明日の法律家講座 バックナンバー
明日の法律家講座 東京校第179回
2011年6月11日(土)実施
当初3/12(土)実施予定でしたが、3/11(金)東北地方太平洋沖地震の影響により、6/11(土)へ延期となりました。
新分野の法律業務を開拓する面白さ
【講師】
黒田健二氏(弁護士、「黒田法律事務所」所長)
講師プロフィール
黒田健二氏(弁護士、「黒田法律事務所」所長)
講師からのメッセージ
私が1995年に開設した黒田法律事務所は、これまで中国分野及び知的財産分野を主要な業務として発展してきた法律事務所です。いずれも司法試験受験当時から、将来の専門分野にと考えてきたものです。
思い起こせば、私が中国に留学したのは1989年の天安門事件直後。その当時は政情不安などもあり、中国分野を専門にと考える弁護士はごくわずかでした。1995年代以降の対中投資ブームを経て、今や中国は世界第2位のGDP、日本にとって第一位の貿易相手国となりました。当初は投資が中心であった法律業務も、中国国内の取引や現地子会社の人事管理、ニセ物対策など大きく広がっています。
また、知的財産分野について見れば、1992年当時はソフトウェアの違法コピー率が90%を超えており、知的財産権に対する意識は低い状況でした。ところが、2000年前後から、特許侵害訴訟で会社の命運を左右するほどの巨額の賠償金額が認められるようになり、2002年2月の知的財産立国宣言が発表されると、知的財産分野の法律業務が注目を集めました。
今後、新たな法律分野を専門にと考える方も増えると思われます。
確かに、新たな法律分野への挑戦には、不安やリスクを伴います。私が両分野の業務を始めた当初は、現在では書籍等で常識のように語られているトラブル事例も、初めて体験するものばかりでした。特に中国分野については、日本との文化の違いに戸惑うこともありました。
しかし、社会の動きに伴って生じる多様な問題を解決し、顧客企業の発展に貢献できたことは、私にとって何よりの喜びです。また、現在も複雑化する様々な問題に取り組み、日々新たな発見を得ることに、やりがいを感じています。
私の体験を通じ、皆様と新分野の法律業務を開拓することの面白さを分かち合うことができれば幸いです。また、今後伸びゆく新分野について、皆様と積極的に意見交換できればと考えます。