京都大学法科大学院の中のトップ集団の一員になり、切磋琢磨しながら、最終目標である司法試験合格を目指していきたい
Y.Nさん
◆ 学部成績/【GPA】:3.76(秀: 優: 良: 可=29:53:33:12)
◆ 受講講座/ 司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、予備試験 全国公開 短答模試、法科大学院別 法律科目論文模試など
◆ 合格校/ 京都大学法科大学院(既修・飛び級)
はじめに
大学における法律の授業というのは、理論的な解説に終始することが多く、実学的な側面が乏しいものである。もちろん、法律学習の基礎においては理論の理解が大事であることは間違いないが、それだけでは将来法曹となったときに通用しないのではないかとの不安と焦燥感を抱えたまま大学の授業を受けていた。そんな時ふと手にした京都大学法科大学院のパンフレットを見たところ、同校の掲げるカリキュラムポリシーのうち、「理論と実学の架橋」という理念に深い共感と憧れを抱いた。ここで学べば、困っている人から本当に必要とされるような、実践的な法曹になれるとの期待を抱き、京都大学法科大学院を志望するに至った。
私がとった勉強方法
(1)基礎的な法知識・法理論の修得について
法律の基礎学習において、何よりもまず大事なのは、できるだけ早く一度学習を終わらせることであると思う。法律において効果的かつ効率的な学習とは、1 つひとつの分野や法律を確実に理解し、覚えてから次に進むのではなく、1 つの分野をなんとなく理解したら次に進むことであると言える。始めは理解があやふやだった分野も、一通りの学習を終え、再び戻ってきた頃には、不思議と理解が進んでいるものである。とはいえ、伊藤塾に入塾し、基礎マスターの学習を始めたばかりの人は、まずその量の多さに圧倒されると思う。もちろん私もそんな内の一人であった。やっとの思いで憲法の受講を終えると、その倍くらいの量のある民法の学習が始まり、うんざりしたこともあった。しかし、それは基礎マスターの受講がいわば「作業」のようになってしまっており、新しいことを学ぶ楽しさを忘れていたからであったことにある時気づいた私は、それ以降の受講をスムーズに進めることができた。
(2)京都大学法科大学院について
法科大学院入試においては、適性試験と論文試験の2 つの試験を受けることになるが、適性試験に関しては、私ははじめからそこそこ点数が取れていたので、特にこれといった対策は取らなかったため、論文試験の対策に照準を当てて述べていくこととする。
論文学習における重要なポイントは、基礎マスターに時間をかけすぎないことであると思う。論文の学習の前提として基礎マスターを受講することになるが、膨大な知識量が与えられるため、一度受講しただけでは自分の中で消化しきるのは難しく、そのまま論文マスターを受講してもついていけないのではないかとの不安から、基礎マスターテキストを熟読し、完全に理解してから論文マスターに進もうとする人も多いと思われる。しかし、論文マスターを受講してみるとわかるが、基礎マスターテキストに掲載されている知識には論文用の知識とその他の知識(例えば短答用の知識)があり、論文が書けるようになるには論文用の知識を論文を書くことに特化した形で修得していくことが必要なのであ
る。もちろん、短答用の知識が論文で問われることもあるにはあるが、論文頻出のテーマと比べると重要度は下がるし、論文学習の初期においてはあまり気にしなくてよいように思う。したがって、基礎マスターを一通り受講した後は、そのまま論文マスターの受講を進め、知識の不足を感じたときに基礎マスターテキストに立ち戻る、というサイクルが、論文学習においては効率的であると思う。
早期卒業・飛び級合格について
京都大学法科大学院の入試では、飛び級枠と一般枠(通常の4 年生が受験する枠)との間で、科目数の差こそあれ、各科目の問題自体は共通している。つまり、自分よりも1 年多く法律を学習をしてきた先輩たちと同じレベルの学力を、1 年少ない学習期間で身につけなければならないということになる。学習量の絶対的な差を埋めるべく、私はとにかく論文の場数をこなすことと1 つの教材を究めることを心がけた。具体的には、市販の演習書などには手を付けず、論文マスターのテキストだけをひたすら復習し続けた。他の塾生の方が論文マスターをどれくらい復習したのかはわからないが、その何倍も復習した自信がある。そして、復習の際には答案例を読むだけではなく、時間を計り、自分の手を動かして答案を書き上げることにしていた。実際に手を動かして答案を書き上げることは大変な労力であったが、その分、自分の実力は着実に上がっていったように思う。
最後に
法科大学院修了後の司法試験合格率が大きく二極化している昨今において、毎年トップクラスの合格率を維持している京都大学法科大学院に入学できたことは、素直に嬉しく思う。しかし、その喜びが油断や慢心とならないよう、入学前から気を引き締めていきたいと思う。先日、将棋界では羽生さんが永世七冠の称号を獲得するという前人未到の偉業を成し遂げていたが、将棋界で活躍し続ける秘訣について、「集団において常にトップでいる必要はないが、トップ集団に居続けることは非常に大事なのではないか。その集団にいる中で切磋琢磨して前に進んでいくことを心がけてきたつもりだ。」この言葉は、法科大学院合格後の私の胸に深く突き刺さった。
私もこの言葉に倣い、京都大学法科大学院の中のトップ集団の一員になり、切磋琢磨しながら、最終目標である司法試験合格を目指していきたいと思う。