予備試験短答式試験にまさかの不合格。ただそこから入試に間に合ったのは、予備試験に向けた勉強があったから
栗原 健さん:東京大学法学部4年
◆学部成績/[GPA]: 2.9 S(A+、優以上):A(優):B(良):C(可)=6:24:68:34 ◆受講講座/司法試験入門講座(本科生)+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練
合格校/東京大学法科大学院(既修)
はじめに
私が法律家、特に検事を志したのは高校生の時です。幼い頃は、正義のために働く警察官に憧れていたものの、高校の時に警察官は逮捕した人を検事に送るらしいということを知りました。警察官に憧れていたのは彼らが正義を体現しているように思えたからだったのですが、警察官は逮捕された人の処分を決めることには関われないということは役割分担の面からやむを得ないこととは理解しつつも、一度関わった人間の処遇を決める過程たる裁判に関われないことには納得ができないように思えたので、逮捕した人を引き受け、起訴するかどうかを決め、裁判で闘っていく検事という職業に興味を持つに至りました。そして、大学に入り、法律を勉強すると、これがなんとも面白いと思える学問であったため、この法律を使って社会の役に立つような検事への志望を固めるに至りました。そして、大学二年生のときに進学選択で法学部を選択するとともに伊藤塾への入塾を決め、学習を開始しました。
私の勉強法
基礎学習について
私は、大学二年生のときに呉講師のクラスで学習を開始しましたが、当初は大学の授業に加え、体育会水泳部での活動、長期インターンでの活動にも取組んでいたため、基礎マスターは「ただ聴くだけ」の状態で、論文マスターには着手していない状態でした。しかし、ケガの影響で部活を早く引退し、長期インターンの活動も一段落したことで、大学三年生のときの11月から本腰を入れ始めました。具体的には、当時の講義では民事訴訟法をやっていたので、Web受講で翌日に必ず聞くようにし、計3時間の1回の講義に対し、約2時間の復習時間を取って学習をしたことにより、一通り講座を聴き終えただけで、自力で論文問題を解くことができるほどの力がつきました。他の教科についてもこれと並行して基礎マスターと論文マスターを聴き直し、教科書を通読し、論証パターンを正確に理解し、そして記憶していくことを繰り返すようにしました。そして、大学の定期試験では、確かに教授によっては通説的な立場とは違う説を貫く方もいたため苦労する面もありましたが、基本的には上記のような学習によって十分に対応することができました。むしろ、伊藤塾での学習の習熟度合いを測るいい機会であったように思います。
法科大学院対策について
私は、8月の短答式試験の試験日の時点で、絶対に予備試験に最終合格できるという謎の自信を持っていたため、当初は法科大学院の受験は検討していませんでした。しかし、9月初旬の短答式試験の合格発表で僅か数点足りずに落ちたことが発覚し、慌てて法科大学院の出願を考え始めたところ、東京大学法科大学院はまだ出願が可能だったため、10月初旬に受験することを決めました。出願から試験までは約1ヶ月しかなく、また東京大学法科大学院の出題には目立った分野の偏りがなかったため、得意であった刑事訴訟法と民事訴訟法以外の五科目の全ての基礎マスターと論文マスターの全てを聴き直すことで、どんな論点も落とさないよう、「穴がない状態」で本番を迎えられるように努め、同時に、公開されている五年分の過去問を本番よろしく集中して解くようにすることで対策をしました。基本的に、法科大学院で問われる力は、予備試験で必要とされる能力の範囲内にあると感じるので、伊藤塾の講座を100%自分のものにするような努力をしている人にとっては、法科大学院入試はそう難しくないように感じます。そのため、法科大学院入試だからといって身構えることはなく、受講講座の内容を余すことなく吸収するように淡々と努力を積み重ね、直前期に過去問に一定数取組むことで時間感覚を掴み、文字数制限に対応できるようにすれば十分だと思います(東京大学法科大学院入試では1科目の解答用紙は両面30字×40行のマス目ありなのです)。
おわりに
私にとって法科大学院入試は、短答式試験に落ちてしまったことから仕方なく出願したものでした。しかし、入試日は決まっているため、いったんはその日に向けて勉強を仕上げざるをえないことで、弛みがちな試験直後の時期であっても日々の学習に緊張感が生まれてハリのある日々を送ることができ、また満遍なく全教科の復習ができたという点で、短答式試験で落ちてしまったことは悪いことだけではなかったのかなと思います。さらに、ひとつに決まる答えがない形の試験に向けて学習を進めていく上で、同じ道を志す他者と意見をぶつけ合い、相対化し、磨いていくことの大切さを感じるようになったため、今では法科大学院での授業が楽しみでもあります。法曹という目標に向け、法学という面白い学問を勉強できる喜びを感じながら今後も頑張っていきたいと思います。