早く実務に出るため、より多くの経験知を得るため予備試験ルートを選びました。
A.Aさん(23歳)
大阪大学法学部4年在学中
【合格校】
・東京大学法科大学院(既修)
【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、論文直前答練、短答答練、口述模試 など ※プロフィールは、2011年合格時点のものです。
はじめに
私は、理不尽な世の中で困っている人を助けたいという思いを昔から抱いており、幼い頃から弁護士になろうと決意していました。ところが高校時代、部活に熱中しすぎて受験勉強の開始が遅れ、大学入試に失敗しました。この反省から、大学入学直後から司法試験の勉強を開始しようと思っていたところ、「理念のある法律家を育てたい」という伊藤塾長の熱い言葉に心を打たれ、迷うことなく伊藤塾の門を叩きました。
私がとった勉強方法
基礎的な法知識・法理論の修得について
私は、法律の勉強と同じくらい、あるいはそれ以上に、大学時代に沢山の経験知を得ることが大切だと考えていたため、バスケサークル、交渉サークル、住み込みのアルバイト、リーダーシップ研修合宿等、積極的に様々な活動に参加していました。そのため、机に向かえる時間はあまり多くなく、移動時間や大学の授業の空コマなどの隙間時間を徹底的に利用して伊藤塾の講義の復習をしました。また、どうすれば最小限の時間で最大限の効果を発揮できるか考えたところ、短期合格者が口を揃えて言う、同じ教材を何度も繰り返す、という勉強法を私もとることにしました。そこで、私は基礎マスターテキストのみをインプットの教材にし、大学の授業で指定された教科書なども、継続して使えそうにないものは一切購入しませんでした。大学の期末試験前には、教授の支持する学説をとらなければ点がつかないとの噂が流れましたがおそらくデマでしょう。私は一貫して伊藤塾の教材を使い続けていましたが、学部成績の8割以上はS又はAの評価を受け、CやFは1つもありませんでした。知識の量を増やすのではなく、知識の精度を高めるのがなにより大切だと思います。
短答式試験対策について
私は昨年旧司法試験を受験し、その直前期に憲法、民法、刑法の基礎マスターテキストをかなり読み込んでいたので、予備試験の短答式試験も憲法、民法、刑法は、司法試験短答式試験の過去出題された問題をひととおり解き、基礎マスターテキストを見直したくらいで済ませました。商法、訴訟法についてはかなり勉強が遅れていたため、3月から短答マスターを受講し、試験直前まで過去問と合わせてとにかく読み込みました。
論文式試験について
昨年の秋からコンプリート論文答練の進度に沿って、こつこつ問題研究を解きなおしていました。短答式試験から論文式試験までの間はピッチを上げ、論文直前答練の進度に沿って、1日50~100問の答案構成をしました。大量の答案構成を重ねたことで、問題文を読む際に瞬時に論点が頭をよぎるようになりました。
試験当日に私が意識したことは、<1>基礎を正確に表現する、<2>問題文の事実にくらいつく、<3>未知の問題は趣旨から書く、ことです。また、抽象論を長々と書くことは避け、事案に即した簡潔で読みやすい文章を心がけました。
法律実務基礎科目対策について
短答式試験が終わってから法律実務基礎科目の勉強を始めたので、かなり焦っており、法律実務基礎科目答練の出題範囲に沿って要件事実や手続きの流れを頭に詰め込みました。勉強するにつれ、民事実務は民法と民事訴訟法の応用、刑事実務は刑法と刑事訴訟法の応用にすぎないのではないかと思うようになりました。本試験ではA評価を受けましたが、法律実務基礎科目を新しい科目と思わず、他の法律科目と合わせて勉強したのが良かったと思います。ただ、特に要件事実にはかなりの時間を割かざるを得なかったのは事実なので、短答式試験前に最低でも要件事実の問題研究要件事実と紛争類型別要件事実は体得しておくことをおすすめします。
一般教養科目対策について
<1>短答式試験対策について
私は一般教養科目の対策は一切行いませんでした。翌年の司法試験に一発で合格するためには一般教養科目で足を引っ張られようとも、法律科目で挽回するくらいの気概で挑む方がよいと思ったからです。
<2>論文式試験対策について
全く対策をしていなかったことから不安ではありましたが、試験当日は「絶対に気持ちで負けるな!」と自分に言い聞かせて臨みました。
口述試験対策について
私は、大学2・3回生の時に、大学対抗交渉コンペティションに出場した経験があったので、口頭でのやりとりは割と自信がありました。また、伊藤塾の口述模試を受け、一層自信がつきました。そうはいっても試験当日の待合室で順番が呼ばれるまでの緊張感はハンパなく、当日の朝に伊藤塾長からいただいた手紙を何度も読み返すことで精神の安定を図りました。試験が始まってみると、超一流の先生との会話は意外と楽しく、やはり法律の勉強は面白いなと改めて思いました。
法科大学院入試との併願について
予備試験の短答式試験が終わってから適性試験まで2週間しかありませんでした。慌てて過去問集を買いに行き、第1回の適性試験に挑みましたが惨敗しました。予備試験の論文式試験の勉強に集中したかったので、開き直って挑んだ第2回の適性試験は運良くそこそこの点数がとれました。法科大学院も併願される方は早めに適性試験の対策もしておくことが精神的にも良いと思います。
伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて
私は大学1回生の春から伊藤塾に通いましたが、周りの大学生以上にアクティブに様々な活動を行っていました。相手の立場に立つことのできる弁護士になるためには、自分自身が多くの経験知を得ることが不可欠だと考えていたからです。限られた時間の中で集中して勉強する姿勢、隙間時間を利用して勉強する姿勢を身につけることができたのは、早くから伊藤塾に通い始め、志の高い先輩や仲間と出会うことができたからだと思います。
司法試験受験の準備として
予備試験の論文式試験直後からケースメソッド論文マスター、ペースメーカー論文答練を受講し始めました。周りの友人達が私立法科大学院を受験する中、論文式試験に合格しているか分からないにもかかわらず一人孤独に翌年の司法試験対策をするのは葛藤の日々であり、先が見えず不安で眠れない夜もありました。しかし、自分の人生の脚本は自分で描きたいとの信念の下、淡々と司法試験対策を続けました。
合格後を見据えて
モチベーションを高く保つため、私はほぼ毎日、合格後の自分を想像しました。留学して英語や中国語を話している自分、依頼者と向き合っている自分、法廷に立っている自分。弱気になった時も、高い志をもつ人や合格後の自分を考えることで、メラメラと合格したい気持ちが湧いてきました。
最後に
家族、友人、恋人をはじめ、多くの人の支えのおかげで私は予備試験に合格することができました。勉強したくてもできない人がたくさんいる中で、私は、努力できる環境にいることが本当にラッキーだと思っていて、こんなにも恵まれた環境にいるのだから、早く世の中に出て、人や社会の役に立てる弁護士になりたいと思っています。
早く実務に出るため、より多くの経験知を得るため、私は予備試験ルートを選びました。共に予備試験合格を目指しながらも論式文試験で涙を呑んだ友人の分まで、司法試験まであと6カ月間、日本で一番勉強したといえるくらい自分の中でベストを尽くすことをここに誓います。