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司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)はいつから?概要・注意点・対策を徹底解説

2025年03月04日

 
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司法試験には、マークシート(短答式試験)と記述式(論文式試験)があり、従来より手書き方式で試験が行なわれてきました。

しかし、2023年(令和5年)6月9日、法務省は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の中で、司法試験のデジタル化を進めるために、パソコン受験(CBT方式)を実施することを公表しました。

近年、様々な資格試験において、CBT(Computer Based Testing)やIBT(Internet Based Testing)と呼ばれるパソコンを使用した受験を導入する例が増えてきていますが、司法試験でも、ようやくCBT方式での受験が実現することとなりました。

この記事では、司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)はいつから行なわれるのか、具体的にはどのような点が変更になるのか概略について説明した上で、注意点や対策方法について詳しく解説していきます。

新たに公示された内容なども順次追記してまいりますので、ぜひ、この記事を参考にしていただき、パソコン受験(CBT方式)についての不安を払拭していただければ幸いです。

【目次】
1.司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)とは?
2.司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)はいつから?
3.CBT試験の実施方法について
4.使用するパソコンと文字入力について
5.パソコン受験(CBT方式)における注意点
 5-1.タイピングスピードによって文章量が変わる
 5-2.不慣れなパソコンだと答案作成に影響が出る可能性がある
 5-3.試験問題や採点方法が変更になる可能性がある
 5-4.問題処理速度次第で点差が開く可能性がある
6.パソコン受験(CBT方式)の対策とは?今のうちからやっておくべきこと
 6-1.タイピングに慣れておく
 6-2.採点者にわかりやすい答案構成力を身につける
 6-3.CBT対応答練で時間配分を考えておく
 6-4.CBT対応教室を活用して現場感覚を掴む
 6-5.CBT方式に合わせてブラッシュアップされた受験指導校の講義を活用する
7.まとめ

 

1.司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)とは?

司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)とは、法務省が2023年(令和5年)6月9日に公表した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に明記されている具体的なデジタル化の施策の一つで、司法試験及び予備試験において、パソコンを利用して答案を作成する方式のことを指します。
参照:デジタル社会の実現に向けた重点計画|デジタル庁

CBT方式とは、Computer Based Testingのことで、コンピュータを利用して実施する試験方式のことです。

パソコン受験と言っても、IBTのように自宅にいながらオンラインで受験できるようになるわけではなく、不正防止のため、受験会場に用意されたインターネットに接続していないパソコンを用いて答案を作成することが想定されています。

法務省によると、司法試験においてパソコン受験(CBT方式)を導入する目的は次の通りです。

【司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)導入の目的】

・受験者の利便性を向上させる
→手書きによる負担を軽減する
・試験関係者の負担を軽減する
→判別できない文字を無くし、採点者の負担を軽減させる


司法試験では、従来より手書き方式で試験が行われてきましたが、実務の現場において、手書きの書面を作成して提出する場面はほとんどありません。裁判においても、相手方とやり取りする際も、基本的にはパソコンで作成した書面を利用して手続きを進めていくことになります。

パソコン受験(CBT方式)の導入は、こうした実務の世界でのデジタル化の流れを汲んだ形での試験方式に変更されることを意味します。つまり、司法試験では、実務家として必要となるパソコンでの文書作成能力が求められることにもなります。

また、CBT方式による司法試験は、すでにニューヨーク州などで導入されており、諸外国の事例を参考にしながら、今後さらなる詳細が決まっていくものと思われます。

以下、令和6年11月までに法務省より公示された「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」を踏まえてご案内いたします。

 

2.司法試験におけるパソコン受験(CBT方式)はいつから?

試験CBT試験導入年度
司法試験(短答式試験)令和8年(2026年 )
司法試験(論文式試験)令和8年(2026年 )
予備試験(短答式試験)未定
予備試験(論文式試験)令和8年(2026年 )

司法試験については、令和8年試験から短答式試験及び論文式試験のいずれにもCBT試験を導入することを目指しています。

司法試験予備試験については、令和8年試験においては、論文式試験のみを対象としてCBT試験を導入することを目指しています。

なお、司法試験のデジタル化に向けて併せて実施される「出願手続、受験票・成績通知書の交付等のオンライン化」については2025年(令和7年度)から段階的に、「受験手数料の納付をキャッシュレス化」については2026年(令和8年度)から開始される予定です。

出典:司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について|法務省
出典:司法試験等のCBT(Computer Based Testing)方式の導入に関するQ&A

 

3.CBT試験の実施方法について

CBT試験では、司法試験委員会(法務省)が用意したパソコンを使用して、集合形式での試験実施が予定されています。

なお、短答式試験においては、解答の修正も、問題をスキップして後から戻ることも可能とされる予定です。

CBT システムに搭載する司法試験用法文の表示形式については、 電子政府の総合窓口(e-Gov)の法令検索のような、横書きでの表示を予定してい ます。

出典:司法試験等のCBT(Computer Based Testing)方式の導入に関するQ&A

 

4.使用するパソコンと文字入力について

全試験場で同等のスペックを有するノートパソコンが用意される予定です。 

用意されるノートパソコンは、以下の基準を満たす予定となっています。 

・OS:Windows 11 Pro
・CPU:1.5 GHz 以上のマルチコアプロセッサ
・メモリ:8GB 以上
・画面解像度:1920×1080 ピクセル以上
・モニターサイズ:16 インチ以上(モニターの対角線の長さが 40.6cm 以上)
・ネットワークインターフェース:IEEE802.11ac 対応
・Windows の日本語用キーボードで、106キーボード、108/109キーボード、112キーボードのいずれかを予定
・マウスを使用予定


CBT試験で使用する文字入力ソフト、また、使用できる機能については以下が予定されています。

・日本語 Microsoft-IME を使用
・コピー、貼り付け、検索等のドキュメント編集に係る一部機能は使用できるようにする
・Windows のキーボードショートカットキー機能は使用できないようにする
・ショートカットキーではなく、マウス操作(※)により当該機能を実行する
・Microsoft-IME の予測文字変換、手書き入力等の機能は使用できないようにする

※画面に表示されている「コピー」「貼り付け」といったボタンをマウスポインターで押下することにより、当該機能を実行することを指します。

出典:司法試験等のCBT(Computer Based Testing)方式の導入に関するQ&A

 

5.パソコン受験(CBT方式)における注意点

パソコン受験(CBT方式)が導入されるのはまだ先の話ですが、2026年(令和8年度)以降に実施される試験を受験する予定のある方は、次の点に注意しておく必要があります。

パソコン受験(CBT方式)における5つの注意点
◉タイピング次第で書ける分量が変わる
◉不慣れなパソコンだと答案作成に影響が出る可能性がある
◉試験問題や採点方法が変更になる可能性がある
◉問題処理速度次第で点差が開く可能性がある
◉パソコンの不具合で焦ってしまう可能性も


ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説していきます。

 

5-1.タイピングスピードによって文章量が変わる 

今まで手書きで行なわれていた司法試験の論文式試験において、パソコンで答案を作成することになるため、タイピング次第で時間内に書ける答案の分量が変わることになります。

タイピングに慣れている人ほど答案構成に時間をかけることができ、また時間内に書ける分量も多くなります。つまり、タイピング次第で、答案の質に差が出てくる可能性があるのです。

従来のように手書きの試験であれば、受験生によって書くスピードが大幅に異なることはありませんでしたが、パソコンで答案を作成するとなると、タイピングが得意な人とそうでない人との間で、書ける分量に大きな差が出てしまう可能性が高いです。

もちろん、ただたくさん書けば合格できる試験ではないので、タイピングが得意であるだけで試験自体に有利になるわけではありません。

しかし、今後、司法試験の学習をする中で、タイピングを使った答案作成の訓練をしておくことは非常に重要になってくると言えるでしょう。

 

5-2.不慣れなパソコンだと答案作成に影響が出る可能性がある

受験時は、法務省側が用意した会場のパソコンを利用して回答することになるため、普段、使い慣れているパソコンと違い、単語登録機能も使えず、予測変換も通常とは異なります。

特に、法律用語は日常的に使われる用語とは異なる使い方をされることがよくあるため、予測変換が上手く行かない可能性がありますので注意が必要です。

試験現場で戸惑わないためにも、キータッチの感覚や細かなキーボードの配置が違うこと、思ったように変換されない可能性なども頭に入れておく必要があるでしょう。

 

5-3.試験問題や採点方法が変更になる可能性がある

従来型の手書き方式からパソコン方式(CBT方式)に変更されることで、問題の傾向や採点方法が変更される可能性があります。

パソコンで答案を作成する場合、今までのように手書きで答案を作成するよりも多くの分量を書ける可能性が高くなることから、問題文のボリュームが増え、問題分析にかける時間が増える可能性があります。

また、タイピングが得意な人の場合、とにかく書く分量を多くして、1つでも多くの論点を拾うような答案を作成できるようになります。そのため、原則である加点方式に従って採点をした場合、全体的に質の低い答案であっても、加点される論点について言及している箇所が増えることで、合格点に達してしまうケースも出てくるでしょう。

このように、とにかく全体の分量を増やせば増やすほど合格しやすくなるという試験になることを避けるため、加点方式に加えて減点方式の採点方法が採用される可能性も考えられます。

もちろん、従来の司法試験で配布される答案用紙の枚数が決まっているように、パソコン受験(CBT方式)でも文字数制限が課される可能性も否定できません。

 

5-4.問題処理速度次第で点差が開く可能性がある

パソコン受験(CBT方式)の場合、問題処理速度が早い人と遅い人で点差が開いてしまう可能性があります。

論文式試験の問題分析における処理速度が遅いと、その分答案構成や解答作成にかけられる時間も変わってきます。

特に、タイピングを駆使して答案を作成する場合、手書きで答案を作成するよりも多くの情報を瞬時に処理しながら答案を作成していくため、従来型の手書きの試験とは違った頭の使い方が必要になります。

パソコン受験(CBT方式)導入により、問題文がより複雑になる可能性があることも併せて考えると、正確に早く答案構成を行なうことで、答案作成にかける時間を多く取ることができるようになるでしょう。

 

6.パソコン受験(CBT方式)の対策とは?今のうちからやっておくべきこと

パソコン受験(CBT方式)が導入される前に、受験生としてやっておくべきことには何があるのでしょうか?

ここでは、次の5つの対策について解説していきます。

パソコン受験(CBT方式)導入前にできる5つの対策
◉タイピングに慣れておく
◉採点者にわかりやすい答案構成力を身につける
◉CBT対応答練で時間配分を考えておく
◉CBT対応教室を活用して現場感覚を掴む
◉CBT方式に合わせてブラッシュアップされた受験指導校の講義を活用する

 

6-1.タイピングに慣れておく

日常生活であまりパソコンを使っていない場合には、パソコン受験(CBT方式)が導入されるまでにタイピングに慣れておく必要があります。

CBT方式では、パソコンで論文を作成することになるため、早く正確にタイピングできる受験生とそうでない受験生との間で、答案の質に差が出てくる可能性があります。

タイピング練習にどこまで時間をかけるべきかは人によって異なりますが、少なくとも日常の使用で不便さを感じない程度には、タイピングに慣れておく必要があります。

実務の世界に出れば、書面作成のほとんどはパソコンで作成することなるため、法律家にとってタイピングは必須のパソコンスキルだと言えます。

もし、タイピングに不安がある場合には、無料のタイピング練習ソフト等を利用してみることをおすすめします。

ただし、法律の勉強を疎かにしてまでタイピング練習に時間をかけることは避けて下さい。

どれだけタイピングが早くても、そもそも論文の内容が適切な内容でない場合には、司法試験に合格することはできません。

あくまでも優先は法律の勉強であることを常に頭に入れておきましょう。

 

6-2.採点者にわかりやすい答案構成力を身につける

パソコン受験(CBT方式)の導入にあたり、今まで以上に、正確な答案構成力を身につけることを意識する必要があります。

パソコンで答案を作成する場合、手書きよりも早く文書を作成できるため、より多くの論点を答案の中に詰め込むことができます。これは、メリットであると同時にデメリットであるとも言えます。文章が長くなればなるほど、全体としてメリハリのない文章になる可能性が高く、何を言いたいのか、答案のポイントはよくわからなくなる可能性があるからです。

そのため、今まで以上に、読み手である採点者が分かりやすいような答案構成に力を入れる必要があります。

 

6-3.CBT対応答練で時間配分を考えておく

パソコン受験(CBT方式)が導入される前に、CBT方式対応の答練を活用して、本番当日の時間配分をしっかり固めておく必要があります。

手書きよりも早く答案を作成できるCBT方式では、より答案構成に時間をかけられるようになります。そのため、自分の中で答案構成にかける時間と答案作成に書ける時間の配分をしっかり頭に入れておく必要があると言えます。

もちろん、人によってタイピング速度や問題処理速度も異なるため、時間配分を一概に決めることはできません。

また、長時間継続してタイピングを行なうことになるため、指の負担から後半のタイピング速度が落ちることもあるでしょう。

これら全ての要素を加味した上で、実際にパソコンで答練を受けてみることで、自分なりのペース配分をあらかじめ身体に染み込ませておくことが重要です。

CBT対応の答練であれば、時間配分を身につける訓練になるだけでなく、パソコンを利用した受験の雰囲気や機材トラブルがあった時の対処法についても学ぶことができます。

 

6-4.CBT対応教室を活用して現場感覚を掴む

各受験指導校が提供するCBT対応教室を活用することで、あらかじめ試験当日の現場感覚を掴んでおく事も、有効な対策と言えるでしょう。

伊藤塾では、誰も体験したことがないCBT方式の現場シミュレーションができる「CBT対応教室」を開室予定です。

パソコンに苦手意識がある人も、定期的に現場シミュレーションを行なっておく事で、試験当日も安心して試験問題に集中することができます。

伊藤塾はCBT完全対応の準備ができています。ぜひ詳細をご確認ください。
2026年から実施のCBT方式にも完全対応

 

6-5.CBT方式に合わせてブラッシュアップされた受験指導校の講義を活用する

手書き方式からCBT方式への変更に伴い、試験問題や採点方式が変わる可能性があります。もし、試験問題や採点方式が変わっても得点を伸ばせるように、受験指導校を利用して、CBT方式に合わせてブラッシュアップされた講義を受講しておくと良いでしょう。

伊藤塾では、AIによる本試験分析データを基に、経験豊かな講師陣がブラッシュアップした教材や問題を使用して講義を行なっています。これらの講義を有効活用して勉強することで、CBT導入後の試験でも効果的に得点できるだけの実力を身につける事ができます。

CBT方式に関する情報についても、法務省から発表があり次第すぐに対応しているため、リアルタイムで最新の情報を手に入れる事もできます。
2026年から実施のCBT方式にも完全対応 

 

7.まとめ

司法試験でパソコン受験(CBT方式)が導入されるのは、2026年(令和8年度)に実施される試験からです。

詳細な情報は法務省から発表されていませんが、パソコンで答案を作成することになる以上、最低限のタイピングはできるようにしておく必要があります。

ただし、タイピング練習にあまりに時間をかけすぎてしまい、法律の勉強自体が疎かになってしまっては意味がありません。

受験指導校が提供している、CBT対応答練やCBT対応教室などを活用して、効率よくパソコン受験に対応することをおすすめします。

伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。

無料の体験受講や説明会も実施していますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。

2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※1
2024年 予備試験合格者 449人中 405名(90.2%)※2
伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)

なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

 

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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