司法試験対策におすすめの基本書・参考書とは?基本書学習で合格は可能?

法律学習の教科書には、学者が書いた専門書である基本書と、各受験指導校が出版している予備校本があります。
書店の法律書のコーナーには沢山の本が並んでいます。これから司法試験の対策を始められる方は、どの本から手を付けたら良いのかと迷う方も多いことでしょう。
そこで、この記事では、基本書と予備校本の特徴を解説したうえで、おすすめの基本書の紹介もしていきます。基本書・予備校本選びの参考にぜひご活用ください。
【目次】
1.司法試験の基本書とは?
1-1.基本書学習のメリット
1-2.基本書学習のデメリット
2.司法試験の参考書(予備校本)とは?
2-1.予備校本学習のメリット
2-2.予備校本学習のデメリット
3.【科目別】おすすめの基本書
3-1.憲法
3-2.行政法
3-3.民法
3-4.商法
3-5.民事訴訟法
3-6.刑法
3-7.刑事訴訟法
4.基本書・参考書のみの学習では合格は難しい?
4-1.自学自習では理解が難しい
4-2.司法試験の勉強はアウトプットも重要
4-3.最新の判例・改正に対応できない
5.司法試験の合格には受験指導校の利用がおすすめ
6.まとめ
1.司法試験の基本書とは?
基本書とは、学者が書いた法律の専門書のことです。ここでは、基本書を使用して司法試験の学習を行うメリットとデメリットを解説します。
1-1.基本書学習のメリット
基本書は、学者が特定の法律科目について網羅的に一貫性をもって解説したものです。そのため、基本書を通読すると、その法律科目を体系的に理解できるようになります。
論点についても、問題の所在や学説の対立状況、自身の学説を採用する根拠などが論理的に説明されています。切り抜きではないそのままの文書を読むことで、個々の論点の理解を深めることもできるでしょう。
1-2.基本書学習のデメリット
基本書は、試験対策のための本ではなく、法律を学ぶための専門書です。そのため、特に初心者にとっては難しい内容も多く含まれています。基本書を読むだけで理解するのは相当に難しい作業と言えるでしょう。
自分のレベルに合わない基本書を選んでしまうと、勉強を挫折してしまう原因ともなります。
また、基本書によっては、自分の学説を当然の前提として記載されているものもあります。法律の学習では、論点ごとの判例・学説を理解することが重要です。自身の学説を前提として記載された基本書では、論点の所在にすら気付けないこともあるため注意が必要でしょう。
基本書は、試験対策のために記載されたものではないため、基本書を読むだけでは、試験で重要な箇所とそうではない箇所の区別ができません。試験にほとんど出題されない箇所の記述が多かったり、その逆で良く出題される箇所の記述が少なかったりすることもあります。
2.司法試験の参考書(予備校本)とは?
司法試験の予備校本とは、学者ではなく各受験指導校が出版している司法試験の教科書のことです。
ここでは、予備校本で学習するメリットとデメリットを見ていきましょう。
2-1.予備校本学習のメリット
基本書は、試験向けに書かれたものではなく、内容も専門的なものであるため、理解するのが難しい部分も多くあります。一方で、予備校本は、試験対策に特化したもので、専門的な内容もかみ砕いて分かりやすく記載されています。
さらに、試験の出題頻度に応じたメリハリ付けもされているため、試験での重要箇所とそうでない箇所とを区別しながら学習を進めることが可能です。
試験の合格に必要な知識を分かりやすく効率的に学べるのが予備校本のメリットと言えるでしょう。
2-2.予備校本学習のデメリット
予備校本は、過去の試験問題や基本書の中から、試験で必要とされる知識を中心に抽出して作成されています。そのため、法律を学ぶうえでは基本的な部分での抜けがあったり、1つ1つの論点の理解が浅くなってしまうものもあるようです。
そのため、予備校本だけを利用した表面的な理解では本番の司法試験で通用しないなどと批判されることもあります。しかし、実際には、基本書を使用せず、受験指導校や予備校本を使用して合格している受験生も多くいるため、このような批判を真に受ける必要はありません。
3.【科目別】おすすめの基本書
基本書は、科目ごとに多くの種類が出版されており、好みも人それぞれです。初心者の方は、どれを選んだら良いか検討もつかないという方も多いでしょう。
司法試験の対策として基本書を利用するのであれば、最もメジャーな基本書を選ぶのが無難です。司法試験では、独創的な思考は求められません。多くの受験生が使用するメジャーな基本書を理解しておくのが重要です。
ここでは、科目別で多くの受験生が使用するメジャーな基本書を紹介していきます。複数の基本書を紹介する科目もありますが、全てを購入する必要はありません。手を広げすぎず、その中から自分に合う1冊を選び、何度も繰り返すのが知識を定着させるポイントです。
3-1.憲法
◉木下智史・伊藤建「基本憲法Ⅰ基本的人権」(日本評論社)
近年、司法試験受験生に人気のある基本書です。ケースメソッドを採用しているため、事例に触れながら学習を進めることができます。司法試験での事例問題にも対応しやすくなるでしょう。
◉芦部信喜「憲法」(岩波書店)
長年にわたり司法試験受験生の定番となっている基本書です。著者の学説は現在においても多くの論点で通説とされており、安心して学習を進められる一冊と言えるでしょう。
3-2.行政法
◉中原茂樹「行政法」(日本評論社)
基本事例を具体例に即して確実に理解することをコンセプトに作成されています。ケースメソッドやイメージ図が多く、自学自習でも読み進めやすい構成となっています。
3-3.民法
◉潮見佳男「民法(全)」(有斐閣)
範囲が膨大な民法を1冊でコンパクトに解説しています。コンパクトながら具体例も豊富で、民法をひと通り学ぶには最適な1冊です。
◉平野裕之「コア・テキスト民法」(新世社)
こちらは、全6冊で構成された基本書です。1つ1つの分野をじっくりと学びたい方にはおすすめの基本書と言えます。
3-4.商法
◉田中亘「会社法」(東京大学出版)
会社法の基本原則や制度趣旨など基礎的な事項から、最新の重要判例まで、会社法の全てを網羅できる1冊です。予備校本で理解が進まない部分を補うだけでも利用価値のある1冊と言えるでしょう。
3-5.民事訴訟法
◉和田吉弘「基礎からわかる民事訴訟法」(商事法務)
タイトルには「基礎から」とありますが、司法試験合格のために十分な知識を学ぶことのできる1冊です。表やイメージ図も多く、初心者でも理解しやすい作りとなっています。
3-6.刑法
◉大塚裕史・十河太朗・塩谷毅・豊田兼彦「基本刑法」(日本評論社)
憲法でも紹介した基本シリーズの刑法版です。こちらもケースメソッドを採用しており、具体的な事例をイメージしながら学習を進めることができます。
3-7.刑事訴訟法
◉池田修・前田雅英「刑事訴訟法講義」(東京大学出版)
著者の池田氏は元裁判官で、実務的な観点から刑事訴訟法を網羅的に学習できます。司法試験の学習で重要な、判例の分析も丁寧に行われています。
4.基本書・参考書のみの学習では合格は難しい?
ここまで、基本書・参考書を使用した司法試験の学習方法について解説してきました。しかし、実際のところは、基本書・参考書のみの学習では司法試験に合格するのは難しいです。
ここでは、基本書・参考書のみの学習では司法試験に合格するのが難しい理由について解説します。
4-1.自学自習では理解が難しい
法律の学習は専門的な分野を扱うため、前提の知識がない初学者が自学自習をしても理解が進まない場合が多いかもしれません。予備校本やわかりやすい基本書を使用しても、読むだけでは理解できない分野がでてきてしまう可能性があります。
法律科目の理解が難しい理由の1つとして、法律科目は正解のない科目であるということが挙げられます。司法試験の学習で必要となる論点の理解でも、判例や学説が対立しており、絶対的な正解があるわけではありません。正解のないものを、自学自習で学び、1つ1つ納得して理解していくことは非常に難しいことです。
ひとつでも理解できない部分があると先に進めるのも難しくなり、学習効率も大きく落ちてしまいます。
4-2.司法試験の勉強はアウトプットも重要
司法試験の勉強では、基本書や参考書を使用したインプットだけでなく、アウトプットも重要です。
短答式試験は、複数の選択肢から正解を選び出すものなので、正確なインプットができていれば合格点に達することも可能でしょう。しかし、論文式試験では、オリジナルの事例問題について、自分なりの正解を導き出す必要があります。
論文式試験では、知識だけでなく、問題の分析力と論理的な文書を作成する能力も必要とされます。論理的な文書を作成するためには、実際に自分で何度も答案を書くアウトプットが欠かせません。
そして、作成した答案については、自分自身で評価するのではなく、他人の添削を受けたうえで、改善点を見つけていく必要があります。こうした学習は、基本書や参考書を使用するだけではできないでしょう。
4-3.最新の判例・改正に対応できない
法律の世界では、常に重要な判例が出てきたり、法律の改正が行われたりしています。最新判例や法改正の知識は、司法試験でも必要とされます。
基本書や参考書は、常にアップデートされているわけではありません。そのため、学習の開始時には最新の情報であっても、試験を受けるときには、古い情報となっている可能性もあります。
最新の判例や法改正を知るためには、受験指導校を利用するなどして、最新情報に触れられる状況にしておくことが必要です。
5.司法試験の合格には受験指導校の利用がおすすめ
司法試験の合格には、基本書や参考書を使用した自学自習ではなく、受験指導校の利用がおすすめです。
その中でも、創設以来27年間積み上げてきた圧倒的な合格実績を誇る伊藤塾の利用を特におすすめします。最新の令和4年司法試験では、合格者の80%以上が伊藤塾の有料講座受講生でした。
司法試験は長丁場の試験なので、試験に合格するためにはスタートでつまずかないことが重要です。
伊藤塾の入門講座では、長年の受験指導で創り上げてきた盤石のメソッドで、合格のために必要十分な知識を効率的に学ぶことができます。自学自習では理解できない難解な分野も、丁寧な講義を受けることで格段に理解しやすくなるでしょう。
オンラインでのサポートも充実しており、疑問点はいつでも質問可能です。
また、入門講座には、基礎インプットの段階から短答・論文のアウトプット答練も並行できる講座や質の高い論文のWEB添削も含んでいるため、試験対策は万全です。
司法試験の勉強をスタートしようと考えている方は、ぜひ伊藤塾までお問い合わせください。
6.まとめ
司法試験の学習を進めるうえで、基本書や参考書を有効利用するのは重要なことです。しかし、基本書や参考書を読むだけでは、試験に合格するのは難しいと言えるでしょう。
司法試験は法律知識をインプットするだけでなく、アウトプットの訓練も非常に重要だからです。
とくに、論文式試験の対策として良質な添削指導を受けることは必須と言ってもよいでしょう。
したがって、司法試験合格のためには、予備校を上手く活用して、効率的に学習を進める必要があります。
伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。
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※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)
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著者:伊藤塾 司法試験科
伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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