司法試験の受験資格とは?中卒・高卒での資格取得方法や取得までの年数を解説

司法試験の受験資格を取得するためには、予備試験ルートと法科大学院ルートと大きく分けて2つのルートがあります。これから司法試験の受験を目指す方は、どちらのルートを選択すべきか迷うこともあるでしょう。
今回は、司法試験の受験資格を取得する2つのルートについて、取得までにかかる年数や、司法試験での合格率などを説明したうえで、おすすめのルートについても解説します。どちらのルートで司法試験の合格を目指すべきか検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
【目次】
1.司法試験の受験資格を取得するルートは2つ
2.法科大学院ルートで受験資格を取得する方法
2-1.受験資格取得までにかかる年数
2-2.法科大学院ルートでの司法試験の合格率
3.予備試験ルートで受験資格を取得する方法
3-1.予備試験は中卒・高卒でも受験できる
3-2.予備試験ルートでの司法試験の合格率
4.受験資格は5年間で5回まで
5.受験資格を取得するのにおすすめのルート
5-1.大学生におすすめのルート
5-2.社会人におすすめのルート
6.まとめ
1.司法試験の受験資格を取得するルートは2つ
司法試験を受験するには受験資格が必要です。司法試験の受験資格を取得するルートは、次の2通りがあります。
◉法科大学院ルート
◉予備試験ルート
法科大学院ルートは、法科大学院に進学して1年以内に修了見込みとなった段階で受験資格を取得するルートです。法科大学院ルートを選択する場合、基本的には大学卒業から法科大学院進学という進路になるため、大学入学から受験資格を取得するまでには最短でも4年以上はかかります。
予備試験ルートは、予備試験に合格することで受験資格を取得するルートです。予備試験には受験資格がなく、誰でも受験できます。予備試験は合格率が低く難易度の高い試験ですが、短期合格できれば法科大学院ルートよりも早く受験資格を取得できます。
2.法科大学院ルートで受験資格を取得する方法
法科大学院ルートで受験資格を取得するには、大学を卒業してから法科大学院に入学し、法科大学院を修了する必要がありました。しかし、現在は法曹コースの導入により、従来より短期間で受験資格を取得することも可能です。
2-1.受験資格取得までにかかる年数
従来は、4年制の大学を卒業し、2年間もしくは3年間の法科大学院を修了しなければ法科大学院ルートでの受験資格は取得できませんでした。そのため、大学入学を1年目とすると、司法試験を受験できるのは最短で7年目の試験でした。
◉大学生(1年目~4年目)
◉法科大学院生(5年目・6年目)
◉司法試験を受験(7年目)
しかし、令和2年度(2020年度)から法曹コースが導入されたことで、短期間で司法試験の受験資格を取得できるようになりました。法曹コースは、大学を早期卒業しての法科大学院への進学を認めるものです。さらに、令和5年度(2023年度)の司法試験からは、法科大学院「修了見込み」の人も司法試験を受験できるようになったことで、大学入学から最短5年目での司法試験受験が可能となりました。
◉大学生(1年目~3年目)
◉法科大学院生(4年目・5年目)
◉司法試験を受験(5年目)※法科大学院在学中に受験
2-2.法科大学院ルートでの司法試験の合格率
過去3年間で、法科大学院ルートから司法試験を受験した人の合格率は、次のとおりです。
◉令和5年 40.67%(受験者数 3575名・合格者数 1454名)
◉令和4年 37.65%(受験者数 2677名・合格者数 1008名)
◉令和3年 34.62%(受験者数 3024名・合格者数 1047名)
令和5年度(2023年度)の司法試験は、法科大学院修了見込み者の受験が解禁されました。その結果、法科大学院ルートでの合格率も40%を上回り、今後の推移が注目されています。
→【2023年最新】司法試験の結果は?合格率や合格者数・大学別ランキングも紹介
2-3.法曹コースの司法試験合格率
令和5年度(2023年度)の司法試験では、法曹コースの合格率は65.24%と次章で述べる予備試験に次ぐ合格率となりました。
※法曹コースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→法科大学院・法曹コースとは?メリット・デメリットや設置大学一覧などを詳細解説
3.予備試験ルートで受験資格を取得する方法
予備試験には受験資格がありません。そのため、予備試験ルートの場合、予備試験に合格さえすれば司法試験の受験資格を取得できます。
3-1.予備試験は中卒・高卒でも受験できる
法科大学院ルートで司法試験の受験資格を取得する場合、基本的には大学を卒業する必要があります。しかし、予備試験には受験資格がないため、学歴に関係なく中卒や高卒でも受験できます。
中卒・高卒の弁護士がメディアで取り上げられることもありますが、中卒・高卒から弁護士を目指す場合には予備試験ルートを選択することになります。
令和5年度(2023年度)の予備試験では、史上最年少となる16歳(高校1年生)が合格しました。予備試験は、合格率が低く難易度の高い試験ですが、誰でも短期間での受験資格取得を目指せるのは魅力的な試験です。
なお、この最年少合格者は伊藤塾の入門講座受講生です。
さらに、令和5年度(2023年度)予備試験の最高年齢合格者(69歳)も伊藤塾の入門講座受講生です。
伊藤塾では、法律の勉強を始めるのに早すぎることも遅すぎることもないと考えています。予備試験ルートを利用すれば、年齢、学歴、性別に関係なく、どなたに対しても等しく法曹への道が開かれているのです。
3-2.予備試験ルートでの司法試験の合格率
過去3年間で、予備試験ルートから司法試験を受験した人の合格率は、次のとおりです。
◉令和5年 92.63%(受験者数 353名・合格者数 327名)
◉令和4年 97.53%(受験者数 405名・合格者数 395名)
◉令和3年 93.50%(受験者数 400名・合格者数 374名)
予備試験ルートで司法試験を受験した人は、毎年90%以上の合格率となっています。予備試験の合格率は毎年4%程度で推移しており難易度の高い試験ではありますが、予備試験に合格することは司法試験の合格に直結すると言うこともできるでしょう。
※こちらの記事も併せてご覧ください。
→なぜ予備試験合格者の司法試験合格率は高いのか?その理由について解説
4.受験資格は5年間で5回まで
法科大学院ルートと予備試験ルートのどちらを選択した場合でも、受験資格の有効期限は5年間で司法試験を5回まで受験できます。受験資格の有効期限内に司法試験を受験しない年があったとしても、5年間で受験資格の有効期限は切れてしまいます。
受験資格の取得から5年間で司法試験に合格できなかった場合、司法試験の受験を続けるには改めて受験資格を取得し直さなければなりません。改めて受験資格を取得するには、予備試験に合格するか、法科大学院に新たに入学し在学中受験資格を得るか修了して受験資格を得るかのどれかが必要となります。
なお、受験資格の有効期限5年間の起算については下記の通りです。
法科大学院 在学中受験 資格取得者 | 在学中受験資格により最初に司法試験 を受けた日の属する年の4月1日から5 年を経過するまでの期間、司法試験を 受けることができます (新法第4条第3項、同条第1項第1号) |
法科大学院 課程の修了者 | 同課程修了の日後の最初の4月1日から 5年間の期間(受験期間)において5回 の範囲内で司法試験を受けることがで きます(新法第4条第1項) |
予備試験の 合格者 | 同試験合格発表の日後の最初の4月1日 から5年間の期間(受験期間)におい て5回の範囲内で司法試験を受けるこ とができます(新法第4条第1項) |
司法試験の受験回数についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
→司法試験に受験回数制限ってある?5回落ちないための対処法
5.受験資格を取得するのにおすすめのルート
ここでは、大学生と社会人の立場に分けて、法科大学院ルートと予備試験ルートのうちどちらのルートがおすすめかを解説します。
5-1.大学生におすすめのルート
大学生の場合、法曹コースでの法科大学院ルートを選択すると大学入学から5年目の司法試験を受験できます。法科大学院ルートと予備試験ルートを比較すると、司法試験の受験資格を取得する難易度は予備試験ルートの方が高いです。
そのため、司法試験の受験資格を取得することを目標とするのであれば、大学在学中には予備試験合格を目指し、大学3年・4年で並行して法科大学院入試を受験して法科大学院ルートを選択するのが良いでしょう。
しかし、どちらのルートを選択するとしても、最終的には司法試験に合格しなければ意味がありません。法科大学院ルートを選択する場合でも、法科大学院の入試を突破する学力を身に付ける必要があります。
司法試験や法科大学院の入試に合格する学力を身に付けるには、予備試験対策が有効です。予備試験の合否にかかるくらいの学力を身に付ければ、司法試験や法科大学院の入試も高い確率で合格できるでしょう。
また、法科大学院の在学中受験資格にて司法試験に合格した方の多くは、すでに大学生の段階で予備試験の学習を始めています。
したがって、司法試験の早期合格を目指すのであれば、大学生のうちから予備試験対策の学習を始めることを強くおすすめします。予備試験の合格を目指して学習を進めていけば、法科大学院ルートに変更したとしても、法科大学院の入試突破はもちろん、司法試験に合格できる可能性も非常に高くなると言えるでしょう。
5-2.社会人におすすめのルート
法科大学院には夜間コースを設置している大学もあります。社会人で法科大学院ルートを選択する場合には、夜間コース以外は難しいでしょう。
しかし、司法試験に合格するには、法科大学院に通学するだけでは足りず、それ以外での学習も必須です。社会人で法科大学院の夜間コースに通学すると、仕事と法科大学院の授業、課題で全てのスケジュールが埋まってしまいます。法科大学院の夜間コースに通学しながら司法試験に合格する学力を身に付けるのは極めて厳しいと言わざるを得ないでしょう。
社会人が司法試験の合格を目指すには、予備試験ルートがおすすめです。予備試験は難易度の高い試験ですが、予備試験の合格は司法試験の合格に直結します。
社会人の方であっても、仕事終わりの時間や休日を利用して受験指導校のカリキュラムに取り組むなどして予備試験に合格する学力を身に付けることは可能です。
6.まとめ
司法試験の受験資格を取得するには2つのルートがあります。しかし、どちらのルートを選択するにしても最終的な目標は司法試験に合格することです。
司法試験の合格を目指すのであれば、最終的に法科大学院ルートを選択する場合でも、早い段階から予備試験の学習を始めることをおすすめします。予備試験の学習は、司法試験の合格や法科大学院入試の合格にも直結します。
法律の学習への抵抗を無くす意味でも、まずは予備試験の対策から始めてみてはいかがでしょうか。
※大学在学中に司法試験に向け学習を開始し司法試験合格を果たしたみなさまや、就職後夢をあきらめられず学習を開始され合格された社会人の方へインタビューを行ないました。
合格へのヒントが満載です。
→【最新!】2023年 司法試験合格者インタビュー
伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。
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※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)
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著者:伊藤塾 司法試験科
伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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