助成金不交付決定処分取消訴訟 最高裁判決
最高裁へ行こう! 判決言い渡し
2023/11/17(金) 最高裁判所 第二小法廷
当日は、伊藤真塾長も出廷します。
※傍聴を希望される方は、14時20分までに最高裁南門で傍聴整理券をお受け取りください。
最高裁判所開廷期日情報(裁判所サイト)
2019年3月、映画『宮本から君へ』に出演していた俳優が、麻薬取締法違反で逮捕されるという事件が発生しました。
この映画に対しては、芸術文化活動の援助にかかわる独立行政法人「日本芸術文化振興会」による助成金交付が既に内定していました。
しかし同年6月に出演俳優に有罪判決が言い渡されると、日本芸術文化振興会は出演シーンのカットを迫り、応じないと「国が薬物使用を容認するようなメッセージを発信することになりかねず、公益性の観点から不適当である」として、一方的に内定を取り消しました。
これに対し、映画製作会社などが、一度は決定されていた助成金の交付内定について不交付決定したのは「表現方法への介入」だとして、2019年12月に不交付処分の取り消しを求めて提訴したのが本件訴訟です。
「公益性の観点」という理由自体は曖昧かつ漠然とした理由であり、しかも文化芸術活動への助成金について定められた交付要綱には、「公益性の観点」という取消事由はなく、今回の取り消し後に追加されたものです。
行政が文化芸術や学術関連の補助金・助成金について、専門家の判断が事実上無視され、恣意的な交付・不交付の審査が行われるという危険が生じており、市民の表現の自由等への萎縮効果も絶大です。
2021年6月の東京地裁判決では、公益性を理由にした不交付は「運用次第で自由な表現活動を妨げるおそれをはら」み裁量権の逸脱・乱用があったと認められ、不交付決定が取り消されました。
これに対し2022年3月の東京高裁判決では、「薬物乱用防止という公益性の観点からされた不交付決定は、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くとは言えない」として、一転して適法と判断されています。
表現の自由という重要な人権について問われる本件訴訟において、最高裁がどのように判断するのかが注目されます。
是非傍聴にお越しください。