明日の法律家講座 東京校第334回

2023年11月11日(土)実施

法曹を目指す皆さんへ
~最高裁判事等の経験を踏まえて~

 講師プロフィール

宮崎 裕子氏
(弁護士、「長島・大野・常松法律事務所」顧問、元最高裁判事)

宮崎 裕子氏

東京学芸大学附属高等学校、東京大学法学部卒業。司法研修所31期。ハーバード・ロー・スクールLL.M.。
1979年に弁護士登録(第31期、第一東京弁護士会)、長島・大野法律事務所(現・長島・大野・常松法律事務所)所属。以後2017年まで、弁護士として企業法務及び租税法分野の仕事を手がけたほか、1984年から2年間世界銀行法務部(米国ワシントンD.C.所在)でCounselとして途上国向けプロジェクトローン及び東京市場における資金調達の法務に従事、2004年から2006年まで東京大学法科大学院客員教授、2011年から2013年まで新司法試験考査委員(租税法)、その他官公庁の審議会等の委員、上場企業の社外取締役、社外監査役、公益財団の評議員、理事なども務めた。2018年1月に最高裁判所判事に就任(第三小法廷)し、2021年7月に退官。同年7月に弁護士再登録(第一東京弁護士会)、同年9月から長島・大野・常松法律事務所顧問(現職)。2021年1月にシンガポール国際商事裁判所(SingaporeInternational Commercial Court; SICC)のInternational Judgeに就任している(現職)。

【書籍】
  •  国際租税法第4版 (2019年、東京大学出版会、増井良啓東京大学教授との共著)

講師からのメッセージ  

 法曹の仕事の幅はかなり広い。私の場合には、弁護士としての仕事分野は時代とともに当初は予想もしていなかった方向に変化していき、また仕事の幅も、プロフィールに記載
したように、弁護士業務以外へも少しずつ広がっていった。さらにいえば、法曹の中には法律家という枠を超えた仕事で活躍する人も少なくない。私が育った時代と今とではAIの台頭を含めて、法曹という職業を取り巻く環境には大きな違いがあることを考えると、私の経験と今法曹を目指そうと考えている方々が将来するであろう経験には様々な違いがあって不思議ではない。しかし、人間というのは、誰かが一つの壁を乗り越えるとその壁は後に続く者にとっては壁ではなくなり、後に続く者は次の壁を乗り越えようとするようになるというしたたかな生き物でもあり、そのような人間の営みによる経済、社会の変化につれて法曹という職業の内容、あり方も少しずつかもしれないが変化を遂げてきたという意味では、今法曹を目指そうと考えている方々が将来することになる経験は私を含む先輩法曹の経験の延長線上にあるとも言えるだろう。いずれにせよ、この経験談を聞いて、法曹という職業を選択しようとしているあなたの未来がこれからどのように広がっていくのかを考えるきっかけになれば望外の喜びである。