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弁護士は食えない・稼げない・儲からないは真実?弁護士の将来性と展望を徹底解説

2025年02月11日

 
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「必死に勉強して司法試験に合格して弁護士になっても、食えない弁護士が多くて将来性はないらしいよ」

このような噂から、弁護士の仕事に興味がありつつも、将来どうなるのかが不安でなかなか一歩目を踏み出せないという人も多いのではないでしょうか?

たしかに、司法制度改革により弁護士の人数も劇的に増えましたし、AIの登場などもあり人の仕事が奪われていっているのは事実です。

しかし、弁護士は現代においても需要の高い、将来性のある仕事なのです。

本記事では、AI時代の弁護士の将来性や、今後求められていく能力について解説していきます。

【目次】
1.弁護士は食えない・稼げない・儲からないと言われる理由
2.弁護士に将来性がある理由
 2-1.弁護士の採用数を増やして業務拡大する法律事務所の増加
 2-2.弁護士の働き方の多様化
 2-3.AIが台頭しても弁護士の仕事はなくならない
 2-4.弁護士の業務は専門性が高い
 2-5.インターネットの普及による誤情報の拡散
3.弁護士として将来的に活躍するために必要な要素
 3-1.コミュニケーション能力・営業力
 3-2.専門性を強化する
4.まとめ

 

1.弁護士は食えない・稼げない・儲からないと言われる理由

そもそも、弁護士は食えないなどと言われ始めた背景はどこにあるのでしょうか。

さまざまな理由がありますが、代表的なものをまとめてみました。

 ①司法制度改革による弁護士数の増加

 ②AI登場による弁護士の仕事量の減少

 ③収入の減少という客観的なデータ

 ④裁判件数の減少

 ⑤インターネットの普及

2000年頃、裁判の迅速化や国民へのより充実した法的サービスの提供のため、司法制度改革が行われました。法曹の人数を増やすこともその目的のひとつとされ、法科大学院の創設などを通じて司法試験合格者の数はその後急増しましたが、2008年をピークに合格者数は徐々に減少し、ここ数年の司法試験合格者は毎年1,500人前後となっています。

しかし、合格者の多くは弁護士になることを選択するため、下記グラフが示す通り、弁護士の人数は年々増加の一途をたどっています。

その結果、需要と供給が釣り合わなくなってきているのが、弁護士の将来性を否定する背景の一つになっているのです。

【弁護士数の推移(1950年〜2023年)】


出典:日弁連「弁護士白書2023年」

また、近年インターネットの普及によって、誰でも簡単に法律に関する情報を引き出すことができるようになりました。

少し調べれば自分の知りたかった法律問題の答えが見つかり、しかも弁護士に直接聞くよりも詳しくかつ分かりやすく書かれています。

弁護士ですら、インターネットを利用して問題解決のために知識を得ることがあるほどです。

情報化社会においては、弁護士が知識を伝える場がないと言われているのです。

 

2.弁護士に将来性がある理由

このように、弁護士の将来性についてはマイナスな評価を下す声も聞かれます。

しかし、弁護士の未来はまだまだ明るく、決して悲観するような将来性ではありません。

その理由をご説明します。

 

2-1.弁護士の採用数を増やして業務拡大する法律事務所の増加

毎年、弁護士の数が増加してはいますが、それに伴い弁護士事務所の採用人数も増加している傾向にあります。

例えば、五大法律事務所のような企業法務を主に扱うような法律事務所では、実際に弁護士の採用人数を増やしている傾向にあります。

五大法律事務所の総採用人数は、2009年は116人だったのに対し、2021年では211人となっていることからも、採用人数を実際に増やしている事が分かるかと思います。

また、債務整理や自己破産など需要の高い分野について業務拡大をしている法律事務所や、郊外の法律事務所についても採用人数も増加している傾向にあると言えるでしょう。

このように、弁護士の数が増加したとしても、法律事務所の採用人数も増加していることを考えれば、案件や弁護士としての業務はまだまだ需要はあると言えるでしょう。
五大(四大)法律事務所とは?日本を代表する大手法律事務所で働く方法を解説

 

2-2.弁護士の働き方の多様化

司法制度改革が行われる以前の弁護士の働き方は、そのほとんどが弁護士事務所でいわゆるイソ弁(居候弁護士)として働くか、自分で事務所を開業して仕事を行うかでした。

しかし、現在の弁護士の働き方は極めて多様化しています。

企業を顧客に企業法務を担当したり、国際案件を主に扱う渉外事務所で海外での活動を主にしたり、民間企業の法務部に所属し一社員として会社をサポートするインハウスローヤー、官公庁などで働く任期付き公務員など、法廷紛争以外の業務が年々増加しています。

実際、インハウスローヤーの数について、企業内弁護士数の推移(2001年~2022年)によると、2014年では1,000人程度でしたが、2021年には2,965人にまで増加しています。

このように、弁護士としての仕事は法廷内に留まらず、社会一般の範囲にまで及んでいます。

以下、幅広い弁護士の一例をご紹介いたします。

議員秘書
企業の社外役員
児童相談所へのサポート
小学校・中学校などでのいじめ問題に対するサポート
少年の非行サポート
難民の問題のサポート
⽇本での在留資格や帰化の問題
⽇本で⽣活する外国人の家族問題や刑事事件
障害者の介護や財産管理に関する業務
医療現場での法務
スポーツ選手の代理人
被災者・原発事故の被害者支援
海外での法的整備活動
芸能人の代理人
国や地方自治体での行政活動
弁護士過疎地での活動

参考:さまざまな活躍の場(日本弁護士連合会)

このように、時代問わず、弁護士のニーズは常に社会に存在しているといえるでしょう。

 

2-3.AIが台頭しても弁護士の仕事はなくならない

たしかに、判例の検索など、人間が行うよりもAIで行った方が効率が良い業務というのもたしかに存在するかと思います。

しかし、弁護士の業務は単なる書類作成だけでなく、人とのコミュニケーションを前提とした専門性の高い業務が要求されるものです。

依頼者と信頼関係を築いたり、相手を説得したり、相手の感情を読み取ったりするという社会的な行為としてのコミュニケーションはAIには出来ません。

また、刑事事件のように当事者の責任が問題になる場合には、過去の判例だけでAIが決めるには難しく、判断しづらい事案があることは事実です。

そもそも、AIが人を裁くこと自体に倫理的な課題が残されていて、まだまだ議論が成熟しているとは言えません。

今後将来的にAIが弁護士の仕事の一部を行うことがあったとしても、全ての業務を代替するのは極めて難しいといえるでしょう。

 

2-4.弁護士の業務は専門性が高い

弁護士としての業務は専門性の高い業務となっており、弁護士が独占している業務も多数あります。

特に、刑事事件ではその裁判件数に目立った減少は見られず、今後も裁判件数が減ることはないと考えられます。

弁護士は法律を取り扱うスペシャリストであることから、資格を持っていない人が行ってしまうと非弁行為として犯罪となることもあるため、今後も弁護士としての仕事がなくなるというのは考えづらいといえるでしょう。

 

2-5.インターネットの普及による誤情報の拡散

たしかにインターネットにはさまざまな情報があふれていますが、誤った情報というのもたくさんあります。

どの情報が正しい情報なのかというのを見極める力というのは、最終的には個々の能力によるところが強く、適切に情報を取捨選択する事ができる人というのはそう多くはありません。

情報の真偽を判断するには、それらの分野に精通している弁護士が最適だと言えるのです。

 

3.弁護士として将来的に活躍するために必要な要素

 

3-1.コミュニケーション能力・営業力

専門性の高い豊富な知識を持つことはもちろんの事、今後弁護士として活躍するためには対話能力や営業力が重要になってくると言えます。

相談者に寄り添うことができる誠実な対応がなければ依頼者からの信頼を得ることはできませんし、場合によっては弁護士個人ではなく働いている事務所全体の評価を下げてしまうことにも繋がりかねません。

また、弁護士の増加により、顧客を獲得するためには営業に力を入れる必要が出てきました。

かつては黙っていても弁護士としての仕事は入ってきましたが、今では顧客との信頼関係を継続できる信用性を積極的に築いたり、ネット広告やSNSを利用して集客するなど、自ら仕事を得るための努力をすることが必要不可欠な時代になったと言えるでしょう。

 

3-2.専門性を強化する

弁護士という職業はそもそも専門性の高い職業です。

特に、首都圏では、一般民事全般を取り扱っている事務所は飽和状態で、他の事務所との差別化が出来ていない場合には、なかなか仕事を勝ち取ることができません。

離婚・労働問題・男女問題・相続・企業法務・医療過誤など、何か特定のジャンルに特化して、それに関する専門性を身に付けることで、他の事務所との差別化を図ることができ、付加価値を付ける事が可能です。

「離婚問題ならこの弁護士にお願いしよう」と言われるくらいの高い専門性を身につけるようにすれば、活躍できる弁護士になることが出来るでしょう。

めまぐるしく新しい社会活動が誕生している現代社会では、まだまだ専門性のある弁護士がいない分野は無数に存在します。

 

4.まとめ

当コラムでは、弁護士の将来性と今後の展望について解説してまいりました。

◉弁護士数の増加に伴い、事務所の採用人数も増加傾向にある
◉弁護士の働き方は多様化している
◉AIでは出来ない業務がある
→弁護士の将来性は間違いなくある

ここまでご紹介してきたように、弁護士は食えない、稼げない、儲からない、需要はないという噂はあくまでも表面的な評価であって、実情とは異なる部分が大いにあると言えます。

弁護士にはまだまだ需要があり、将来性も多分に秘めている職業です。

また、弁護士は収入ややりがいなどの面でも非常に魅力的な職業で、今後も社会に求め続けられる存在であることは間違いありません。

どうぞ安心して、弁護士になるという夢にチャレンジしていただきたいと思います。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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