2024年(77期)司法修習のスケジュールはどう変わる?修習生の就活や給与についても徹底解説

令和5年度(2023年度)から法科大学院の在学中に司法試験を受験できるようになりました。その影響で司法試験や司法修習のスケジュールも変更されています。
スケジュール変更は司法修習にどのような影響を与えるのでしょうか?今までの修習生とは異なる準備が必要なのではと不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、77期(2024年)以降の司法修習の日程に触れたうえで、就職活動に与える影響や司法修習生の生活について解説します。日程変更に不安を抱えている方や司法修習生の生活について知りたい方は、ぜひご覧ください。
【目次】
1.司法修習とは?
2.司法修習の日程
2-1.76期までの日程
2-2.77期以降の日程
3.司法修習の内容
4.77期以降の就職活動について
4-1.大規模な大手法律事務所
4-2.一般の法律事務所
5.司法修習生の生活
5-1.司法修習生の給与
5-2.実務修習で学ぶべきこと
5-3.二回試験に不安を感じる必要はない
6.まとめ
1.司法修習とは?
司法修習とは、司法試験合格者が法曹資格を取得するために受ける研修のことです。日本では司法試験に合格してすぐに法曹資格を取得できるわけではなく、司法修習を完了して初めて法曹としての仕事に就くことができます。
司法修習は、給与を得ながら法曹としての実務を学ぶことができる貴重な機会です。司法試験の勉強とは異なり、司法修習では現実の事件に触れながら実務における法律の使い方を学ぶことができます。
司法修習の制度は、これまでにも大きな変更が行われてきました。かつては2年間であった修習の期間も現在では1年間となっています。しかし、司法修習で学ぶべき内容は変わりません。
今回のスケジュール変更があっても同様に、司法修習生としての生活や学ぶ内容に大きな変化はありません。司法試験に合格した方は、不安を感じることなく司法修習に臨みましょう。
2.司法修習の日程
ここでは、76期以前と77期以降(2024年以降)の司法修習の日程について解説します。
司法修習の日程は、導入修習、分野別実務修習、選択型実務修習、集合修習の4つに分けられますが、これは77期以降も同じです。76期以前と77期以降の日程の違いは、開始時期が遅れるだけで基本的な内容の変更はありません。
2-1.76期までの日程
76期までは、9月上旬に司法試験の合格発表があり、11月下旬に司法修習がスタートするという日程でした。
76期の司法修習生は、2023年12月13日が修習終了日となり、弁護士であれば翌日の12月14日から職務を開始できます。
※76期の修習日程について、詳しくはこちらの記事をご覧ください
→司法修習とは何か?2022年度(76期)のスケジュールや給与などを詳細解説
2-2.77期以降の日程
77期の司法修習は、2024年3月21日に開始します。76期以前の日程からは、開始時期が約4か月ほど遅くなっています。
司法修習の日程が変更されたのは、司法試験の制度に変更があったためです。令和5年度(2023年)の司法試験から、法科大学院生が在学中に司法試験を受験できるようになりました。そのため、例年5月に実施されていた司法試験の日程が法科大学院の授業期間中であるため、7月に変更されることになり、合格発表や司法修習の日程も変更されたのです。
司法修習の開始が3月下旬となるため、法科大学院の在学中に司法試験に合格した人は、卒業後すぐに司法修習生になることができます。
【77期の修習日程】
2024年3月21日~4月12日 | 導入修習 | |
4月16日~11月20日 | 分野別実務修習 | |
11月下旬~2025年1月中旬 | 集合修習 | 選択型実務修習 |
1月中旬~2月下旬 | 選択型実務修習 | 集合修習 |
司法修習を修了するための司法修習生考査(二回試験)の日程については、現在のところ発表されていません。過去の日程を参考にすると、3月上旬に試験が実施され、3月中に合格発表があるものと考えられます。
77期の司法修習生が司法修習を修了し、法曹資格を取得するのは2025年3月が予定されています。
3.司法修習の内容
司法修習の内容は、76期以前と77期以降で変更はありません。司法修習は、導入修習、分野別実務修習、選択型実務修習、集合修習の4つのクールに分かれています。
導入修習は、実務修習の開始前に事前課題の解説や起案の基礎を身に付けるための講義と演習を中心とした研修です。充実した実務修習を過ごすためには、導入研修のうちに修習生同士の交流を深めておくことをおすすめします。
分野別実務修習では、裁判所、検察庁、法律事務所においてそれぞれの実務を学ぶことができます。法曹三者それぞれの実務を体感できるのは、この機会以外にはありません。
選択型実務修習では、多くのプログラムの中から自分自身が選択したプログラムを受講できます。自分の法曹としての将来に有益なプログラムを選択するようにしましょう。
集合修習は、導入修習と同様に講義と演習を中心とした研修です。内容は、実践的な起案や模擬裁判で、二回試験対策に直結するものとなっています。
※司法修習の内容についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
→司法修習とは何か?スケジュールや給与などを詳細解説
4.77期以降の就職活動について
司法試験の合格者が増えたことや司法修習の日程が変更されることで、就職活動への影響はあるのでしょうか。
まず、77期が対象となる令和5年の司法試験の合格者数は、令和4年の1,403人から1,781人と400人近く増加しました。これは、法科大学院在学中の受験が可能となったことで受験生の数が増加したことが原因と考えられます。実際、合格率は前年とほとんど変化していません。そのため、現在の日程が定着すると、合格者の数も従来の人数程度に落ち着くことになるでしょう。
77期については合格者の数が多くなるため、就職活動も難しくなりそうです。しかし、76期の採用から77期の採用までには1年4か月ほどの期間があるため、採用する側の需要も高くなるでしょう。結果的に、合格者の人数による就職活動への影響は大きくはないと考えられます。
以下では、法律事務所の規模ごとに、日程変更による就職活動への影響について解説します。
4-1.大規模な大手法律事務所
四大法律事務所などと呼ばれる大規模な法律事務所は、法科大学院生の在学中にサマークラークを実施し、また、予備試験合格直後に事務所説明会やウィンタークラークを実施することにより、司法試験の合格発表前に内定を出しています。
大規模な法律事務所が司法試験の合格発表前に内定を出すという流れは、司法修習の日程が変更されても変わりはないでしょう。ただし、司法試験の日程が変更されたことで、サマークラーク(インターン)が実施される時期も前倒しになる可能性があります。実際、大規模な法律事務所の中には、サマークラークの時期を変更し、スプリングクラークを実施した事務所もありました。
いずれにしても、大規模な法律事務所への就職を目指す方は、司法試験を受験する前から就職活動を開始する必要があります。
4-2.一般の法律事務所
大規模な法律事務所以外については、合格発表後から司法修習の開始前までに説明会や採用をおこなう事務所が多いです。
東京弁護士会では、2022年以前は合格発表直後の9月下旬に実施していた就職合同説明会を、日程の変更に合わせて11月下旬に実施しました。多くの法律事務所が合同説明会の時期に合わせて採用活動を開始すると考えられるため、77期以降の就職活動についても従来と同じく合格発表直後から活発になると考えられるでしょう。
従来と比べて変化があるのが合格発表から司法修習の開始までの期間です。従来は9月から12月上旬までの3か月ほどだったものが、11月から3月下旬までの5か月ほどに延長されます。そのため、従来と比べると修習開始前に時間をかけて就職活動をおこなえるようになりました。
従来は、司法修習の開始後にも採用活動を継続する法律事務所がありました。その点は、今後も変わりはないと思われますが、修習開始前の活動期間が増えたことで、修習開始前に採用を決めてしまう法律事務所が増える可能性はあります。
一般の法律事務所への就職を目指す方は、司法試験の受験が終わったら就職情報を確認するようにして、希望する就職先の説明会や面接などに積極的に参加するようにしましょう。
5.司法修習生の生活
ここでは、司法修習生の生活について、次の3つのテーマで解説します。
◉司法修習生の給与
◉実務修習で学ぶべきこと
◉二回試験に不安を感じる必要はない
司法修習生としての生活に不安を感じる方もいらっしゃるでしょうが、多くの修習生は楽しく充実した毎日を過ごしています。心配せずに貴重な学びの機会を楽しんでください。
5-1.司法修習生の給与
司法修習生には、月額13万5,000円の基本給付金が支給されます。これは、司法修習生の修習給付金の給付に関する規則に基づくもので、現在のところ77期についても変更はありません。他には、月額3万5,000円の住宅給付金と転居した際の移転給付金も支給されます。
参考:裁判所「司法修習生の修習給付金の給付に関する規則」
さらに、司法修習生の給付金のみでは足りない方については、修習専念資金の貸与を受けることも可能です。
参考:裁判所「司法修習生の修習専念資金の貸与等について」
司法修習生には修習専念義務がありますが、修習給付金や修習専念資金を受けても、生活費が足りない場合は、修習に影響が出ない範囲でのアルバイトの許可申請を行うことで、別途収入を得ることも可能です。
参考:令和5年度司法修習生 採用選考申込書の記載要領|裁判所
5-2.実務修習で学ぶべきこと
実務修習では、法曹三者それぞれの実務を体験できます。たとえば、弁護士になる人にとっては、裁判官や検察官としての実務を体験できる最初で最後の機会となることがほとんどです。
実務修習では、座学で学んできた法律が実際の事件でどのように活用されるのかを学ぶことになります。それに加えて、法曹三者それぞれの視点で、自分とは違う立場での仕事ぶりを観察することもできます。たとえば、裁判修習では、裁判官の立場からどのような弁護士が優秀であるのかを知ることができるでしょう。
修習後の進路が決まっている人も、自分の進路先以外での修習で手を抜かないようにしてください。むしろ、弁護士志望でも、裁判官や検察官の意識を知るなど、自分の進路先とは違う立場で学ぶことのできる機会は、非常に貴重なものです。常に学ぶ姿勢でそれぞれの実務修習に臨むようにしましょう。
5-3.二回試験に不安を感じる必要はない
司法修習を終えても、二回試験に合格しなければ法曹資格を取得することはできません。しかし、二回試験は、ほとんどの修習生が合格できる試験です。万が一、不合格になったとしても翌年に再受験できます。
二回試験に特別な対策は必要ありません。主に集合修習で学んだことをしっかりと身に付けておけば、問題なく突破できるでしょう。
※二回試験の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
→二回試験とは?試験内容や不合格にならないための対策を解説
6.まとめ
司法修習のスケジュールが変更されても、修習の内容や修習生の生活に大きな変化はありません。就職活動についても、修習前の活動期間は長くなりますが、倍率や難易度に大きな変化はないものと考えられます。
司法修習の日程変更で不安を感じている方も、特に大きな変化はありませんので安心して司法修習に臨んでください。
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著者:伊藤塾 司法試験科
伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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