明日の法律家講座 東京校第357回

2024年12月14日(土)18:30~20:30

裁判官の「良心」を活かす裁判
20年前の「球界再編」事件から~

 講師

竹内 浩史 判事

竹内 浩史 判事
(津地裁部総括判事。日本裁判官ネットワークメンバー)

愛知県で196210月に生まれる。
県立時習館高校・東京大学法学部を卒業し、司法修習39期。
19874月から名古屋で弁護士活動の後、中部弁護士会連合会の推薦を受けて、20034月に弁護士任官。
裁判官として東京・川越・横浜・大分・大阪・名古屋での勤務を経て、20214月から津地裁民事部総括。
202311月に岡口基一裁判官側の証人として裁判官弾劾裁判所に出廷。
20245月に『「裁判官の良心」とはなにか』(LABO)を刊行。
20247月、津に転勤後の地域手当減率による減俸を憲法802項違反と主張して名古屋地裁に国を提訴。

講師からのメッセージ  

日本国憲法763項には「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」とあります。
ここにいう裁判官の「良心」とは何か、それもなぜ最初に掲げられているのか、その疑問を追求したいというのが弁護士任官の動機でした。
その答を知る端緒となったのが、任官2年目で東京高裁の主任裁判官として担当した、プロ野球選手会の日本野球機構(NPB)に対する団体交渉応諾仮処分の抗告事件でした。
私の著書の冒頭に採録した母校講演でも取り上げ、末尾に資料として抗告審決定と解説を転載しています。
プロ野球界が1リーグ10球団体制に再編されてしまう瀬戸際から大逆転を勝ち取った選手たちの闘いの経緯を振り返りながら、裁判官の「良心」をどう活かすか、裁判で社会を変えられるか、他の裁判例にも触れながら、お話ししたいと思います。