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明日の法律家講座 東京校第175回

2011年1月15日(土)実施
 

アスベスト被害の責任を問う-首都圏建設アスベスト訴訟

【講師】 
水田 敦士 氏(弁護士、「北千住法律事務所」所属)
森 孝博 氏(弁護士、「渋谷共同法律事務所」所属)
他に原告の方2名


講師プロフィール

水田 敦士 氏(弁護士、「北千住法律事務所」所属)

水田 敦士 氏
1975年兵庫県生まれ
広島大学卒業
関西大学法科大学院卒業
2007年 東京弁護士会登録、「北千住法律事務所」入所
  
 

森 孝博 氏(弁護士、「渋谷共同法律事務所」所属)

森 孝博 氏
1982年 神奈川県生まれ
2005年 早稲田大学卒業
2008年 東京弁護士会登録、「渋谷共同法律事務所」入所
 
  
 
 

講師からのメッセージ 

わが国にこれまで輸入されたアスベスト(石綿)約1,000万トンのうち、少なくとも7割以上が建材に使用されたため、建設作業従事者の中に多くの被害者が発生しており、潜在患者を加えれば膨大な数になると予測されています。
アスベスト含有建材を取り扱う過程で大量のアスベスト粉じんに曝露した結果、石綿肺・肺ガン・中皮腫などの重篤なアスベスト関連疾患に罹患し、自らの健康を侵され、命を奪われた建設作業従事者およびその遺族が原告となって、2008年、国と建材メーカーに対して、謝罪と賠償を求めて立ち上がりました。
建設作業従事者のアスベスト被害は、すでにアスベスト粉じん固有の危険性(ガン原性)が明白になっていたのにかかわらず、利潤追求を最優先してアスベスト建材を大量に製造・販売してきた建材メーカーと、それを野放しにしてきた国という構図の中から生じたもので、「最大規模の公害被害」と言われており、その被害者は首都圏にとどまらず、全国に拡がっています。また、建物解体作業等に伴い飛散するアスベスト粉じんに曝露した市民の中からも被害者が発生しており、今後も多くの被害者が発生することが確実なものとして予測されています。
そのため、原告たちは、自らの個別の権利救済だけではなく、仲間である建設作業従事者をはじめとする全ての被害者の被害救済を求めるとともに、今後の被害を予防するために国と建材メーカーによる新たな政策の確立を目指しています。
公害事件には、「被害に始まり、被害に終わる」という格言があります。
被害の深刻さが出発点であり、同時に訴訟、そして政治による全面解決は、その被害を見据えてこそ実現することができます。
是非、生存原告の方の訴えや、遺族原告の方の訴えを聞いてください。