学習に遅れても、カウンセリング制度を利用し、自身の悩みや勉強計画を聞いてもらい、アドバイスをもらっていました

特待生合格

伊藤 迅希さん:青山学院大学法学部4年 ◆学部成績/[GPA]:2.97 S(A+、優以上):A(優):B(良):C(可)=33:43:24 ◆受講講座/司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練など

合格校/慶應義塾大学法科大学院 (既修)、早稲田大学法科大学院(既修)、中央大学法科大学院(既修)半額免除

はじめに

私が法律家を将来像に置くようになったのは、高校の大学受験の時でした。当時の私は、大学受験に必要な科目である小論文の科目で家庭教師をつけていましたが、その先生が大学で教鞭をとっており、現在の司法試験の制度や法科大学院制度について教えてもらう機会がありました。その頃から、漠然と法曹になりたいなと考えるようになり、大学入学後の授業を受講していく中で刑事法にとても興味をそそられ、夏頃には検察官に就きたいと考えるようになりました。そこで、大学1年生の夏休み期間中に受験指導校を利用しようと親と相談し、合格実績やネームバリュー、大学からの通いやすさを考慮して伊藤塾に通塾することを決めました。

私の勉強法

基礎学習について

入塾当初は講義の多さと難しさに圧倒され、基礎マスター、論文マスターについていくことができませんでした。このままではいけないと感じ、法科大学院入試をゴールに設定して、そこから逆算して勉強計画を立てることからはじめました。そして、この勉強スケジュールに沿って、遅れた分の基礎マスター、論文マスターの修得に励みました。基礎マスターでは、各科目の基本となる原則や条文をもとに、条文番号が出されたとき、その定義を引き出せるように何回も繰り返して理解できるように努めました。何回も周回していくうちに最初はなかなか理解できない部分も理解できるようになり、修得のスピードも速くなっていくことを実感することができました。論文マスターでは、予習段階の答案構成がボロボロだったので、復習に重点をおいて、最終的に問題研究のテキストで答案構成が8割正解できることを目標にして何回も復習していました。もちろん答案構成だけでは答案を書けるようにはならないため、週に2、3回起案の時間を設けるようにしていました。基礎マスターの修得と問題研究のテキストで8割くらいとれるようになったのは大学4年生の7月頃でした。このほかにも、伊藤塾のカウンセリングで自身の悩みや勉強計画を聞いてもらい、アドバイスももらっていました。また、大学から近い位置にあるため、自習室を頻繁に利用し、集中して勉強することができました。学習教材についても、「周りに手を広げず、一冊を完璧にする」ことが大事だと伊藤塾長はじめ講師の方がおっしゃっていたので、伊藤塾の教材以外には手を付けませんでした

法科大学院対策について

どの法科大学院でも、試験で問われることは基本的なものであるから、周りが書いていることは絶対に落とさず、きちんと時間内に書ききることを目標にしました。法科大学院の過去問に手を付けるまでは、問題研究と論ナビの修得に励んでいました。
問題研究は量、質ともにとても高いものがあり、何回もやればやるほど味が染みるように新たな気づきが発見され、自身の知識修得につなげることができました。論ナビについても、本番で論証を思い出す時間をなくし、迅速に対応できるように電車の中や、大学の休み時間を使って覚えるようにしていました。そしてこの二つに加えて、苦手分野や複雑なところは基礎マスターに立ち返り、講師のメモに目を通したり、判例をもう一度見返し勉強していました。常に「基礎基本を盤石なものにする」という目標のもと、学習していました。
法科大学院の受験1ヶ月前には、受験する学校の過去問を検討していました。過去問検討を通じて、その学校で出題される分野の偏りや出題形式をさらい、試験本番中に落ち着いて取り組めるように研究していました。以下について受験した学校の特徴や注意点を書き記します。
【中央大学法科大学院】
基本的な問題が多い中でも、数年に一度の割合でトリッキーで一見では取り組みにくい問題が出題されている場合があるので、そのような問題が出題される場合でも落ち着いて、基本知識を答案に反映できるように、日々の学習に多角的視点を持ちながら勉強すると良いと思います。刑法では30行制限があるにもかかわらず、論点はたくさんあるのでどこを重点的に書き、他を認定で済ますかがとても重要だと思います。試験本番では、緊張もあり、その中で取捨選択を行うのは難しいため、30行制限の刑法についてはキチンと対策することが重要だと思います。
【早稲田大学法科大学院】
刑法の一行問題や民法の点数が120点であることからも、とても癖が強い試験形式だと思います。もっとも、基本的知識をキチンと答案に反映することができれば合格することは可能なので変に身構える必要もないと思います。時間が十分に確保された試験形態なので、理解の習熟度が採点者に一番伝わる試験だと思います。なので、理解のない丸暗記や論証貼付けは厳禁であると思います。民法では、相続分野も出題可能性が高く、近年では出題されていないため来年以降は注意が必要だと思います。
【慶應義塾大学法科大学院】
私立の中で一番難関であり、問題のレベルも他校と比べて一段階上だと感じました。この学校は、司法試験や予備試験の出題形式を参考していると思われるため、予備試験の過去問を検討することで慶應の対策にもつながります。また、時間が非常にタイトであるため、論証の正確性や答案でのメリハリを示すことが重要です。憲法・民法・刑法では、難易度がかなり高いですが、基本的事項をおさえ、答案に反映できていれば合格点に到達するので心配ないと思います。試験本番では、科目によって失敗してしまうこともありますが、それはほかの人も同じであり、引きずらずに切り替えることがとても大事だと全て受験した後に感じました。

おわりに

勉強をしていく中で、もう自分はダメだと感じ、いっそ法曹の道を断念してしまおうかとメンタルがやられてしまうことが何回もありました。特に、4年生の6月頃はひどく、一週間も勉強できない時期もありました。そんな中でも、いままで自分に投資してくれた親の支援や温かさを感じ、このまま中途半端で終わらせたくないと感じ、自分のなかでケジメをつける形で受験を何とか乗り切ることができました。こんな自分を支えてくれた親や恵まれた環境に感謝の気持ちでいっぱいです。
この先、まだまだ試験への道のりは遠いけれど一歩ずつ着実にゴールへの道のりを歩んでゆき、最終合格につなげていくつもりです。これから法科大学院を受験する方々には、勉強のみならず自身の体調やメンタルについても気を付けてほしいです。つらいときは周りの人や友達に相談して悩みの丈を打ち明けるだけでもずいぶん変わると思います。
また、大学の学部成績やステートメントにも注意を向けることがとても大事だと思います。東大法科大学院では、学部成績をとても重視していますし、その他の法科大学院でも20%の割合で点数化されるので、稼げるところではキチンと稼いでおくのがとても賢明であると自身の経験もふまえて感じました。