登法17.5点、商登法26.0点で、直前まで枠ずれに悩まされ続けた私にとっては高得点でした。

伊藤塾のこの講座が良かった

初級講座は他校でしたが、当時は合格したいという切実な思いもあまりなく、所定の講義を受講することが精いっぱいで過去問学習も不十分なまま、あっという間に本試験1回目を迎えました。結果、択一は午前午後とも21問、記述は白紙、午後は3時間かけて択一を解くという悲惨な状況でした。そう落ち込むこともなく試験会場付近でパンフレットを配布されたのが伊藤塾との出会いです。
パンフレットの内容もさることながら、消費生活相談員としては失格ですが、「8月末まで受講料50%オフ」というキャッチコピーに目がいき、「スタンダードコース」をお試し受講しました。講師の説明もわかりやすいし、何よりテキストがすばらしいと感じ、すぐに申し込みました。
「択一合格エッセンス講座」では北谷馨講師の丁寧な説明とパワポ資料にも理解を助けられ、今まで苦手としていた会社法なども理解できるようになりました。付録でついてくる入門講座テキストもすばらしく、判例の引用のされ方など唐突感がなく、普通の法律書を読むようにすっと入ってくる感じで最後までお気に入りのテキストでした。
勉強スタート時は兼業受験生でしたが、娘の送迎を一手に引き受けていた夫の職場が配置転換となり、私は退職を余儀なくされました。専業受験生となったわけですが、やりがいのある職場を失った虚しさの方が大きく、前職との関連ではじめた消費者教育の活動の方に生きがいを見出していました。また、夫の両親、私の父が相次ぎ病の末亡くなったこと、娘が向精神薬の副作用で歩行困難となったこと、交通事故が続いたこともあり、なかなか受験勉強に集中できませんでした。2回目の受験では午前23問午後18問と足踏みし、翌年、中級コースの教材をようやくやり終え、過去問(合格ゾーン)をはじめて1周した3回目の受験で午前26問、午後25問、記述の不登法22点、商登法3点(時間切れ記述基準点割れ)とようやく択一基準点には到達しましたが、合格点には遠く及びませんでした。
4回目の受験となった2019年の受験は改正前民法最後の年となったため、さすがに焦りました。他校の講座を受講しお気に入りの伊藤塾の「択一合格エッセンス講座」と基礎講座のテキストも併用し、毎日自習室で勉強しました。しかし、結果的に手を広げすぎたためか効率が悪くなり、模試等の成績も基準点付近止まりで思うように伸びませんでした。4回目の受験結果は、午前26問、午後23問、記述の不登法14点、商登法14点(記述基準点割れ)で、またしても合格点には及びませんでした。

感謝している方へのメッセージ

私がこれまで勉強を続けられたのは、叱咤の連続ながら娘の介護を引き受けてくれた夫、常に励まし続けてくれた母や息子など家族の支えのおかげと感謝しております。
また、娘が生まれて苦労は多かったですが、娘のおかげで強くなり、他人の痛みもわかるようになれた気がします。私たち障害者をかかえる家族にとって、親なき後この子らをどのように支援していくかということは喫緊の課題です。解決方法のひとつとして、親の会でも成年後見制度について勉強会をよく開催していますが、私たち家族にとっては、財産管理より身上監護に期待するところが大きいです。私は、将来成年後見人になったら、家族のかわりになることはできないものの、そのような家族の思いに寄り添い、利用者のベスト・インタレストは何かということを常に考えながら活動したいと思います

伊藤塾各講師へのメッセージ

宇津木卓磨講師「アドバンス講座」
第一印象は髪型のせいかヤンチャなイメージでしたが、講義はビシっとされていたので、一言も聞き逃さないようメモするようにしました。最後に本日の講義のまとめをされるのも、比較的スピーディな授業のおさらいができて良かったです。また、2019年の合格発表直後に宇津木講師が講義中にお話された受験生仲間の話が当時の私の立場と似ているように感じられ、質問コーナーにくやしい思いを吐露したときは心温まる励ましのメッセージを賜わり、心から感謝するとともに講師にお返事をいただけたことがうれしくて、何度も読み返しました。
 
山村拓也講師「記述式答案構成力養成答練」
答案構成のイロハから最終講義に至るまで毎回の授業に気づきと発見があり、すばらしかったです。講義中の山村講師の問いに対しては、いったんウェブを止めて回答するよう心がけ、教室の臨場感を味わいました。最近のトピックを取り入れた作問も、劇的なストーリー展開に毎回ワクワクしました。
 
質問コーナーの回答スタッフの皆様
頻繁に利用させていただきましたが、解説書のように丁寧でわかりやすい説明で納得するまで何度も回答いただき感謝です。全国の受験生からの質問でかなりの数だと思われますが、返信も早いので本当にありがたかったです。

学習中の方やこれから司法書士試験を目指す方へのメッセージ

年齢を経るにつれ仕事、子育て、介護、地域活動など家庭や社会に果たすべき役割も重くなり、受験勉強に費やすことができる時間も総じて短くなりがちです。記憶力も衰えも気になるところですが、苦労して覚えたことはそう簡単に忘れるものではありません。コツコツ努力を重ねれば順番は必ず回ってきます。あきらめずに勉強を続けてください。

アドバンステキストにパワポ資料などすべて貼付し情報の一元化に努めました。

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