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法学部に向いている人とは?何を学ぶの?取得できる資格や就職先を解説

2025年03月04日

 
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法学部「法学部」と聞くと、弁護士や検察官、裁判官を目指す人が入る学部で、小さい頃から学業優秀だった人だけが入れる学部だと、漠然と考えている人が多いかもしれません。

大学卒業後は法律家としてキャリアを重ねていく方はもちろん、それ以外にも、法律を学んだ学生が活躍できるフィールドはたくさんあります。

法学部は決して敷居の高い学部ではなく、法律に少しでも興味がある方であれば、誰でも入学することができる学部ですが、法学部への進学を考えている人にとって、自分が法学部に向いている性格なのかどうかは、気になるところだと思います。

この記事では、法学部で学ぶ内容や取得できる資格、法学部に向いている人の性格などについて解説していきます。法学部の受験を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【目次】
1.法学部では何を学ぶの?
 1-1.法学
 1-2.政治学
2.法律を学ぶことは難しくない
 2-1.六法を暗記する訳ではない
 2-2.法律は身近にあるものだからイメージしやすい
 2-3.復習をしっかりすれば定期試験も怖くない
3.法学部で取得できる資格や就職先
4.法学部に向いている人とは?
 4-1.法律や社会のルールに興味がある
 4-2.論理的な思考が得意
 4-3.社会のさまざまな問題に対する興味と柔軟な思考力がある
 4-4.法曹として困っている人を助けたい
5.将来の夢が決まっていないのであれば法学部を目指してみては?
6.まとめ

 

1.法学部では何を学ぶの?

法学部ではおもに「法律」という学問について学びますが、法学部の中でもそれぞれ専門の学科が別れており、たとえば「法学部 政治学科」では、法律だけでなく、政治学についてもメインで学んでいくことになります。

 

1-1.法学

法学部で法律を学ぶ場合、【立法論】と【解釈論】という2つの視点で法律の基礎を学んでいきます。

たとえば、税負担の問題について考える場合、「税金を低くしたいのであれば、そういう法律を新しく作ればいい」と考えるのが立法論で、「今あるさまざまな法律を柔軟に解釈すれば、これ以上税率を上げるべきではない」と考えるのが解釈論です。

また、法律を学ぶ際には過去の裁判例も非常に重要です。さまざまな具体的な問題に対してどのように法律を適用し、どうやって妥当な結論を導くのかを、具体的な裁判例を通して学んでいきます。

ここで、刑法で有名な裁判例をひとつご紹介します。

砂末吸引事件(大審院大正12年4月30日判決)
【どんな事件だったのか】
被告人X(女性)は、夫の前妻の子である被害者Aのことを快く思っておらず、Aを殺害することを計画します。ある日、XはAが寝ている最中に縄で首を絞めて殺そうとし、しばらくして動かなくなったAを見て、死亡したものと思い込みました。Xは証拠を隠滅するために、Aを人目につかない砂浜まで連れていき、首に巻かれた縄をそのままにして、Aを放置して帰りました。 しかし、実際にはこの時点ではAはまだ生きており、意識を取り戻したAが助けを呼ぼうとした際に、誤って砂浜の砂を吸い込んでしまい、その結果、Aは死亡してしまいました。
【被告人Xの主張】
・首を締めた時点ではAはまだ生きていて、直接の死因となったのは被害者が誤って砂を吸い込んでしまったことによるものであるから、Xが殺人を犯したとはいえない。したがって、「殺人罪」ではなく、「殺人未遂罪」と「過失致死罪」が成立する
【裁判所はどう判断したのか】
そもそも、Xの首絞め行為がなければ、Aが誤って砂を吸い込んで死んでしまうことにはならなかったといえる。首を締めた行為と砂を死体を遺棄した行為の一連の行為について社会通念に照らして考えると、被告人Xには殺人罪が適用される。


このように、裁判例を学ぶ際には、まずどういう事件だったのか、事案の概要を把握し、原告と被告双方の主張を確認、その上で裁判所はどう判断したのかを確認することで、具体的な問題解決方法を学んでいくことになります。

 

1-2.政治学

法学部で学ぶ政治学では、おもに政治の歴史や公共政策、国際政治について学びます。

政治経済学部のように、政治に関する深い知識を学ぶ訳ではありませんが、政治学で法律が生まれた背景を知ることで、法律をより深いレベルで理解することができるようになります。

また、国際政治学で世界各国の政治や法律を学び、日本の政治や法律と比較することで、現行の法律が正しいかどうかを、客観的に判断する力を養うことができるようになります。

 

2.法律を学ぶことは難しくない

法律に興味はあるけど、他の科目と比べるとどうしても難しそうで、勉強についていけないのではないかと心配になってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、司法試験に合格し、弁護士や検察官、裁判官になるためには、相応の努力が必要です。しかし、法律を学ぶことは決して難しいものではなく、法律に興味があって、難しい議論を少しでも理解しようとする気持ちがあれば、誰でも学ぶことができる学問です。

法律を学ぶことは難しくないといえる理由は、おもに以下の3つです。

法律を学ぶことは難しくないといえる3つの理由
✔︎ 六法を暗記する訳ではない
✔︎ 法律は身近にあるものだからイメージしやすい
✔︎ 復習をしっかりすれば法律のテストも怖くない


それぞれ詳しく確認してみましょう。

 

2-1.六法を暗記する訳ではない

法律を勉強すると聞くと、六法全書を丸暗記しなくてはいけないのかと聞いてくる方がいますが、法律を学ぶうえでもっとも重要なのは「法的な思考力」を学ぶことであり、法律を「暗記」することではありません。

もちろん、よく使う法律についてはある程度の文言を暗記することになるかもしれませんが、日本史や世界史などのいわゆる暗記科目のように、勉強するうえで暗記がメインになる学問ではありません。法学が暗記科目ではないことは、司法試験では、試験中に六法を参照できることからも明らかです。

法学を学ぶうえで重要なのは、六法に掲載されている法律を使って、どうやって具体的な問題を解決するのかを学ぶことです。そのため、暗記が苦手な方であっても、安心して学んでいくことができるでしょう。

 

2-2.法律は身近にあるものだからイメージしやすい

大学に入るまでは、細かい法律を勉強する機会がほとんどないため、法律に対してとっつきにくさを感じてしまうかもしれません。

しかし、意識していないだけで、法律は身近な生活に溢れているため、自身の経験とリンクしてイメージしやすい科目になっています。

たとえば、ご近所トラブルや友人同士のお金の貸し借りに関するトラブルであれば民法が適用されることになりますし、アルバイトの勤務時間、残業時間や有給休暇などに関する問題であれば、労働法が適用される場面になるでしょう。

抽象的な法律を学ぶ際には、実際にどんなケースであればこの法律に違反するのか、具体的な事例を意識しながら勉強すると良いでしょう。

 

2-3.復習をしっかりすれば定期試験も怖くない

法学部だと定期試験が難しくて、ほとんど単位が取れずに留年してしまうかもしれないと、心配になる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、法学部の定期試験は、ほかの学部に比べて特別難しいわけではなく、講義をしっかり聞き、復習をしっかりすれば、誰でも留年することなく進級できる試験です。

法学部の定期試験では、講義で教わった内容以外からは出題されませんし、仮に出題されたとしても、ほとんどの学生は解答することができないため、進級の可否には影響がありません。

また、具体的な事例問題が出題されたとしても、教科書に掲載されている事例や講義で触れた裁判例をベースに作成された問題が出題されるため、講義の内容を復習しておけば、十分に対応できるレベルの問題であるといえるでしょう。

 

3.法学部で取得できる資格や就職先

法学部では、将来弁護士や検察官、裁判官を目指している方もたくさんいますが、それ以外にも、総合職としての一般企業への就職をはじめ、法律を「創る」側の仕事である公務員、法律の知識を活かして司法書士や行政書士、弁理士や社労士などの士業として働くなど、活躍できる幅はかなり広くなっています。

将来の夢が具体的に決まっていなかったとしても、法学部に入って早いうちから法律を学んでおくことは、非常に有意義なことであるといえるのです。

※なお、法学部生におすすめの資格や進路については、こちらの記事も参考にしてください。
法学部の学生におすすめの資格とは?魅力ある最強の資格を解説
法学部の就職先はどこが多い?おすすめの進路について解説

 

4.法学部に向いている人とは?

それでは、法学部に向いている人とはどんな人なのでしょうか。

すべてではありませんが、たとえば以下のような方であれば、法学部に進学するのに向いている人であるといえるでしょう。

法学部に進学するのに向いている人
✔︎ 法律や社会のルールに興味がある
✔︎ 論理的な思考が得意
✔︎ 社会のさまざまな問題を解決することができる柔軟な思考力
✔︎ 法曹として困っている人を助けたい


では、それぞれ詳しく解説していきます。

 

4-1.法律や社会のルールに興味がある

社会生活を営むうえで必須のルールである法律に少しでも興味があるのであれば、法学部に向いている人であると言えるでしょう。

社会生活をする場合、あらゆる行動は法律により規律されているため、最低限のルールを理解しておくことは、社会生活を営むうえでもっとも重要なポイントであると言っても過言ではありません。

日常生活から会社における大規模事業までを、幅広く規律しているルールを学びたいという意欲があるのであれば、法学部で知識を学ぶ意味は大いにあるといえるでしょう。

 

4-2.論理的な思考が得意

もともと論理的な思考が得意な方や、日常生活のさまざまな物事に対して疑問を持って行動できる人であれば、法学部に向いている方であるといえるでしょう。

法律を具体的な事例に当てはめて考える場合、相手に説得的な説明するために、法的三段論法という手法が使われます。法律文書を作成する際には、基本的にこの法的三段論法に則った文書を作成することになるため、物事をロジカルに考えることができる方は、法律を学ぶのに適しているといえるでしょう。

また、文章を書くのが好きな方や、読書が趣味である方の場合、長い文章に対して抵抗がない方が多く、数学が得意な方の場合、論理的な思考が得意である傾向が強いため、法学部に向いていると言えるでしょう。

 

4-3.社会のさまざまな問題に対する興味と柔軟な思考力がある

社会に溢れるさまざまな問題に対して興味を持ち、柔軟な思考でさまざまな問題の具体的な解決方法を提示できる方は、法学部に向いている性格であるといえます。

法学部では、法律の基本的な知識を学ぶとともに、判例学習などを通して具体的なトラブルの解決方法を学びます。

千差万別なトラブルを、同じ法律を適用して解決するためには、柔軟な思考を持って各事案に対してアプローチしていくことが重要なのです。

 

4-4.法曹として困っている人を助けたい

弁護士や検察官になって困っている人を助けたい、裁判官になって公平な裁判を実現したいという強い正義感を持つ方であれば、法学部に向いている方であると言えます。

将来法曹として活躍することを考えている場合、大学を卒業したあとに法科大学院に進学してその課程を修了するか(2023年より法科大学院在学中の司法試験受験が可能)、もしくは予備試験に合格したあとに司法試験に合格する必要があります。

そのため、早い段階から法律の基礎を学んでおくことが、司法試験合格への近道になるでしょう。

なお、将来的に司法試験受験を考えている場合には、大学在学中に予備試験合格を目指すほか、法学部(大学によっては法学部法律学科)に設置されている「法曹コース」を利用して法科大学院に進学することで、従来よりも最短2年も早く法曹として活躍できるようになります。

※なお、法曹コースに関する詳しい説明は、こちらの記事を参考にしてください。
法科大学院・法曹コースとは?メリット・デメリットや設置大学一覧などを詳細解説

 

5.将来の夢が決まっていないのであれば法学部を目指してみては?

もし、将来やりたいことがまだ決まっていないのであれば、法学部を目指すことはかなりおすすめできる選択肢だと思います。

なぜなら、法学部では以下のような力を身につけることができるからです。

法学部で身につけることができる力
✔︎ 物事を多角的に観察し、その本質を見抜く力
✔︎固定観念にとらわれずに物事を柔軟に考える力
✔︎論理的な思考力
✔︎社会におけるさまざまな問題の解決能力
✔︎説得的に説明する力
✔︎中立的な立場から物事考える力
✔︎難解で長い文章を理解して、それを要約する力


これらは、法律家にならなかったとしても、社会に出てから高く評価される力です。

そのため、法学部で早いうちから法学を学んでおくことで、卒業後いかなる分野に進んだとしても社会的な活躍を手にしやすくなると言えるでしょう。

 

6.まとめ

法学部は決して敷居の高い学部ではなく、法律に少しでも興味がある方であれば、法学部に向いている方であると言えます。

法学部で身につけた倫理的な思考力や、物事をさまざまな視点から考える力は、社会に出た後、必ず役に立つ力です。

法学部の就職先は、法律家から公務員、一般企業まで多岐に渡るため、もし将来の夢がまだ決まっていないのであれば、法学部に進学し、4年間しっかりと法律について学びながら、社会を生き抜くために必要な思考力を身に着けていただきたいと思います。

そして、できるなら、是非とも法律家を目指していただき、予備試験にチャレンジしていただきたいと心から願っています。

※以下の記事も、ぜひ合わせてお読みください。
高校生の君へ 考えよう。大学のこと、仕事のこと。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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