法科大学院入試にGPAは必要?関係ない?合格の目安や対策について解説

難関法科大学院(ロースクール)を志望するにあたって、自分のGPAで合格できるのか不安になる方も多いと思います。
各法科大学院によって目安となるGPAは異なるので、ある程度の基準を知っておけば、不合格になる不安を残すことなく勉強を進められるでしょう。
この記事では、法科大学院入試におけるGPAの目安、法曹コースのGPAの基準などについて解説していきます。
GPAに自信がない人がすべき対策についても解説しているので、ぜひ法科大学院入試の参考にして下さい。
【目次】
1.法科大学院(ロースクール)入試におけるGPAとは
2.GPAの重要度は選抜形式や各法科大学院によって異なる
3.法曹コース特別選抜枠(5年一貫型)のGPA基準は?
4.GPAが平均以下だと上位の法科大学院には入学できない?
5.GPAに自信のない人ほど受験指導校を活用して得点力アップを
5-1.司法試験に合格するための盤石な基礎を身につける
6.まとめ
1.法科大学院(ロースクール)入試におけるGPAとは
GPA(Grade Point Average)とは、特定の計算方法で算出された成績評価の指標の1つです。算出方法は、各大学院や入学年度により様々です。
このGPAは学部成績を数値化したものであり、法科大学院入試では、出願の際にGPA値の提出(出願書類に記載)が必要となります。ただし、それぞれの大学院や受験形式によって試験におけるGPAの比重が異なります。
法科大学院入試では、「学部成績等の提出書類に基づいた一次選抜が行われ、その合格者のみ筆記試験を受験できる方法」と、「一次選抜はなく、筆記試験と提出書類の総合評価で合格者を決める方法」の2つのパターンがあります。
いずれにせよ、GPAは合否判定の1つの資料として用いられるので、法科大学院を選ぶ際は、自分のGPAと志望する法科大学院の募集要綱等を、しっかり調査しておく必要があるでしょう。
2.GPAの重要度は選抜形式や各法科大学院によって異なる
合否判定においてどれくらいGPAが重視されるのかは、各法科大学院によって、またその選抜方式によっても異なります。
ここで、2023年(令和5年)の司法試験における、法科大学院別の合格者数のランキングにおいて、上位5校の募集要項を確認してみましょう。
※法科大学院のランキングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→【2024年度版】おすすめの法科大学院ランキング!合格率や難易度・穴場の法科大学院も解説
【2023年度司法試験合格者数上位5校のGPA取り扱い】
GPAの取り扱い | |
東京大学 法科大学院 | 【第1段階選抜】 外国語の能力及び学業成績等を総合的 に審査する 【第2段階選抜】 入学願書、外国語の能力、学業成績 筆記試験の成績を総合的に審査する |
慶應義塾 大学 法科大学院 | 【法学既修者コース 一般選抜(6科目) 法学既修者コース 特別選抜(開放型)】 論文式試験:80% 志願者報告書・学部成績など:20% 【法学未修者コース】 小論文式試験:60% 志願者報告書・学部成績など:40% |
京都大学 法科大学院 | 【5年一貫型教育選抜】 学業成績等出願書類の審査結果:400点 口述試験:50点 【法学既修者枠】 学業成績等出願書類の審査結果:400点 論述試験の成績:550点 ※法学部3年次出願枠については350点 【法学未修者一般選抜】 学業成績等出願書類の審査結果:100点 小論文試験:200点 |
早稲田大学 法科大学院 | 【特別選抜(5年一貫型)】 出願書類による書類審査および面接試験 の成績を総合的に評価 【特別選抜(開放型)】 出願書類による書類審査の成績および 法律科目論述試験の成績を総合的に評価 【法学既修者の選抜】 出願書類による書類審査および法律科目 論述試験の成績を総合的に評価 ※ 法律試験成績および提出書類において 法律能力を証明する資料が特に評価されます。 【法学未修者選抜】 出願書類による書類審査および小論文 試験の成績を総合的に評価 |
一橋大学 法科大学院 | 【法学既修者】 TOEICまたはTOFEL iBTの成績、 法学論文試験、学業成績、自己推薦書 および面接試験の結果を総合的に考慮 【法学未修者】 TOEICまたはTOFEL iBTの成績、 小論文試験、学業成績、自己推薦書 および面接試験の結果を総合的に考慮 |
<参照資料>
【令和6年度(2024年度)】東京大学法科大学院 募集要項
【令和6年度(2024年度)】慶應義塾大学法科大学院 募集要項
【令和6年度(2024年度)】京都大学法科大学院 募集要項
【令和6年度(2024年度)】早稲田大学法科大学院 募集要項
【令和6年度(2024年度)】一橋大学法科大学院 募集要項
ここに挙げた5校では、成績証明書やGPA証明書の提出が義務付けられていることから、GPA等の学業成績が合否判定に関わることは明らかですが、合格基準となるGPAは特に明示されていません。
ただし、慶應義塾大学法科大学院や京都大学法科大学院のように、学部成績を含む書類審査の割合が明示されているケースもあります。
どの法科大学院も、一定のGPAがあることを受験資格としているわけではないので、GPAが低いことだけを理由にして不合格になることはありません。
一方で、GPAに自信のない方は、GPAの比重が低いところを志望するのも受験戦略の1つです。
3.法曹コース特別選抜枠(5年一貫型)のGPA基準は?
法曹コース特別選抜枠(5年一貫型)に出願するためのGPAの目安は、各法科大学院によって異なります。
例えば、一橋大学法科大学院と慶應義塾大学法科大学院では、法曹コースにおけるGPAの基準を次のように公表しています。
【一橋大学法科大学院・5年一貫型教育選抜】・法曹コースの修了要件とされている法学部教育科目54単位全てを取得し、かつGPAが3.2以上であること
・GPA対象科目の総履修単位についてのGPAが3.5以上であること
参照:2024年度 一橋大学法科大学院 5年一貫型教育選抜 募集要項
【慶應義塾大学法科大学院・特別選抜(5 年一貫型)】
法曹コースに開設される必修科目の単位を優秀な成績で修得したことの判断にあたっては、GPAが3.0 以上であることを目安とする」とされています。
参照:慶應義塾大学 2024年度実施 大学院法務研究科法曹養成専攻(法科大学院) 募集要項
※2章でご紹介した法科大学院別の合格者数のランキング上位5校については、一橋大学法科大学院と慶應義塾大学法科大学院以外、GPAの取り扱いについて公表していません。
法曹コース特別選抜枠(5年一貫型)を利用して法科大学院に入学するためには、各大学院で定められているGPAの基準をクリアしている必要があります。
5年一貫型で出願する場合には、設定されているGPAの基準をあらかじめ確認しておくようにしましょう。
4.GPAが平均以下だと上位の法科大学院には入学できない?
対して、一般選抜枠入試では、明確にGPAの基準が設けられているわけではありません。そのため、GPAが低いからといって必ずしも不合格になるわけではありません。
もちろん、GPAが極端に低い場合には、一次試験(書類選考)で不合格になってしまう場合もあるかもしれません。しかし、既修者コースにおいては、法律科目における筆記試験の割合が高い傾向にありますので、GPAが平均より下回っていても法律の実力で合格できる可能性は十分あります。
GPAが低いからといって上位法科大学院への進学を諦めてしまうのではなく、今後の学部成績を上げることと、筆記試験の得点を伸ばすことをメインに勉強を進めていけば、必ず自分にとってメリットの大きい結果をもたらしてくれます。
GPAと勉強の進捗度合い、法科大学院の求めるGPAの基準や割合などを総合的に判断し、自分にとって司法試験に合格する確率の高い法科大学院を選択するようにしましょう。
※法学部で好成績を挙げGPAを上げる方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→法学部は難しい?GPAを上げて弁護士への道を切り開く方法
5.GPAに自信のない人ほど受験指導校を活用して得点力アップを
GPAに自信がない場合には、受験指導校の講義を受けて、法律の論文式試験の得点力アップを目指しましょう。
特に、法律の試験の成績を重視する既修者コースであれば、最終的には筆記試験(論文式試験)の結果次第で合否が決まります。
大学入学後の早い段階から受験指導校で司法試験を意識した勉強をしていれば、法科大学院入試レベルの試験なら問題なく得点できるような実力を身につけることができます。
5-1.司法試験に合格するための盤石な基礎を身につける
ライバル達よりも早く勉強を開始することで、予備試験や司法試験に合格できるだけの基礎力を時間をかけて磨くことができます。
法科大学院に入学する目的は、最終的に司法試験に合格することです。そのため、法科大学院入試では、司法試験に合格するための下地(基礎)ができているかどうかが判定されます。
基礎を疎かにすると、司法試験や予備試験だけでなく、法科大学院入試にすら落ちてしまう可能性があります。
法科大学院入試で問われる「法的知識」と論文式試験で得点するための「書く力」を養うためには、合格に最適化されたテキスト・講義を使って勉強することが、もっとも近道になるのです。
下記は、法科大学院に特待生合格した伊藤塾受講生の体験記です。
B.Oさん(慶應義塾大学法学部3年)特待生合格
【合格校】
慶應義塾大学法科大学院(既修)
中央大学法科大学院(既修) 全額免除
受講講座:司法試験入門講座本科生+法科大学院別過去問分析講義,慶應義塾大学編・法科大学院別過去問分析講義,早稲田大学編
「法科大学院入試は伊藤塾の教材のみで十分対応できる」
伊藤塾に入塾したのは大学2年生になる前の春休みでした。今思うと、コロナでひきこもっていた1年生の時期を勉強に費やさず、溝に捨てたのは痛かったと感じています。法曹を目指したいという決意があれば勉強の開始が遅すぎるということはないのかもしれませんが、これを見ている人で迷っている人がいたら、できるだけ早く勉強を始めたほうが良いと思います。特に大学生は、低学年から始めることで学部GPAも上げられるというメリットもあります。
過去問を除き、私は伊藤塾の教材以外は使いませんでした。さすがに判例百選も使わなかったのはまずかったかと思いますが、少なくとも法科大学院入試では、様々な教材に手を出さずとも、基礎マスター、論文マスター、論ナビ等伊藤塾の教材のみで十分対応できると思います。
※B.Oさんの勉強法や合格の秘訣など、さらに詳しい内容はコチラをご覧ください。
他にも、たくさんの体験談を掲載していますので、ぜひ、参考にしてみてください。
→2024年度 法科大学院(法曹コース・一般入試)合格体験記
6.まとめ
法科大学院入試では、筆記試験の成績の他に学部成績(GPA)が重要になりますが、その基準は各大学院ごとに異なります。
法曹コース(早期卒業)で受験する場合を除き、基本的には明確にGPAの基準が設けられているわけではないので、GPAが低いからといって必ずしも上位の法科大学院に入学できないわけではありません。
ただし、他の受験生と差をつけられないようにするためには、一定以上のGPAは維持しておく必要があるでしょう。
早いうちから受験指導校で司法試験(予備試験)に向けた勉強を開始すれば、司法試験や予備試験に合格できるだけの力をつけられるだけでなく、学部試験で好成績、GPAの向上、法科大学院への成績上位合格、法科大学院での好成績など、多くのメリットがあります。
GPAが低くて法科大学院に入学できるか不安に思っている方は、受験指導校のカウンセリング等を利用して、今後の勉強方針や志望校などをぜひ相談してみてください。
伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。
無料の体験受講や説明会も実施していますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。
2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※12024年 予備試験合格者 449人中 405名(90.2%)※2
が伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)
なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

著者:伊藤塾 司法試験科
伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

伊藤塾 司法試験科
司法試験入門講座
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