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明日の法律家講座 東京校第266回

2017年12月9日(土)実施

弁護士過疎地域での業務と課題~自分の経験から皆さま方に伝えたいこと

【講師】 大窪 和久 氏(弁護士、「桜丘法律事務所」所属)
 


講師プロフィール

大窪 和久 氏(弁護士、「桜丘法律事務所」所属)

大窪 和久 氏
千葉県流山市出身
早稲田大学法学部卒業
2003年   弁護士登録(56期)、「桜丘法律事務所」入所
2005年  日弁連の弁護士過疎地派遣事業により公設事務所「紋別ひまわり基金法律事務所」(北海道紋別市)所長就任
2008年  公設事務所「奄美ひまわり基金法律事務所」(鹿児島県奄美市)所長就任
2009年  公設事務所「末広町法律事務所」(鹿児島県奄美市)所長就任
2011年弁護士法人道北法律事務所に入所。北海道名寄市市内の名寄事務所所長就任
2016年  「桜丘法律事務所」復帰。公設事務所・法テラスの赴任を目指す新人弁護士の指導に当たる。

 

講師からのメッセージ 

私は2005年から2016年までの11年間の間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を続けてきました。弁護士過疎地域とは、裁判所の支部があっても、その支部管轄内に弁護士が一人もいないか、もしくは弁護士がいてもその数が非常に少ない地域のことをいいます。北海道紋別市で3年間、鹿児島県奄美市で3年間公設事務所(日本弁護士連合会が弁護士過疎対策のために各地に設立した事務所)の所長をつとめたあと、再度北海道に戻り名寄市にて弁護士法人の支店長として5年間在任しました。
 
日本の北でも南でも弁護士過疎地域で仕事をしてきて実感したのは、弁護士への敷居の高さです。そもそも自分が抱えるトラブルについてそれが法律問題になるのかどうかわからない、まして法律事務所にいくことなど想像もしていない、という人がほとんどでした。そのため法律事務所がどのようなことをしているかを分かってもらうように取り組むとともに、市役所や関係機関との連携を図る、地域の活動にも積極的に取り組むなど法律事務所へのアクセスを少しでも良くするための活動を各地で続けてきました。
 
司法改革による弁護士増員および公設事務所事業などの取り組みにより、弁護士過疎の問題は数的には解消されつつあります。しかし弁護士がどのように地域に求められる活動を行うかということはなお課題として残されています。これから弁護士を目指す皆様に、弁護士過疎地域の実情と課題について理解していただければと思います。