法科大学院入試においては、とにかく「周りが書けることを確実に書く」ことが重要
◆学部成績
GPA 3.92 / S:A:B:C=55.5:63.5:10:0
◆受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、 予備試験全国公開短答模試など
◆合格校
早稲田大学法科大学院(既修)全額免除
はじめに
私は、中学時代に検察庁を訪問したことがきっかけで法律に興味を持ち、大学受験の際にもほとんど迷うことなく法学部への進学を決めました。しかし、入学してからは漠然と司法試験の受験を考えてはいたものの、具体的にどうすればよいのかわからず焦りを感じていました。また、自分には司法試験という壁は高すぎるのではないかという不安もありました。そんな大学1年の冬に、私は友人のすすめで伊藤塾に入塾しました。早速大学のテスト対策も兼ねて講義を聴いてみると、大学の授業では今ひとつハッキリしなかった条文同士の関係性が明快に語られていて、霧が晴れる思いがしました。何より嬉しかったのは、体系マスターで最初に各法律の大枠を知ることで、それぞれの法律に興味が湧いてきて、学習のモチベーションになったことです。大学では1年次の授業が民法と憲法しかないので、体系マスターで最初に法律全体を見渡せることは、塾で学ぶ大きなメリットだと思います。加えて、信頼できる入門講義テキストがもらえることも嬉しいポイントです。青春の日々をともにし、蛍光ペンと講義メモで彩られた入門講義テキストは私の大切な相棒です。
私の勉強方法
【基礎学習について】
私は、入門講義テキストの読み込みを中心に勉強しました。具体的には、B-やCランクの部分を飛ばしつつ丁寧に読みこみ、判例のマーク部分や定義は声に出して記憶の定着に努めました。また、論点に差しかかったときには論文ナビゲートテキストで論証を確認しました。覚えるべき定義や論証は、紙の取替えが可能なメモ帳に書き写し、毎朝声に出して暗記しました。読む作業は形に残らないため不安が多いのですが、答案を書く際に定義などがすらすら書けると、日頃の読み込みの成果を感じて安心できました。入門講義テキストと並んで復習に非常に役立ったのが、論文ナビゲートテキストです。覚えるべきことが非常にシンプルに凝縮されており、一目で全体を把握できるのが魅力です。もちろん入門講義テキストにのみ載っている記述もあるので、その部分を書き写して補強しつつ、外出先での勉強の主力に据えました。一方、答案を書く回数は明らかに不足していたと思います。論文マスターでは、答案を何度も書くことの重要性を繰り返し指導されたのですが、怠け者な私はアウトプットの場数を踏むことなく、読み込みというインプットの作業ばかり行っていました。答案を書くことは、率直に言って面倒なことです。手も頭も疲れるし、「わからない自分」と向き合うのは気が滅入ります。私はその面倒なことから逃げてしまったせいで、知識の定着がだいぶ遅れたと思っています。
【法科大学院対策について】
早稲田大学法科大学院を受験するにあたって、私は同法科大学院に特化した対策は行いませんでした。入塾当初から予備試験合格に向けた勉強を行っていて、メリハリをつけて基礎を固めるという方法論を信じていたので、法科大学院も普段の勉強をしていれば合格するだろうという確信がありました。そして試験科目と試験時間だけを確認して会場に向かい、学んだことをできるだけ正確に書いたところ、無事に全額免除合格することができました。過去問には目を通していませんが、聞かれていることはどれも基礎マスターテキストや論文ナビゲートテキストで何度も読んだ事項であり、特に答えに窮することはありませんでした。このように私は、法科大学院の受験を決めてからも普段の勉強を続けていたのですが、さすがに直前期(7月中旬~8月下旬)には試験科目の5科目にしぼって知識の抜けや漏れを補強する作業を行いました。その際に非常に役に立ったのが、論文ナビゲートテキストです。この教材は単に論証を載せた冊子というだけでなく、論文を書くために必要な知識だけを素早く確認できる優れものです。また、A5というコンパクトさから持ち運びに便利なのが特長です。私は中部地方に住んでいて、受験前日に東京のホテルに泊まるため、東京まで1人で持って行ける量の教材しか直前に確認できません。そこで私は論文ナビゲートテキストを5冊持って行き、ホテルのベッドに引っくり返って読み耽ることにしました。読むだけで全範囲が確認できるためストレスがなく、非常に功を奏しました。試験問題は基本的な事項を問うものばかりで難儀しませんでしたが、私は何と時間配分に失敗して、民法の最後の小問を丸ごと書かずに残してしまうというしくじりをやりました。また、刑法の1行問題も時間が足りず、場合分けに漏れができてしまいました。それでも全額免除合格できたということは、法科大学院入試においてはとにかく「周りが書けることを確実に書く」ことが重要なのだと思います。特に2日目の訴訟法はかなり基本的な問題だったので、基礎知識の定着具合で差がついたと思います。
おわりに
私は、伊藤塾に入塾しなければ法科大学院に入学することはできなかったと思います。各ユニットの長さで自分の勉強時間が明確になること、1冊ずつ信頼できるテキストがもらえること、そして講師の方々の「伝えよう」という熱心な姿勢は、怠け者な私の尻を叩き続けてくれました。私は在学中の予備試験合格を目指し、結果的にそれが叶わず法科大学院に進学することになったのですが、この状況はあくまでもプラスに考えようと思っています。法科大学院という特殊な場で、多くの貴重な出会いができるはずです。また、明るくて頑張り屋な名古屋大学の後輩の皆さんにも、予備試験・法科大学院入試ともに自分を信じて頑張ってほしいと思います。