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司法試験論文式試験における上位答案の書き方|法的三段論法とは?

2025年03月04日

 
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「司法試験の論文式試験がわからない」
「論点を落としてしまったら不合格なの?どこまで書ければいいのか基準はあるのだろうか」
「論文って書く人によって内容変わると思うけど、基準とかあるのだろうか」

など、論文の書き方でお悩みの方は多いかと思います。

司法試験における天王山は間違いなく論文式試験です。

これは、司法試験が実務家登用試験であり、実務では具体的な事案を分析して、法律文書を作成する能力がなければ法律家としてやっていけないからです。

法律文書というのは、学者の論文とは違うため、自由に意見を述べるものではなく、法律文書特有のルールが存在します。

法律に関する解釈を用いて、論理的に、説得的に文書を作成するためには、そのルールを理解し、どんなケースでも説得的な文書を作成できるよう事前に訓練する必要があります。

それでは、司法試験において評価される答案を作成するために必要な事は、具体的にどのような事なのでしょうか。

この記事では、司法試験における論文の書き方を徹底解説するとともに、法律文書の作成において重要な法的三段論法について解説していきます。

【目次】
1.論文式試験では何を問われるのか
 1-1.法曹として実務で働くために必要な専門的な法律知識
 1-2.具体的な問題に対する法的分析力や問題解決能力
2.法律文書を作成する際の基本ルール
 2-1.読みやすい答案構成
 2-2.的確で丁寧な日本語を使う
3.評価される答案のコツ法的三段論法とは?
 3-1.事実関係を整理する〜答案構成〜
 3-2.論点となるべき部分を正確に示す~論点~
 3-3.コンパクトに規範を示す~規範~
 3-4.事実の抽出と評価~あてはめ~
 3-5.結論の妥当性の判断~結論~
4.科目ごとの特徴
 4-1.憲法
  4-1-1.問題となる権利の抽出
  4-1-2思考フレーム(答案の枠)を示す
  4-1-3.相手方の反論も意識した三者間形式を意識する
 4-2.民法
 4-3.刑法
 4-4.商法
  4-4-1.細かい条文の準用に慣れる(条文操作の重要性)
  4-4-2.会社の機関について正確に理解する
 4-5.民事訴訟法
  4-5-1.訴訟法独特の理論を理解すること
  4-5-2.実際の訴訟をイメージしながら進める
 4-6.刑事訴訟法
 4-7.行政法
5.模試や答練で実践的な答案作成力を身につける
6.まとめ

 

1.論文式試験では何を問われるのか

司法試験が実務家登用試験である事は先にも述べたとおりですが、受験生は、具体的に論文式試験で何を試されているのでしょうか。

問題の本質を理解するためには、その試験で何を問われているかを理解することが重要になります。

まずは、司法試験法を確認してみましょう。

「論文式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定することを目的と」する。
参照:司法試験法第3条2項

この条文からわかる論文式試験で問われていることは、大きく以下の2点であると言えるでしょう。

 

1-1.法曹として実務で働くために必要な専門的な法律知識

司法試験に合格し、法律の専門家として実務の世界で働くにあたっては、法律に関する専門的な知識を持っている事が必須です。

さまざまな法律の条文やその制度趣旨を理解し、その法律を柔軟に解釈して具体的な事案に適用することで、直面している問題をいかに妥当な解決に導くことが出来るかが必要になるのです。

法律を解釈するためには、文理解釈、論理解釈、拡大・縮小解釈、類推解釈など、さまざまな手法を用いる必要があります。

特に、法律の世界では過去の裁判例(判例)が非常に重要な意味を持っています。

個別具体的な事案に対して、実際に法律の解釈を用いて問題を解決した判断の集積である判例は、実務において具体的な事案を判断する際には必ず考慮されるのです。

また、学者が唱える学説を理解することも、相手の反論を予測し、物事を多角的に見ることで、問題を解決する力を養うためには非常に重要であると言えるでしょう。

このように、法律家として働くためには、実践的な法律の知識が必要不可欠であると言えるのです。

 

1-2.具体的な問題に対する法的分析力や問題解決能力

正確な法律知識を具体的な事案に当てはめた際に、その法律がどのように適用されるのかを分析したうえで、それを法律論として成り立つよう構成し、的確に文書として成立させる能力が必要となります。

論文式試験は、単なる法律に関する試験のうちのひとつであるというだけでなく、法律家として適切な法律文書を作成するだけの能力があるかどうかを見極めるための試験であると言えるからです。

 

2.法律文書を作成する際の基本ルール

ここからは、論文式試験で答案を作成する際の基本的なルールについて解説していきます。

 

2-1.読みやすい答案構成

 

読み手にとって読みやすい文書になるよう、ナンバリングや改行などを駆使し、トピックを区別するために文書の階層構造を意識する必要があります。

例えばナンバリングの形式でよく使われるものは以下のようなものになります。

【第1→1→(1)→ア→(ア)】

このように、ナンバリングや改行を効果的に用いて、日ごろから視覚的にも読みやすい文章にすることを心がけましょう。

ただし、ナンバリングや改行に画一的なルールはありません。

もちろん、文書の途中でいきなり改行してしまったりするのは問題ですが、そうでなければ文書の作成者のセンスに任せられているのです。

そのため、読みやすい文書の構造については、答案練習を繰り返し、添削や指摘を受け、合格者の答案と比較しながら相場感やセンスを磨いていく必要があるのです。

今書いているトピックのみではなく、文書全体の構成を常に頭に入れておくように意識すると、読み手にとって読みやすい文書を書くことが出来るようになるでしょう。

 

2-2.的確で丁寧な日本語を使う

どれだけロジカルに法律論を展開できたとしても、日本語として読み手に意味が伝わらなければ意味がありませんし、正しい日本語を使えないと、こちらの本来意図するものとは異なる捉え方をされてしまう危険性があります。

知識は合格後にいくらでもインプットする事ができますが、司法試験の勉強をする過程で染み付いてしまった文書作成の"クセ"は、実務で法律文書を作成する際にも出てきてしまいます。

接続詞や”てにをは”を正確に用いて、読み手が読みやすい文書の作成を日頃の勉強から心がけるようにしましょう。

司法試験の論文では、専門的な知識ももちろん大事ですが、日本語や法律文書の正しい書き方ができているかも重要視されるのです。

 

3.評価される答案のコツ法的三段論法とは?

司法試験は実務家登用試験である以上、司法試験の論文も、法律文書の作成ルールに則って作成する必要があります。

では、法律文書の作成におけるルールとはどのようなものなのでしょうか。

ある物事を説得的に説明しようとする手法として、論理学の分野では三段論法という手法が使われますが、この三段論法を法律文書作成の枠に当てはめたものが、法的三段論法というものになります。

具体的には以下のような形式を取ります。

 ①ルール(規範定立):条文(大前提)→結論

 ②具体的事実の適用:具体的事実(小前提)→条文

 ③結論の導出:具体的事実→結論

司法試験で上位の答案を作成するためには、法的三段論法を駆使して論文を作成する必要があります。

条文の指摘がほとんどなく、論理的根拠や裏付けもない答案は司法試験の相対評価の中ではほとんど評価されません。

 

3-1.事実関係を整理する〜答案構成〜

まずは、問題文を読み、事実関係を正確に分析し、この問題はどの条文に関する問題なのか、どこが論点になり、どのような結論になるのかを、具体的に検討していくことが重要です。

実際に作成する答案の構成を考えることになりますが、答案を実際に書き始める前にこの答案構成をしっかりやることで、論理がちぐはぐな答案になることなく、法的三段論法を意識した答案を作成することができるようになるのです。

答案構成は木の幹の部分に相当する部分なので、論文作成における最重要ポイントだと言えるでしょう。

【答案の具体例】 ※令和3年度の刑法を参考に作成しています。
設問1
第1 . 甲の罪責
1 甲の行為に強盗罪は成立するか
(1)
強盗罪における「脅迫」は、財物奪取に向けて相手方の反抗を抑圧する手段として行われる必要がある。
(2)
本問における脅迫行為は、高級時計の強奪を偽装するため用いられているから、財物奪取に向けて相手方の反抗を抑圧する手段として行われていない。
(3)したがって、強盗罪における「脅迫」にはあたらず、強盗罪は成立しない。

 

 

3-2.論点となるべき部分を正確に示す~論点~

事実関係と条文を見比べ、問題点や関連する条文を抽出できたら、次に問題の所在を答案に示すことになります。

単に法律上の議論のみを示すのではなく、設問で問われていることに形式的かつ実質的に解答するために必要な論点を示す必要があります。

例えば、刑法の答案でいきなり「間接正犯*の実行行為性 *2 」について書き始めるのではなく、「甲が、Yに対してブドウをとってくるように指示した行為に、窃盗罪(刑法235条)の間接正犯が成立するか。」といったように、具体的に問題点を指摘し、この後の論文の流れを作る必要があるのです。

*   人の行為を利用して自己の犯罪を実現する犯人の事

*2 犯罪が成立するための行為であるかどうか

【答案例】
(1)本問の暴行・脅迫が、強盗罪における「脅迫」といえるか。

 

3-3.コンパクトに規範を示す~規範~

問題点を示したら、次にその問題を解決するために規範(基準)を定めます。

現行の司法試験ではあてはめが重視される傾向が強いため、規範についての論証は必要最小限で示し、あてはめに時間をかけるべきだと言えます。

規範は条文、趣旨から考えたり、判例などから引用することになりますが、有名な論点に関しては事前に準備しておく(論証パターンを準備しておく)ことで、規範にかける時間を短縮することができます。

特に、解釈論上争いがない場合や典型論点の場合には、受験生の大半が同じようなことを書きます。そのため規範定立の部分で点数に開きが出るのではなく、あてはめの仕方で評価に差が出てくるのです。

【答案例】
(1)
強盗罪における「脅迫」は、財物奪取に向けて相手方の反抗を抑圧する手段として行われる必要がある。

 

3-4.事実の抽出と評価~あてはめ~

司法試験の論文式試験において一番重要な部分がこのあてはめになります。

先ほど定めた規範に、設問の事実関係をあてはめて、法的にその事実を評価します。

あてはめのポイントは、自分が持っていきたい結論を導けるような事実を出来る限り問題文から拾ってくることです。

また、規範とあてはめはあくまでも論文の中でのトピックの一つなので、両者の内容がズレてしまう事のないよう、答案の流れを常に意識するようにしましょう。

司法試験の問題は受験生を振るい落とすため一捻り加えられている問題がほとんどです。

あてはめで迷ってしまい、当初の答案構成と違う結論を導いてしまうと、答案上で論理矛盾を起こしてしまう可能性もあります。

そうした危険をさけるためにも答案構成の段階であてはめの事まで予測しておく必要があるといえるでしょう。

【答案例】
(2)甲及び丙は、時計店の高級時計を盗むことを共謀し、これが強奪されたかのように装うという犯行計画を立てた。この計画に基づき、甲は、強盗事件を偽装するための手段として丙を脅迫した。したがって、甲の脅迫行為は、財物奪取に向けて丙の反抗を抑圧する手段として行われたものではないため、強盗罪における「脅迫」には該当しない。
(3)したがって、甲の行為には、強盗罪における「脅迫」がないため、強盗罪は成立しない。 

 

3-5.結論の妥当性の判断~結論~

法曹実務家に求められるのは、具体的な問題を妥当な結論に導く問題解決能力です。

理論上導かれる結論を示せば問題が解決できるとは限りません。

そのため、論文を書く際には、いかに事案の落としどころを答案上で示せるか、感覚的に結論がおかしいと感じる場合には、その結論を妥当だと思われる結論に導くことができるか、という視点が重要になるのです。

答案の流れの具体的にこんな感じになります。

【答案の具体例まとめ】
設問1
第1 . 甲の在籍
1 甲の行為に強盗罪は成立するか。強盗罪における「脅迫」があるかが問題となる。
(1)強盗罪における「脅迫」は、財物奪取に向けて相手方の反抗を抑圧する手段として行われる必要がある。
(2)甲及び丙は、時計店の高級時計を盗むことを共謀し、これが強奪されたかのように装うという犯行計画を立てた。この計画に基づき、甲は、強盗事件を偽装するための手段として丙を脅迫した。したがって、甲の脅迫行為は、財物奪取に向けて丙の反抗を抑圧する手段として行われていないから、強盗罪における「脅迫」には該当しない。
(3)したがって、強盗罪における「脅迫」がないため、甲の行為に強盗罪は成立しない。

 

4.科目ごとの特徴

論文を書く際の基本的な部分はここまでご紹介して来た通りですが、ここからは科目ごとに具体的な論文の書き方をご紹介していきます。

 

4-1.憲法

4-1-1.問題となる権利の抽出

憲法の人権に関する問題では、どのような基本的人権に関する問題であるかを正確に抽出することが最も重要なポイントであると言えます。

ここの人権選択を間違えてしまうと、ほとんど評価されない答案になってしまう可能性もあるため注意が必要です。

司法試験では、問題文中でこの人権に関して検討してくださいと誘導をしてくれる傾向があります。試験委員が出す誘導にうまく乗ることで、人権選択を間違える事がないようにしましょう。

 

4-1-2思考フレーム(答案の枠)を示す

憲法の人権論では、誰の、どのような権利が、どのような根拠・形式により、どのように制約されているかという4つの観点をもとに答案を構成する事が重要になります。

例えば以下のように答案を構成していきます。

①誰の・・・Aさんの
②どのような権利が・・・表現の自由が
③どのような根拠・形式により・・・ヘイトスピーチに関する条例により
④どのように制約されているか・・・ヘイトスピーチと思われるものは内容問わず全て禁止

このように、具体的な設問において、どのように人権が侵害されているかということを具体的に示す必要があるのです。

 

4-1-3.相手方の反論も意識した三者間形式を意識する

問題文中で、三者間の立場からそれぞれの主張を論じることは要求されませんが、原告、被告の主張および私見の三者間構造を意識することは、どの部分が中心的な争点になるのかを発見する視点として非常に有用です。

具体的には原告の主張→被告の反論→私見という思考パターンを辿ることになりますが、

三者間視点で事案を考える視点を養うためには、基礎的な判例学習を通じて問題点の対立を意識し、原告と被告のそれぞれの立場からどのような主張が考えられるかを日頃から考えるクセをつける必要があります。

このような学習を通じて得た視点や知識を、法的三段論法に落とし込んで答案を作成することで、相対的に評価される答案となるのです。

 

4-2.民法

民法で一番重要になるのは、法律要件(要件事実)と法律効果になります。

民法の考え方は非常にシンプルで、基本的に「ある法律要件を満たせば、一定の法律効果を生ずる」という構造になっています。

例えば、売買契約(民法555条)が成立するためには、以下の要件を主張する必要があります。

売主と買主の間で・・・
①目的物の財産権を移転する合意があったこと(AさんがBさんに絵画を売る合意があったこと) ②代金支払いの合意があったこと(BさんはAさんに絵画の代金として300万渡す)
そして、この要件が満たされると以下のような法律効果が発生します。
①売主は買主に対し、売買契約に基づく代金支払請求権(AさんがBさんに、お金を払えと言える)
②買主は売主に対し、売買契約に基づく目的物引渡請求権(BさんはAさんに、絵画を引き渡せと言える)

この流れを答案上で示すことで、評価される答案となるのです。

民法の条文数は他の科目と比べても数が多いですが、ほとんどの条文はこの要件効果の構造で理解することができます。

そのため、民法を勉強する際には、常に法律要件(要件事実)と法律効果を意識するよう心がけましょう。

 

4-3.刑法

刑法は、殺人や詐欺など、普段のニュースなどでイメージがわきやすい科目の一つかと思います。

刑法で重要になるのは、どのような事実が揃えば犯罪が成立するか、という犯罪の成立要件に関する議論になります。

この点、犯罪の成立要件は以下のような流れで検討することになります。

①構成要件に該当するか(”人”を”殺した”と言えるか(刑法199条))
②違法性はあるか(正当防衛にあたらないか)
③責任はあるか(心神喪失ではないか)

民法にいう法律関係の発生・変更・消滅の要件(要件事実)と効果は、刑法では犯罪の構成要件と犯罪の成否にあたります。

刑法の出題形式は、「Aに犯罪が成立するか」といったような形式の問題がほとんどです。

そのため、この流れで犯罪の成立要件を検討することが、刑法の答案の基本的な型となるのです。

また、刑法では保護法益から考える視点も重要になります。

保護法益とは、殺人罪でいえば「人の生命」であるように、ある犯罪類型に該当する行為を処罰することで刑法が守ろうとしている法益の事を指します。

条文の趣旨と同様、刑法ではその条文の保護法益を常に頭において考えるようにすると、スムーズに理解できるでしょう。

 

4-4.商法

4-4-1.細かい条文の準用に慣れる(条文操作の重要性)

商法の分野で重要なのは会社法になりますが、会社法の条文の量は膨大で、そのうえ条文一つひとつがかなり長いです。

そのうえ、それぞれの条文を引用する準用規定が数多くあります。

実際に条文を引いてみると、他の法律に比べて条文の引きにくさに苦労する人が少なくありません。

会社法では基本的に条文知識が問われるため、かっこ書きなどを読み飛ばしたりおろそかにせず、条文を丁寧に読み込むことが、学習の上で重要になります。

 

4-4-2.会社の機関について正確に理解する

また、事実関係を整理する際に、設問でどのような事が会社で問題となっているかを正確に把握するためには、会社の機関について正確に理解しておく必要があります。

会社にはさまざまな機関があり、問題となっている機関によって対応方法が変わるためです。

公開会社なのか、非公開会社なのか、取締役会設置会社なのか否かなど、会社の機関設計と会社内部の人との関係を整理することで、設問の事案を正確に把握できるようにしましょう。

 

4-5.民事訴訟法

受験業界では、民事訴訟法は「眠素」と言われています。

勉強していると眠くなってしまうくらいピンと来ない科目であると言われています。

訴訟に関する法律なので、刑法や民法と違いイメージがしづらいというのも、とっつきづらい理由の一つになっているのでしょう。

 

4-5-1.訴訟法独特の理論を理解すること

民事訴訟は理論的な考え方を基礎とした条文で構成される法律になります。

民事訴訟法の基礎となる理論や訴訟法独特の主義を理解すると、条文を深く理解することにつながります。

また、民事訴訟に関する法律なので、民法との親和性が非常に高い科目になります。

あらゆる場面で民法の基礎知識がベースになってきますので、民事訴訟法を勉強する際には、民法の理解を確かめながら進めると理解が深まるでしょう。

 

4-5-2.実際の訴訟をイメージしながら進める

民事訴訟法が眠訴と呼ばれるくらいとっつきにくい科目であることの理由の一つに、具体例をイメージしづらいということがあります。

民事訴訟法はその科目の性質上、抽象的な理論部分が最も重要な科目になります。

そのため、自分で勉強を進める際には、なるべく具体的な事例にあたりながら、抽象的な理論が具体的な事例の中でどのように適用されるのかを確認しながら勉強を進めるようにしましょう。

 

4-6.刑事訴訟法

刑事訴訟法は、大きく分けて①捜査、②公訴提起・公判手続、③証拠、④裁判という4つの分野に分かれ、さまざまな原理や原則が登場します。

これら刑事訴訟の基本原則を、条文知識や制度趣旨、判例などを基礎として正確に把握しておく必要があります。

また、刑事事件は各手続きの中で時間的制約があるものが多いため、常に手続きの流れや時間軸を意識して答案を作成する必要があります。

刑事手続きは捜査に始まり、最終的には判決の言い渡しまでとなりますが、具体的問題の中でどの段階の話なのかを意識した解答ができないと、ちぐはぐな答案になってしまいがちです。

具体的な事例に即した答案を作成する必要があるのは他の科目でも共通する重要なポイントとなりますが、刑事訴訟では常に手続きの流れを意識するようにしましょう。

 

4-7.行政法

行政法は、答案の流れや型さえつかめれば、優秀答案になりやすい傾向がある科目になります。

そのため、細かい法律の要件を覚えるよりも、まずは行政法という科目の答案の流れを理解することを心がけるといいでしょう。

また、行政法は、「行政法」という名の法律はなく、さまざまな行政に関する細かい法律(個別法)の仕組みを、暗記ではなく現場で読み解く能力が試されています。

行政法では基本的に、「公権力(行政庁)がある法律に基づいて私人の権利利益を侵害したり、あるいは私人の権利利益が侵害される恐れがある場合に、その権利侵害行為を排除したり、権利侵害行為がされるのを事前に防止するためにどのような法的手段を採ることができるか」が問われます。

個別法に関する細かい知識が必要なのではなく、当該具体的な問題をどのように処理するかが重要になります。

個別法の知識を求められる事もありますが、法律の趣旨や条文を基にして解釈をする必要があります。

他の科目とは違う行政法独特な思考を要求されますが、論文の基本である趣旨・規範から考えるクセをつけておけば、未知の問題でも具体的な解決を導くことができるでしょう。

 

5.模試や答練で実践的な答案作成力を身につける

司法試験の論文の勉強で1番重要なことは、アウトプット中心の勉強をする事です。

司法試験は試験科目が8科目、予備試験では法律科目だけで10科目もあり、試験範囲が膨大です。その試験範囲の知識を効率よく吸収するためには、アウトプットを定期的に行うことが重要なのです。

模試や答練で出題される問題は、予備校作成の新作問題であるため、自分の頭で回答を捻り出す必要があります。

そのため、ある知識を実際の問題処理にどのように適用するのかを学ぶことができ、間違えた問題については知識を再確認することで、より記憶に残りやすくなるのです。

知識を定着させ、その知識を具体的にどのように活用するのかを学ぶことで、実践的な答案を作成する力を養うために、答練や模試を上手く活用するようにしましょう。

 

6.まとめ

当記事の重要ポイントをまとめます。

司法試験における論文の書き方のコツは、
 ◉知識知識を前提とした法的思考力を答案上で示す
 ◉法的三段論法を常に意識する
 ◉科目ごとの特性を踏まえた答案の型を確立する

当コラムが、あなたの司法試験合格への一助になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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