仕事と学習を両立!論文答練のTWO-WAY(双方向)添削・Web講義を活用しました。
H . Y さん(31歳)
早稲田大学社会科学部卒業
【合格校】
・京都大学法科大学院(既修)
・同志社大学法科大学院(既修・半額免除学生)
【受講講座】
入門講座基礎生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、論文直前答練、パーソナル・ステートメント対策講座、面接対策講座
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。
はじめに
私は大学卒業以来、8年間行政書士の業務に従事してきた経験上、弁護士の職域に抵触しかねない事案(交通事故相談や事業承継など)が散見されました。しかし、現状では私が対応すれば非弁行為に該当することから、このような事案に対しては提携先の弁護士を紹介してきました。仮に、私自身がこのような事案に対応できれば、迅速な事件処理によって顧客満足度の向上につながると考え、弁護士資格を取得する必要性を痛感しました。
そこで、司法試験に挑戦しようと思い、2006年春に伊藤塾へ入塾しました。伊藤塾を選択した理由は、他の受験指導校と比較して質問制度が充実していること、Web講義の体制が充実していて、空き時間を有効活用すれば仕事と学習の両立が可能だと判断したことにあります。
私がとった勉強方法
はじめにお断り申し上げますが、私は旧司法試験の不合格を機に、法科大学院の受験へと進路変更いたしました。そこで、これから学習を開始される方には以下の情報はお役に立たない部分があるかと存じますので、その点はご容赦くださればと思います。
適性試験対策について
あくまでも旧司法試験に合格するつもりで学習してきましたので、オープンスクールで大学入試センターの過去問を解答したことを除き、一切の学習経験がありませんでした。結果的に、2010年6月初旬から本試験までのわずか2週間という限られた時間で過去問を解答するにとどまりました。
しかし、これから学習を始められる皆様は、このような無謀な学習は絶対に避けるべきです。伊藤塾の講座や模試の日程を一つの目安にして、早めに学習を始めて出題パターンに慣れることや、短時間で要領よく解答するために時間配分の方法を感覚として身につけることが望ましいと考えます。
法律科目試験対策について
(1) 基礎的な法知識・法理論の修得について
まず、基礎マスターの段階では、全体像の把握と定義・趣旨・要件の正確な記憶に努め、些末な知識にとらわれずに、「理解して覚える」ことを反復しました。もっとも、記憶した知識を正しく使いこなさなければ意味がありませんので、基礎マスター対応ゼミを積極的に活用して、誤った解釈をしていないかを検証するとともに、ゼミ長の質問に対して簡潔明瞭に答えることを通じて、理解した内容を正確に表現できているかを確認することに努めました。これらの経験が、後の論文対策の足掛かりになったと考えております。
(2) 実践段階の学習について
正確かつ明瞭に問題文の問いに答えるべく、「問題研究」を用いて問題文を分析して、「出題のねらい」(時系列や金額などの数字がいかなる意義を有するかなど)を把握し、答案例を検討して「問題提起の表現方法」、「接続詞の活用方法」、「わかりやすい論証の流れ」を何度も書き、分野別にまとめノート作成して表現力を養ってきました。さらに、「問題研究」で学習した成果を検証するために、ベーシック論文答練(現:プロブレムメソッド論文マスター答練)を受講して、客観的な評価と自己の学習内容との間のズレを修正し、添削内容をその後の学習内容にフィードバックするようにしました。
また、コンプリート論文答練とハイレベル論文答練(現:コンプリート論文答練に含まれています)では、問題文に記載されている雑多な事実関係の中から、問いに答えるために必要な事実のみを抽出して、根拠規定に当てはめて評価することを徹底して練習しました。さらに、未知の論点が出題された場合には根拠規定の定義趣旨に遡って考えるという、現場思考力を養うことに努めました。ともあれ、伊藤塾の各論文答練のTWO-WAY添削は、作成した答案を一方的に添削してもらうだけではなく、答案作成時の疑問点や質問事項を答案に記入しておけば、添削時に回答してくださるので、問題文の曲解や知識の不正確な理解を矯正することができる点で、非常に有益でした。
この点、同志社大学法科大学院の入試問題は、決して難問が出題されるものではなく、どの科目も定義・趣旨・要件・規範定立を正確に表現し、問題文の事例にあてはめることができれば、十分合格可能だと思います。但し、形式面では旧司法試験とは異なり、小問の出題数が多い科目(商法など)がありますから、短時間で答案構成をして簡潔に答案作成することが求められます。そこで、Aランク、B+ランクの論点は、長い論証と短い論証の2種類をストックしておき、問題数や問題文の内容に応じて、臨機応変に論述量を加減するための準備が必要だと思います。
また、学習方法とは別の話ですが、旧司法試験の解答用紙とは異なり、同志社大学法科大学院入試の解答用紙は問題番号ごとに色分けされておらず、使用する解答用紙を取り違えた際も訂正には応じてもらえません。したがって、つまらないミスで1年を棒に振ることがないように、ヒューマンエラーを防ぐための工夫が必要です。
パーソナル・ステートメント対策について
パーソナル・ステートメント対策講座を受講して添削を受けました。この点、私は対策講座を受講するまでは、パーソナル・ステートメントに対しては、誤った認識を持っておりました。すなわち、問われる内容とは、志望動機や理想の法曹像、法曹に要求される適性などを論じることが中心で、どの学校でも内容が共通しているから、法律論文と同様にストックを作って使い回しをすればよいと考えていました。しかし、実際には学校によって問われている内容や作成文字数が微妙に異なっており、下書きの使い回しは不可能です。
そこで、独り善がりな文章作成を避けるべく、対策講座を受講するか、ロースクール・カウンセリングを受けて、添削してもらう機会を多く持つべきであると考えます。
学部成績について
大学在学中は、司法試験の受験は考えておりませんでしたので、学者が書いた基本書を読んでも内容が理解できず、大学の講義についていくだけでも大変でした。ましてや、法的三段論法に基づいた論証や要件事実とそれ以外の事実を峻別して答案を作成することには、考えも及びませんでした。しかし、「試験対策講座」(弘文堂)を丁寧に読み込み、巻末の論証カードに記載されている論証の流れを正確に記憶して定期試験の答案に再現した結果、首席で卒業することができました。
ということは、「入門講義テキスト」や「論証パターン集」の内容を正確に理解して、論文マスター(現:プロブレムメソッド論文マスター)や各種論文答練で習得した法的三段論法を学部試験に反映できるようにすれば、おのずと好成績を修めることが可能ではないかと思います。したがって、伊藤塾で普段学習している内容がそのまま学部試験対策に応用できると思います。
志望校の選択について
私は旧司法試験受験生であったがゆえに、行政法の学習経験は皆無に等しい状況でしたから、今年は何処の法科大学院も合格するわけがないと思っていました。どうせ受験するなら、関西の私立上位校と称される法科大学院の問題を通じて、翌年度の受験学習の予行演習にすればよいと思い、同志社大学法科大学院を受験した次第です。
仮に、本腰を入れて法科大学院進学を検討するのであれば、新司法試験合格実績が良い学校であり、かつ奨学金制度や学費免除制度が充実していることを選択基準として、物心両面が満たされた状況下で学習に専念できる環境が整備されている学校を志望校に選択したと思います。
直前期と試験当日
まず、行政法の学習経験が浅かったこともあり、直前期は入試過去問の演習と基礎マスター行政法のインターネット受講を並行して行い、定義・趣旨・規範定立を正確に論証できるようにすることに努めました。その他の科目については、論点落としを防止するために、図表やイラストを描いて芋づる式に論点を抽出するための練習に努めました。
次に、試験当日は、「論証パターン集」で論証の流れを確認することに徹しました。
伊藤塾の学習と仕事との両立、学習フォローについて
季節によって仕事の繁閑の差が激しく、日程表通りに受講することはままなりませんでした。そこで、遅れを取り戻すために、Web講義の2倍速機能を利用して、通常の半分の時間で受講し、残りの半分の時間を復習にあてることによって、ライブ講義やビデオ講義よりも倍の進度で学習することに努めました。社会人の方や必修科目の履修で手一杯な学生の方であっても、1日、1週間、1ヶ月単位のライフスタイルを見直せば、必ず空き時間が見つかるはずですから、空き時間を有効活用すれば意外と学習時間を確保できるものです。
入学前準備として
現在、予備試験対策講座を受講しておりますので、法科大学院で学習する最低限の内容を先取りして学習するとともに、新司法試験短答式問題の過去問を解答して、短答式試験対策もある程度は見切りをつけておきたいと考えております。なぜなら、入学後は法科大学院の授業に忙殺されて受験学習ができないという事態を避けるためには、早めに準備するに越したことはないからです。
また、行政法の学習の絶対量が不足していますので、判例百選と基礎マスターテキストを読み込んで、体系的な理解を磐石にしたいと思います。
合格後に必要なこと
現に行政書士事務所を経営しており、経営ノウハウを応用できると思いますから、合格後は就職せずに自営業で弁護士業務に従事するつもりです。昨今では、弁護士志望者の就職難が社会問題になっています。しかし、私に言わせてみれば、弁護士という自由業の道を選択したにも関わらず、就職して安定した生活を求めることは、単なる「甘え」に過ぎないというのが私の持論です。そもそも、法律事務所に就職できない、あるいは独立しても仕事が無いのは、単に「経営ビジョンが未確立」ゆえに、漫然と就職活動や事務所を経営しているか、「営業活動に消極的」であるかのどちらかが原因だと思います。そこで、合格後は専門分野の法律実務に磨きをかけるだけでなく、独自のビジネスモデルを確立するなどの営業努力が必須だと思います。
最後に
旧司法試験の不合格が確定してから行政法を学習したものですから、入試までの時間が限られており、今年は法科大学院の合格は不可能ではないかと思っておりました。しかし、定義・趣旨・規範定立を正確に記憶して、正確に論証することを優先して行ったことが功を奏し、合格できたと思います。そこで、「問題研究」を反復して学習し、答練を数多く受講して学習の絶対量を増やせば、道は開けるものだと思います。
ともあれ、法科大学院の合格は単なる通過点に過ぎませんので、これまで通り愚直に答案を書きまくり、インプットとアウトプットの底上げを図って、新司法試験の合格につなげたいと思います。
(2010年10月・記)