【令和4年度(2022年度)】予備試験の合格率と合格者数を短答・論文・口述の各試験ごとに解説!

令和4年(2022年)11月17日、令和4年度の予備試験の結果が法務省より発表されました。
今年予備試験を受験した方や来年以降に受験を考えている方にとって、予備試験の合格率がどのくらいだったのかは非常に気になるところだと思います。
本記事では、令和4年度の予備試験の試験結果について、短答・論文・口述の各試験毎に徹底的に分析していくとともに、年齢や性別、職種などさまざまな観点から今後の予備試験の傾向を探って行きますので、今後予備試験を受験する予定のある方はぜひ参考にしてみてください。
【目次】
1.予備試験の合格率の推移
2.令和4年度(2022年度)の予備試験の合格者と最終合格率
3.性別、年齢、職種、学歴から見る予備試験の合格者数
3-1.年齢別で見る予備試験の合格者数
3-2.職種別に見る予備試験の合格者数
3-3.最終学歴から見る予備試験の合格者数
3-4.過去の司法試験の受験歴から見る予備試験の合格者数
4.これから予備試験の最終合格をめざすために
1.予備試験の合格率の推移
平成23年(2011年)に予備試験が開始され、2022年で12回目の予備試験が行われました。
近年の予備試験の合格率は例年4%前後で推移していますが、これまで予備試験の合格率はどのように推移してきたのでしょうか。
法務省から発表されているデータをもとに、試験が開始された平成23年から令和4年までの短答、論文、口述各試験の各合格率を確認してみましょう。
出願者数 | 短答式試験 | 論文式試験 | 口述式試験 | 最終 合格率 | |||||||
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |||
平成23年 | 8,917 | 6,477 | 1,339 | 20.7% | 1,301 | 123 | 9.5% | 122 | 116 | 95.10% | 1.80% |
平成24年 | 9,118 | 7,183 | 1,711 | 23.9% | 1,643 | 233 | 14.2% | 233 | 219 | 94.00% | 3.00% |
平成25年 | 11,255 | 9,224 | 2,017 | 21.9% | 1,918 | 381 | 19.7% | 379 | 351 | 92.60% | 3.80% |
平成26年 | 12,622 | 10,347 | 2,018 | 19.5% | 1,913 | 392 | 20.50% | 391 | 356 | 91.10% | 3.40% |
平成27年 | 12,543 | 10,334 | 2,294 | 22.2% | 2,209 | 428 | 19.40% | 427 | 394 | 92.30% | 3.80% |
平成28年 | 12,767 | 10,442 | 2,426 | 23.2% | 2,327 | 429 | 17.70% | 429 | 405 | 94,4% | 3.90% |
平成29年 | 13,178 | 10,743 | 2,299 | 21.3% | 2,200 | 469 | 21.30% | 469 | 444 | 96.50% | 4.10% |
平成30年 | 13,746 | 11,136 | 2,661 | 23.8% | 2,551 | 459 | 17.90% | 456 | 433 | 94.90% | 3.90% |
令和元年 | 14,494 | 11,780 | 2,696 | 22.9% | 2,580 | 494 | 19.10% | 494 | 476 | 96.40% | 4.00% |
令和2年 | 15,318 | 10,608 | 2,529 | 23.8% | 2,439 | 464 | 19.00% | 462 | 442 | 95.70% | 4.20% |
令和3年 | 14,317 | 11,717 | 2,723 | 23.2% | 2,695 | 481 | 18.20% | 476 | 467 | 98.10% | 4.00% |
この表を見てもらえれば分かる通り、近年の予備試験の最終合格率は例年4%前後で推移しており、国家試験の中でも最高難易度に位置する試験であるといえるでしょう。
毎年短答式試験に受験者の2割程度が合格し、合格者は論文式試験を受ける事になります。
さらにその中から2割程度の合格者が口述式式試験を受けることができ、最終的な合格率は例年4%程度に収まるというのが流れになっています。
予備試験ルートで司法試験に合格した方の中には、司法試験よりも予備試験の方が厳難しかったという声もあるくらい、予備試験は難易度の高い試験になっています。
直近の司法試験の合格率は40%程度と、予備試験の合格率と比べると10倍くらい差があることからも、予備試験のレベルの高さが伺えるでしょう。
ちなみに、他の法律関係の資格と比較してみると、行政書士試験の合格率は8~15%、司法書士試験の合格率は3~5%程度となっていますので、特に合格率が低い試験というわけではありません。
2.令和4年度(2022年度)の予備試験の合格者と最終合格率
それでは令和4年度の予備試験の結果はどうだったのでしょうか。
口述式試験の結果から、最終合格率を見てみましょう。
出願者数 | 短答式試験 | 論文式試験 | 口述式試験 | 最終 合格率 | ||||||||
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | ||||
令和4年 | 16,145 | 13,004 | 2,829 | 21.70% | 2,633 | 479 | 17.80% | 481 | 472 | 98.10% | 3.60% |
令和4年度の司法試験予備試験は最終合格率3.6%と例年よりも若干低い合格率となりました。
令和4年度の予備試験は出願者数が16,145人、受験者数が13,004人と過去最大の人数となり短答式試験の合格者数も2,829人とこちらも過去最大の人数となっています。
その反面、短答合格率は21.7%と例年通りの数字となっています。
論文式試験に関しては、受験者数2,633人という数字は試験史上2番目に多い数字となります。
合格率は17.8%と若干低いものですが過去の合格率の範囲内となっています。
口述試験に関しては、受験者数481人に対し、合格者数が472人で合格率は98.1%と、昨年に引き続き高い合格率となっています。
最終合格率に関しては、受験者数13,004人に対し、最終合格者が472人、合格率3.6%と例年よりも若干低いものとなりましたが、概ね例年通りの合格率となっているでしょう。
3.性別、年齢、職種、学歴から見る予備試験の合格者数
令和4年度予備試験の合格率は3.6%となりましたが、年齢、職種、学歴別で合格者の数はどう変化するのでしょうか。
さまざまな角度から予備試験の合格者を分析することで、今後の予備試験の傾向を確認していきましょう。
3-1.年齢別で見る予備試験の合格者数
次に、年齢別に予備試験のデータを確認してみましょう。
年齢別 | 出願者 | 受験者 | 短答合格者 | 論文合格者 | 最終合格者 |
19歳以下 | 142 | 125 | 10 | 2 | 2 |
20~24 | 4,799 | 4,320 | 817 | 283 | 279 |
25~29 | 1,808 | 1,422 | 270 | 70 | 67 |
30~34 | 1,554 | 1,177 | 239 | 35 | 34 |
35~39 | 1,542 | 1,131 | 247 | 39 | 39 |
40~44 | 1,410 | 1,037 | 290 | 22 | 22 |
45~49 | 1,335 | 991 | 262 | 12 | 11 |
50~54 | 1,228 | 946 | 241 | 7 | 7 |
55~59 | 963 | 766 | 212 | 7 | 7 |
60~64 | 693 | 540 | 136 | 4 | 4 |
65~79 | 640 | 526 | 104 | 0 | 0 |
80歳以上 | 31 | 23 | 1 | 0 | 0 |
合計 | 16,145 | 13,004 | 2,829 | 481 | 472 |
合格者の最低年齢は18歳、最高齢は64歳、平均年齢は27.73歳という結果となりました。
また、20〜24歳の合格者が279名と最も多くなっています。
逆に65歳以上の合格者は出ていません。
3-2.職種別に見る予備試験の合格者数
職種別で見ると合格者数はどのように変化するのか確認してみましょう。
職種別 | 出願者 | 受験者数 | 短答合格者 | 論文合格者 | 最終合格者 |
公務員 | 1,595 | 1,193 | 289 | 31 | 30 |
教職員 | 202 | 154 | 17 | 2 | 2 |
会社員 | 3,717 | 2,789 | 546 | 46 | 45 |
法律事務所事務員 | 328 | 267 | 60 | 7 | 7 |
塾教師 | 146 | 115 | 31 | 3 | 3 |
自営業 | 835 | 625 | 148 | 9 | 9 |
法科大学院生 | 1,246 | 1,067 | 255 | 130 | 124 |
法科大学院以外 の大学院生 | 38 | 30 | 9 | 196 | 0 |
大学生 | 4,244 | 3,786 | 670 | 49 | 196 |
無職 | 3,186 | 2,514 | 685 | 481 | 48 |
その他 | 608 | 464 | 119 | 8 | 8 |
総計 | 16,145 | 13,004 | 2,829 | 481 | 472 |
合格者472名のうち196名、41.5%が大学生となり、職種別では一番多い合格者数となっています。
次に多いのは合格者124名、26.3%で法科大学院生となっており、大学生、法科大学院生だけで、合格者全体の約7割を占める結果となりました。
3-3.最終学歴から見る予備試験の合格者数
法科大学院生なのか、そうでないのかで予備試験の最終合格者数は変わるのでしょうか。ここでは最終学歴別に予備試験の合格者数を確認していきます。
最終学歴別 | 出願者 | 受験者数 | 短答合格者 | 論文合格者 | 最終合格者 |
大学卒業 | 6,049 | 4,718 | 1,111 | 90 | 87 |
大学在学中 | 4,306 | 3,835 | 672 | 196 | 196 |
大学中退 | 376 | 253 | 51 | 2 | 2 |
法科大学院修了 | 1,815 | 1,325 | 433 | 33 | 33 |
法科大学院在学中 | 1,290 | 1,101 | 260 | 132 | 12 |
法科大学院中退 | 374 | 273 | 45 | 5 | 5 |
法科大学院以外の 法科大学院修了 | 1,064 | 832 | 183 | 18 | 18 |
法科大学院以外の 法科大学院在学中 | 55 | 45 | 10 | 0 | 0 |
法科大学院以外の 法科大学院中退 | 135 | 97 | 23 | 1 | 1 |
短期大学卒業 | 66 | 50 | 1 | 0 | 0 |
短期大学卒在学中 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
短期大学中退 | 6 | 4 | 0 | 0 | 0 |
高校卒業 | 309 | 236 | 22 | 1 | 1 |
高校在学中 | 42 | 37 | 2 | 1 | 1 |
高校中退 | 60 | 49 | 7 | 2 | 2 |
その他 | 196 | 149 | 9 | 0 | 0 |
合計 | 16,145 | 13,004 | 2,829 | 481 | 472 |
大学在学中の合格者が196名と合格者全体の41.5%を占める結果となりました。
ついで、大学卒業が87名、法科大学院修了が33名という結果となっており、概ね例年通りの結果と言えるでしょう。
3-4.過去の司法試験の受験歴から見る予備試験の合格者数
最後に、予備試験合格者の過去の司法試験の受験歴も確認してみましょう。
過去の司法試験の 受験経験 | 出願者 | 受験者数 | 短答合格者 | 論文合格者 | 最終合格者 |
なし | 11,464 | 9,445 | 1,696 | 419 | 411 |
旧司法試験のみ 受験した事がある | 2,851 | 2,201 | 679 | 26 | 25 |
現行の司法試験のみ 受験したことがある | 765 | 555 | 138 | 21 | 21 |
両方とも受験した 事がある | 1,065 | 803 | 316 | 15 | 15 |
合計 | 16,145 | 13,004 | 2,829 | 481 | 472 |
こちらも例年通り、司法試験受験歴のない人の合格者数が最多で、411名、合格者全体の87.0%という結果となりました。
多くがゼロから学習を開始して予備試験を受験しているということを示しています。
4.これから予備試験の最終合格をめざすために
令和4年度の司法試験予備試験の合格率は3.6%でしたが、最終合格者のうちで最も高い割合を占めているのは「大学在学中」の受験者で、最終合格者47人中、196人が「大学在学中」の受験者となっています。また、会社員や公務員の方など、「働きながら合格」の方も96人います。
このことからも分かるとおり、予備試験は、予備校の入門講座等を活用して効率的な勉強を行うことによって、大学在学中でも働きながらでも最終合格することが十分に可能な試験だということができます。
また、上の表から読み取れるのは、ほとんどが予備試験をゼロからスタートして合格していることになると思います。
予備試験に最終合格し、司法試験にも最終合格して法曹を目指すために最も重要なことの1つは、できるだけ早い段階で効率的な学習を積み重ねることです。
大学生にせよ社会人にせよ、もっとも重要なことは限られた時間の中で、適切な「選択と集中」を行い、いかに効率よく学ぶことができるかどうか、そしてインプットとアウトプットの順番や配分を含め、合格のための勉強法に最適化できるかということでしょう。
これらの実現のためには、予備試験や司法試験を知り尽くした先輩や指導者から助言や指導をいただくことが必要不可欠です。
もちろん独学での合格は不可能ではありませんが、膨大な年月と労力、その気の遠くなるような時間を勉強に集中し続けられる強靭な精神力があってこそできることです。
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著者:伊藤塾 司法試験科
伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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