予備試験合格の勝因は、諦めなかったことに尽きます。

社会人・既卒者

 C さん(31歳)

九州大学法学部卒業
【受講講座】
基礎マスター、論文マスター、予備試験答練パック、予備試験論文直前答練、予備試験ゼミ、予備試験口述模試 など

※プロフィールは、2012年合格時点のものです。


はじめに

伊藤塾に入塾したのは2004年の秋でした。大学の勉強会を通じて、試験範囲の広さに呆然とし、独学は無理だろうと考えました。そこで受験指導校を利用することにし、伊藤塾の基礎マスターを受講しました。伊藤塾を選んだのは、友人から「答練の問題・解説の質が良い」との噂を聞いたからです。もともと答練だけでいいと考えていましたが、受講相談の際、基礎から学んだ方が結局は近道であるとの助言をいただき、基礎マスターから受講することを決めました。基礎マスターから受講したことは正しかったと思います。大学の授業や独学ではまず無理です。 

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

基礎マスターは毎回それなりに理解できる難易度の講義内容だったので、本当に楽しかったです。また、受講後、マークしたテキストを見直すことで、小さな達成感を感じながら、「常識にしましょう」と指摘された知識を確認していました。
 これから基礎マスターを受講される方は、講義の中で講師の方がおっしゃる「常識にしましょう」は、深刻に受け止めましょう。私は受験期間が10年弱になる、いわゆるベテランです。「常識にしましょう」を深刻に受け止めていなかったことを後悔しています。常識にするのとしないのとでは、その後の、例えば過去問検討や論証を練る作業などの捗り方が違います。
 私が基礎マスターを受講した時は、司法試験最終合格に必要な知識の8割を基礎マスターで修得できると言われました。予備試験においては、知識の量としては基礎マスターで十分というのが今の実感です。予備試験合格に必要な知識は、驚くほど少ないです。

短答式試験対策について

2011年度の予備試験は受験せず、1年間は法律の勉強はしていませんでした。その状態で2011年11月より2012年度予備試験の準備をスタートしました。旧司法試験択一試験に合格していたこともあり、憲法・民法・刑法は特別な対策はしていません。私にとって新たな科目である行政法・商法・訴訟法について、答練パックに含まれる短答答練を利用して、司法試験過去問を3回ほど解きました。
 行政法は全体像を掴むのに想定外に時間がかかりました。行政法に馴染みのない方は行政法の入門的な講座を年内に受講したうえで短答の対策を練る方が効率がよいと思います。

論文式試験対策について

答練パックに含まれる予備試験コンプリート論文答練をペースメーカーにしていました。受講形態は在宅受講です。全くわからなかったのでテキストを見ながら答案構成し、その後答案用紙に記入し、提出していました。テキストを見ながら答案構成をすることで、アウトプットに直結する形でインプットできたかなと思います。テキストを見れば答えがそのままあるような出題ではありません。テキストを参照したうえで考えなければならず、ちゃんと思考する機会を確保できます。

法律実務基礎科目対策について

対策としては予備試験コンプリート論文答練を受講しただけです。
 民事科目については、馴染みがないため不安になり、手を広げがちです。しかし、分厚い書籍を使用して、要件事実をたくさん暗記するのは得策ではないと思います。民法の理解を応用しようというスタンスで十分です。その他の手続的な事柄や事実認定についても、民事訴訟法で学ぶ知識で対応可能です。答練の出題を利用して、民法・民事訴訟法の知識で対応できないか検証しつつ、適宜知識を補充していけばよいと思います。また、書き方も添削を利用して修得しましょう。
 刑事科目についても基本的には民事科目で述べたことがあてはまります。特に、添削を利用して、書き方を修得しましょう。ただし、事実認定については十分な準備が必要です。早い段階でインプット講座を利用して基礎知識を修得しておいた方がよいです。
 実務基礎科目は、特殊な知識の有無を試すというよりも、書き方の巧拙を試す科目だと思いました。時間がない有職者の方は注力する価値がある科目です。まずは、基礎知識のインプット講座を受講して、既存の知識が流用できることを実感したうえで対策を考えると効率がよいのではないでしょうか。

一般教養科目対策について

短答式試験は、答練や過去問を解いて、どの分野の問題を選択するかを考えておくべきです。この点、伊藤塾の答練の解説では問題選択の方法まで指導してもらえます。法律科目の得点のみで合格ラインを超えられるので、本格的な対策は不要です。 
 論文式試験対策は、予備試験コンプリート論文答練を受講しただけです。答練とはいいながら、過去問の丁寧な分析、課題文の読み取り方、問いへの答え方などについて、解説・指導をしてもらえました。
 一般教養科目対策は、最小限に抑えることが重要です。伊藤塾の講座を利用して、「相場」を認識しておきましょう。

口述試験対策について

論文式試験合格は予想外だったので、慌てて伊藤塾に連絡し、口述模試の手続きをしました。遠方での受講になることから気乗りしませんでしたが、担当者による「雰囲気を味わっておくのとそうでないのとでは全く違います。」との説得を受け、受講しました。全くその通りでした。
 夏の間の口述対策は、伊藤塾のゼミが中心でした。口頭でのやり取りの練習ができました。また、読んでおくべき書籍の情報を得ることができました。知識の劣化を食い止めることもでき、参加させてもらってありがたかったです。
 口述試験では、問われたことだけに応答することが難しかったです。模試でも本試験でも、質問されてないのに趣旨や理由を口走ってしまいました。

伊藤塾の学習と仕事との両立、学習フォローについて 

地方在住であるため、在宅受講しました。伊藤塾の講座を選んで学習を始めた方は、自分の決断を信じて、途中うまくいかなくても続けてみてください。
 忙しい方は、答練では答案の提出締め切りがフレックスなタイプの講座を選択肢の中にいれるとよいと思います。私の場合、「他の受験生よりも遅れているかもしれないが、とにかく提出は可能だ」という安心感が学習の継続につながりました。

最後に 

勝因は諦めなかったことに尽きます。論文式試験では、憲法の問題に目を疑い、一般教養科目では白紙答案を覚悟しました。そんな程度の準備しかできなかったけれど、会場入口でもらった伊藤塾からの手紙の内容を思い出し、とにかく最後まで書いてきました。
 結局、2011年度予備試験合格者の健闘のおかげで、私は合格できました。諦めなければ良いことがあります。
 口述試験の会場は大学の入学式かと思うくらい、若い人ばかりでした。予備試験は短期合格が可能であることの証拠だろうと思います。受験期間が長い人も、これから始める人も、来年合格するチャンスがあります。試験官が「やめてください」、口述の考査委員が「質問は以上です」というまで諦めないでください。
 来年の司法試験に合格して、予備試験の合格者枠を増やすことができればと思います。私もまだまだ受験生です。一緒に頑張りましょう。