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女性の検察官(検事)は増えている?検察官の男女比やキャリアについて解説

2025年03月04日

 
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検察官(検事)の仕事は、かつて「男性社会」と呼ばれていました。しかし、男女共同参画基本計画の策定もあり、現在では女性検察官の割合も着実に増加しています。2024年秋には女性初の検事総長も誕生することが濃厚といわれています。

今回は、女性検察官を目指す方に向けて、女性検察官の現状を詳しく解説します。検察官の男女比や検察官任官時の平均年齢などを具体的な数値で紹介しますので、どうぞ最後までご覧ください。

【目次】
1.女性検察官(検事)は増加している
 1-1.検察官(検事)の男女比
 1-2.裁判官・弁護士の男女比
2.初の女性検事総長が誕生
3.検察官(検事)になるには?
 3-1.司法試験に合格する
 3-2.検察官(検事)任官の平均年齢
 3-3.検察官(検事)のキャリア
4.女性検察官(検事)の働き方
 4-1.女性検察官(検事)の強み
 4-2.妊娠・出産を経ても復帰できる
5.まとめ

 

1.女性検察官は増加している

政府の推進する男女共同参画基本計画では、2025年度末までに女性検察官の割合を「30%以上とする目標」が掲げられています。最初に男女共同参画基本計画が定められた2000年の時点では、女性検察官の割合は10%にも満たない数字でした。

その後、検察官以外でも女性の社会進出が進んでいく中で、女性検察官の割合も着実に増加しています。ここでは、検察官の男女比について詳しい数字を確認するとともに、裁判官や弁護士の男女比についても見ていきましょう。

 

1-1.検察官の男女比

男女共同参画基本計画が定められた2000年以降の、女性検察官の割合は次のとおりです。

2000年9.20%
2005年13.80%
2010年19.00%
2015年22.40%
2020年25.40%

参照:男女共同参画局「様々な分野における女性の参画(I-1-10図)」

女性検察官の割合は着実に上昇を続けていますが、目標の30%までには至っておりません。

2020年の司法試験合格者に占める女性の割合は25.3%であり、女性検察官の割合とほぼ同等の数字です。女性検察官の割合をさらに増加させるには、女性合格者の割合の増加も必要となるでしょう。2020年時点で法科大学院に在籍する女子学生は34.0%であり、女性合格者の増加が期待される状況と言えます。

 

1-2.裁判官・弁護士の男女比

検察官と同じく法曹三者と呼ばれる裁判官と弁護士の男女比は、次の表のとおりです。

 女性裁判官女性弁護士
2000年10.90%8.90%
2005年13.70%12.50%
2010年16.50%16.30%
2015年20.00%18.20%
2020年22.60%19.10%

参照:男女共同参画局「様々な分野における女性の参画(I-1-10図)」

裁判官や弁護士についても、検察官と同様に女性の割合は着実に上昇しています。しかし、弁護士については、目標の30%には遠い数字となっているのが現状です。

裁判官や検察官に比べて女性弁護士の割合が少ない理由としては、裁判官や検察官は公務員であるため福利厚生が整っているのに対して、弁護士は女性が長く働くのに不安があるという点が挙げられるでしょう。

日弁連では、女性弁護士が働きやすい環境の整備に取り組んでいます。育児期間の会費免除など具体的な施策も実施しており、今後、弁護士についても女性の割合が増加することが期待されます。

こうした現状からは、司法試験に合格し法曹三者を目標とするのに際し、女性であることを不利に感じる必要はないと言えるでしょう。

 

2.初の女性検事総長が誕生

検察官の人事では、東京高検検事長が時期の検事総長となるのが通例です。2023年1月、法務省の人事で畝本直美氏が東京高検検事長に起用されました。

2024年9月には現在の検事総長である甲斐行夫氏が定年を迎える予定で、畝本氏が初の女性検事総長に起用される見込みです。かつて検察は「男性社会」と言われていましたが、女性検察官の割合が増加し、ついに検察官のトップである検事総長を女性が務める見込みまで至りました。

今回の人事を受けて、検察官を目指す女性の方はますます増えていくのではないでしょうか。男女共同参画基本計画が目標とする、女性検察官30%の数字は遠くない未来に実現される可能性もありそうです。

現在の検事総長の甲斐行夫氏は、伊藤塾が実施する「明日の法律家講座」の講師を務めていただいたこともあります。伊藤塾のインターネット講座受講中の方は、「明日の法律家講座」のバックナンバー視聴も可能です。

明日の法律家講座 東京校45回

少年事件・審判を考える 講演・質疑応答(1999年4月24日実施)

講師:甲斐行夫氏

 

3.検察官になるには?

ここでは、男女にかかわらず検察官になるための方法を紹介します。検察官任官時点での平均年齢や検察官の一般的なキャリアについても解説しますので、検察官になるイメージ作りのためにご活用ください。

 

3-1.司法試験に合格する

検察官になるには、原則として司法試験に合格する必要があります。司法試験は、法科大学院を修了するか(2023年より法科大学院在学中受験が可能)、予備試験に合格して初めて受験できる試験です。

2022年の司法試験合格率は45.50%でしたが、受験資格を得るために相当の努力を重ねた方々が受験したうえでの数字なので難関試験であることに変わりはありません。

司法試験に合格すると、1年間の司法修習を受けることになります。司法修習は、裁判官、検察官、弁護士のうち、どの道を選ぶ場合でも必ず受けなくてはなりません。修習生は、司法修習中に修了後の進路を決めます。

検察官を志望する司法修習生は、修習中に検察官としての資質を認められる必要があります。修習期間の中でも、検察修習は検察官としての資質を試される重要な機会となります。

 

3-2.検察官任官の平均年齢

直近5年間の検察官の任官者数と男女別の数、平均年齢は次のとおりです。

 任官者数男性女性平均年齢
平成30年度69人48人21人27.2歳
令和元年度65人37人28人27.2歳
令和2年度66人42人24人26.7歳
令和4年度
(4月期)
72人44人28人26.4歳
令和4年度
(12月期)
71人36人35人26.2歳

参照:法務省「最近における検事の採用実績」

直近の採用実績を見ると、女性検察官の割合は30%を大きく超えています。この傾向が続いていけば、検察官全体に占める女性検察官の割合が30%を超えるのも時間の問題と言えそうです。

任官の平均年齢は、修習生全体の平均年齢よりは少し若くなっています。もっとも、いずれの年も最高齢は30歳を越えており、年齢を重ねていても検察官になることを諦める必要はありません。

 

3-3.検察官のキャリア

検察官は、任官の直後から刑事事件の捜査や刑事裁判の公判を担当します。実際の事件を担当し、上司の指導を受けながら検察官としての能力を身に付けていかなければなりません。

任官から4〜5年が経過すると、東京地検や大阪地検などの大規模な検察庁に配置され、検察官としての一通りの経験を積むことになります。この期間の検察官のことをA庁検事と言います。

A庁検事の期間を終えると、シニア検事と呼ばれるようになり、弁護士職務を経験したり、外部の機関で検察官としての能力を活かして仕事をしたりと、捜査・公判以外の経験を積むことも可能です。

検察官としての働き方は多種多様で、キャリアを積み重ねることで様々な経験を積むことができます。
参照:法務省「検事のキャリア(その1)」

 

4.女性検察官の働き方

女性検察官には、男性検察官と比べたときの強みもあります。また、公務員として福利厚生が手厚く保障されているため、妊娠・出産を経験する女性にとっても働きやすい環境が整備されています。

 

4-1.女性検察官の強み

女性検察官は、柔らかい雰囲気で被疑者や参考人からの話を聞き出しやすい面があります。特に、性被害の女性被害者の聴取では女性でなくては聞き出しにくい部分もあるでしょう。

また、一般的に女性は男性に比べて感情に寄り添うのが上手い人が多いです。1つ1つの事件に感情移入し過ぎるのは問題もありますが、事件の当事者の感情を知ることで事件の全貌が見えてくることもあります。

 

4-2.妊娠・出産を経ても復帰できる

検察官は国家公務員です。そのため、産休や育休の制度も整っており、妊娠・出産を経ても仕事に復帰できます。

実際、子育てをしながら検察官を続ける女性も少なくありません。もちろん、子育てをしながら仕事を続けるには家族の理解も必要ですが、それは他の仕事も同じです。公務員としての福利厚生が充実しているのは、女性にとっても働きやすい職種と言うことができるでしょう。

 

5.まとめ

女性検察官の数は着実に増加しています。検察官は、妊娠・出産を経ても復帰できる仕事で、女性であっても一生の仕事と考えられる職業と言えるでしょう。女性初の検事総長も誕生する見込みで、キャリアのトップを目指すことも可能です。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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