明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第177回

2011年4月9日(土)実施
 

成年後見選挙権訴訟について~個人の尊厳を求めて

【講師】 
杉浦ひとみ氏(弁護士、「東京アドヴォカシー法律事務所」所属)
小嶋麻友美氏(「東京新聞」社会部記者)


講師プロフィール

杉浦ひとみ氏(弁護士、「東京アドヴォカシー法律事務所」所属)

杉浦ひとみ氏
愛知県岡崎市出身 中央大学法学部法律学科卒
1999年弁護士登録 東京アドヴォカシー法律事務所
東京弁護士会所属
日弁連人権擁護委員会副委員長、同子ども権利委員会幹事、同犯罪被害者委員会委員など知的障害者施設オンブズマン、児童擁護施設第三者委員
触法少年研究会、セカンドチャンス!(少年院出身者の自助活動NPO),性教育研究会,コスタリカに学ぶ会事務局長,平和省プロジェクトJUMP運営委員
扱っている事件~東京大空襲訴訟、七生養護学校事件、成年後見選挙権回復訴訟
 
  
 

小嶋麻友美氏(「東京新聞」社会部記者)

愛知県名古屋市出身。
1999年中日新聞社入社。支局を経て、2005年から東京本社(東京新聞)社会部。
2006年から司法記者クラブで検察、裁判を担当。

講師からのメッセージ 

杉浦ひとみ氏

子どものことに関わりたくて弁護士になりました。
子どもが覚えることは、すべて大人が教えるものです。
だから、理不尽に傷つく子どもを作りたくないと思ったからです。 
でも弁護士になってみると、自分のせいではないのに、
納得できない扱いを受けて、自分の価値自体を見失わされてしまうこともあることを知りました。
今回提訴した、成年後見をつけた方の選挙権剥奪の問題も同じです。
人は誰もが、平等に尊厳があるのであり、ひとり一人主権者です。
どのような能力を持つ人の投ずる一票に価値があって、どのような人の一票に価値がないのか。その一票が選挙の公正さまで害してしまうというのか。
このような重大な権利を奪う側に、説得力ある説明をしてもらいたいものです。
この裁判は私たちひとり一人の尊厳性を問い直す裁判であり、だからこそ負けられない裁判だと思っています。
 

小嶋麻友美氏

一昨年の政権交代を経て、「一票を投じる権利」に関心が高まっています。
そんな中、成年被後見人の問題は、すっかり忘れられていた権利侵害だと感じます。
民主主義の根本である選挙権について、あらためて考える機会になれば。
そんな思いで、訴訟の行方を見守るつもりです。