未修入学でも、法科大学院進学後も司法試験合格を目指して伊藤塾で学習を継続することを見越して入塾。

早期卒業・飛び入学

R.Kさん:明治大学法学部3年 ◆学部成績/[GPA]:3.75 S(A+、優以上):A(優):B(良):C(可)=35:43:17:4 ◆受講講座/司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、法科大学院別過去問分析講義、法科大学院別法律科目論文模試など

合格校/慶應義塾大学法科大学院(未修)早期卒業

はじめに

私が法曹をめざしたきっかけは、大学3年生の春ごろ、弁護士として働いている高校の先輩方と知り合って職務のお話を伺ったことに加え、強く私に法曹をすすめられたことでした。私のなかで大学受験を失敗した印象が強かったなか、自分を知る大人から法曹をすすめられたことで、一念発起して頑張ろうと強く思えたことが要因だと思います。私は、幸運にも早期卒業資格を与えられる水準の学業成績を修めていました。ただし、法科大学院の受験を決意したのは大学3年生の春頃ですから、早期卒業して法科大学院を受験する場合、既修者コースを受けられるほど法律を勉強する時間は残されていませんでした。そこで、法科大学院は未修者コースで受験すると決め、その準備のために伊藤塾で小論文対策を行いました。伊藤塾で勉強することを選んだ理由は、司法試験指導の良い評判を聞いていたため、法科大学院入学後も司法試験合格を目指して伊藤塾で学習を継続することを見越したためでした。

私の勉強法

基礎学習について

法科大学院の小論文試験では、リード文が与えられ、読解を求める設問と意見論述を求める設問が出るものが多いです。そのため、文章読解力を試験レベルに引き上げる訓練と意見を説得的に論じる訓練とをしました。①文章読解の練習は、受験する法科大学院の過去問を利用することがよいでしょう。過去問のリード文が著作権等の事情で公開されていない場合は、大学入試の現代文の論説文でも代用になるかとは思います。私が受験した慶應義塾大学法科大学院の問題に関しては後述しますが、一般的には、読解を求める設問は、リード文の全体(年度によってはひとまとまりの意味段落)の要約を要求しています。そのため、リード文全体を意味段落ごとに区切る練習、ひとつの意味段落内における各形式段落の役割(例えば、筆者の主張が述べられる段落、新情報は全くないが前段落の内容を補強する段落、具体例を導入した段落など)を見極める練習を行いました。②意見論述の訓練は、自分の論文を他者に評価して悪かった点・改善できる要素を分析しないと行えません。
そこで私がおすすめするのは、伊藤塾の小論文模試です。伊藤塾の小論文模試では、複数回の模試を受験し、全ての回で自分の論文に修正やアドバイスを付していただけます。論文の評価が低かったとしても、自分の着想が悪かったのか、着想自体は及第点でも説明が説得でなかったのか、それぞれどのような内容・表現で修正すれば評価が見込めるかなどを指摘してもらえるため、効率的に意見論述の練習ができます。
法科大学院の入試で欠かせないのが、いわゆるパーソナル・ステートメントです。学校によって書類の名称が異なる場合もありますが、相当する文書を提出しなければならない学校がほとんどです。未修者コースの入試では、既修者コースの入試よりも配点が高い場合があるので、特に力を入れる必要があります。私は、伊藤塾のパーソナル・ステートメント対策講座を利用して、自己分析の取り組みを学ぶとともに、過去の合格者がどのような将来の法曹としてのビジョンを持っていたのかを知ることで私自身のビジョンを洗練させることができました。パーソナル・ステートメントの準備段階としては、自分の経験(過去)と自分の将来像(未来)を法曹という軸でどのように一本に繋げて表現するかを検討することが重要だと思います。

法科大学院対策について

慶應義塾大学法科大学院の未修者コースの小論文試験は、年度によりますが一万数千文字ほどのリード文がひとつ与えられ、ふたつの設問が出題されます。設問1ではリード文の要約を基礎として傍線部に関する問いに応えます。設問2では、リード文の主題に関連して、問題提起されるますので、その問題に対する見解を論述します。
まずはこのリード文を読解する必要があるので、一万数千文字ほどの論説文をご自身の時間配分の中で精読し終える訓練が必要です。精読に割く時間は、個人差が大きくある要素なのであくまで私見ですが、20から30分くらいがおすすめです。
次に、設問1の対策は、単なる要約ではないことに注意が必要です。その理由は、設問の出題形式は「傍線部とはどういうことか」「傍線部とあるがなぜか」といった本文の傍線部について答えさせるものだからです。例年は、設問に適切にこたえるためには、文章全体の要約を作成し、設問文に応じて微修正するという2つの作業が必要です。ただし、過去には設問文に応じた修正によって要約の半分を削除する必要がある出題もありました。(私が知る出題例では、文章全体ではなく、ある意味段落のみの要約を要求した者がありました。)そのため、まず設問文から要約すべき範囲がリード文全体なのか一部なのかを検討して、その後に要約を作り、最後に設問文に合わせて修正するという3つの手順を採ることもおすすめです。ただし、設問1に使用可能な時間は、設問2のための時間を残しておくべきなので、構成を練る段階・下書き段階・答案用紙へ清書する段階のそれぞれを合わせて長くとも60分程度だと思います。ご自身の時間配分を検討し、その時間内で答案を仕上げられる手順を見つけるように準備することをおすすめします。
設問2の対策は、原則は基礎学習としての意見論述の訓練を地道に行うことです。試験当日にどのような出題内容であっても、自分の持っている様々な分野の知識や様々な機会の記憶を呼び起こして、採点官に対して納得感を与えられる主張が展開できるかが勝負です。そのためには、設問2にある程度の時間を残しておくことが重要です。設問2では、構成を練る段階で多くの時間を費やすべきです。そのため、読解と意見論述とどちらが得意かにもよりますが、設問2に80分程度を割り当てることがよいのではないかと思います。

早期卒業・飛び入学合格について

早期卒業者として法科大学院を受験するメリットは、早く法科大学院の勉強へステップアップし、法曹として働くチャンスが近くなることだと思います。 早期卒業者として受験するデメリットも僅かながらあると思います。それは、受験までの準備時間が減ることです。私は未修者コースを受験したため、既修者コースのような法律科目のような学習の負担は有りませんでした。しかし、学生の間だからこそ経験できる事柄も多く、学生の一年間があることによって、より法曹として働くための基礎となる経験(社会的活動など)を積むことができるかもしれません。その経験が、強力なパーソナル・ステートメントの基礎になるかもしれません。もっとも、そのような経験は、法科大学院へ進学後もしくは司法試験合格後や就職後に得ればよいという考えにも賛同できます。早期卒業それ自体の難易度は、どの大学でどのような授業を受けているかで様々ですから、早期卒業によって得られる一年間の短縮と、早期卒業によって失う一年間と、どちらがご自身の法曹としてのビジョンに利益をもたらすかを検討して判断することをおすすめします

おわりに

法科大学院を未修者コースで受験する際には、法律科目を受験する必要はありません。しかし、法科大学院の入学試験ですから、法曹になる素質があるかどうかを判断できるような出題がなされています。そのため、直接的な対策と感じられないとしても、受験生のうちから、法的思考を身に着けようと心がけることが重要だと思います。法的思考は、法律の領域のみでしか効果のない思考法ではありません。事物を検討するいかなる時でも、法的思考によって、より論理的・説得的に見解を導くことができるようになります。そのため、法的思考を修得することは、法科大学院入試の小論文の意見論述の対策になるのです。余裕がある方でしたら、伊藤塾の法学入門などの講義を受講すれば、間違いなく未修者コースの受験者でもためになると思います。
私が未修者として合格をいただいたあと、日に日に実感が増していることは、既修者コースの人々に追いつけ追い越せの覚悟が必要なのだということです。当然ですが、既修者コースの合格者は、法律科目で合格を得るほどには学習が進んでいます。彼らとの立ち位置の「差」を感じながら、法律の学習を進めなければならないという試練があります。しかし、未修者コースは、入試の時点で法律に不慣れであっても法曹としての道を目指せるまたとないチャンスだと思います。私自身、来春からその道を歩むことを楽しみにしています。私の体験談が、未修者コースを受験される方々の背中を少しでも押すことができたなら幸いです。