弁護士とは?仕事内容・働き方・一日の流れをわかりやすく解説!

最近は、ドラマや漫画などで弁護士の仕事が取り上げられる機会も多く、弁護士の仕事に憧れを持っている方もいらっしゃるでしょう。実際、ドラマや漫画で取り上げられる弁護士の姿は、ほんの一部分で、弁護士の仕事内容は多岐に渡ります。
この記事では、弁護士としての働き方や仕事内容をわかりやすく解説したうえで、一般的な弁護士の一日の流れも詳しく紹介します。自分はどのような弁護士になりたいのか、具体的なイメージを持つための参考にしていただければ幸いです。
【目次】
1.弁護士になる方法は?
2.弁護士としての働き方
2-1.法律事務所に就職する
2-2.法律事務所を開業する
2-3.企業に就職する(インハウスローヤー/企業内弁護士)
2-4.その他
3.弁護士の仕事内容
3-1.法律相談
3-2.書面作成
3-3.交渉事件
3-4.民事訴訟の代理人
3-5.刑事手続の弁護人
3-6.企業の顧問
3-7.その他
4.弁護士の一日
5.まとめ
1.弁護士になる方法は?
弁護士になるためには、司法試験に合格しなくてはなりません。司法試験は、最高峰の難易度を誇る国家試験です。
弁護士の仕事は、依頼者の人生を左右することもある重大な内容を取り扱います。そのため、弁護士は誰もがなれる職業ではなく、司法試験という狭き門を突破しなくてはならないのです。
弁護士としての仕事を開始するには、司法試験に合格したあとで、1年間の司法修習を経て二回試験に合格する必要があります。二回試験の合格後、弁護士会に入会することで晴れて弁護士としての活動をスタートできます。
2.弁護士としての働き方
ひと言に弁護士と言っても、働き方はさまざまです。
◉法律事務所に就職する
◉法律事務所を開業する
◉企業に就職する
◉その他
弁護士として働き始める際には、法律事務所に就職する人が多いです。法律事務所で弁護士としての経験を積んだうえで、事務所の共同経営者となったり、独立したりと次のステップへ進んでいきます。
最近では、法律事務所での勤務を経験せずに開業したり、企業に就職してインハウスローヤー(企業内弁護士)になる人も増えています。司法制度改革で弁護士の数が増えたことで、弁護士としての働き方は多様性を増しているのです。
2-1.法律事務所に就職する
司法制度改革が始まる前は、ほとんどの人が法律事務所に就職して弁護士としてのキャリアをスタートさせていました。
弁護士志望の司法修習生は、司法修習中に就職活動を行います。法律事務所には、個人経営の小さな事務所から弁護士の数が500人を超える大きな事務所まであり、取り扱う事件も事務所によってさまざまです。
いずれにしても、法律事務所に就職した弁護士は、先輩弁護士の仕事ぶりを見て、弁護士としての基礎を学んでいきます。どのような事務所に就職し、どのような弁護士の指導を受けるかは、今後の弁護士人生を左右する重要なことと言えるでしょう。
一般的に、所属する弁護士の人数が少ない事務所では、1人1人が幅広い内容の業務を担当していることが多く、人数の多い事務所では、チームごとに専門化されていることが多いです。
就職する事務所によって、経験できる仕事の内容は大きく変わってきます。将来的に目指す弁護士像に合わせて就職先を選ぶのが良いでしょう。
法律事務所に就職した弁護士は、弁護士としての経験を積んだ後に、事務所の共同経営者(パートナー)となるか、独立して事務所を開業する人が多いです。
2-2.法律事務所を開業する
近年では、司法修習修了後にすぐに法律事務所を開業する人も多いです。すぐに独立するということで「即独」と言われています。
即独の弁護士には、就職活動に失敗して即独を選ばざるを得なかった人もいますが、自らの意思で即独を選ぶ人もいます。
即独する場合には、消極的な姿勢では失敗してしまう可能性が高いでしょう。やむを得ず即独を選んだ場合でも、積極的に前向きに取り組むことが重要です。
各弁護士会では、即独の弁護士に向けたOJTや研修を実施しています。OJTでは、他事務所の先輩弁護士と一緒に事件を担当して経験を積むこともできます。
弁護士会からは、国選弁護や自治体の法律相談などの仕事を斡旋してもらうことも可能です。
即独の弁護士は、1つ1つの事件を実際に経験しながら、こつこつと経験を積んでいくことが何よりも重要です。多くの事件を経験し、1人でやり抜くことができれば、勤務弁護士よりも速く経験を積み重ねることもできるでしょう。
経験を積むことと併せて重要になるのが人脈作りです。即独弁護士は、営業で自ら仕事を獲得してこなければなりません。人と会う機会を積極的に作り、顔を売っていくことも即独弁護士としての重要な仕事です。
2-3.企業に就職する(インハウスローヤー/企業内弁護士)
一般企業に就職し、法務部などでインハウスローヤー(企業内弁護士)として働く人も増えています。
インハウスローヤーとしての主な仕事は、企業が取引先と交わす契約書の作成や、知的財産の管理、人事労務関係の監督などです。
インハウスローヤーの魅力は、会社員として安定した生活ができることでしょう。即独はもちろんのこと、法律事務所に就職した弁護士でも仕事内容や勤務時間は不規則になりがちです。勤務時間が固定されており、福利厚生もあるインハウスローヤーは、安定志向の方には向いている働き方と言えるでしょう。
2-4.その他
他にも、自治体の職員として働く自治体内弁護士や過疎地での公設事務所弁護士といった働き方もあります。
弁護士は、裁判官や検察官と異なり民間の職業なので、働き方も多種多様です。
3.弁護士の仕事内容
ここでは、弁護士の具体的な仕事内容をご紹介します。
弁護士の仕事としては、裁判所での活動をイメージする方も多いでしょうが、裁判所での活動は弁護士の仕事のほんの一部に過ぎません。
3-1.法律相談
弁護士の仕事は、法律相談からスタートするケースが多いです。
法律相談では、限られた時間の中で依頼者が抱える悩みに回答しなければなりません。法律相談で求められる回答は、事件のおおよその見込みと選択肢の提示です。
過去の経験から事件解決までの流れを見立てて、依頼者に丁寧に説明するのは、弁護士にとって最も重要な仕事の1つと言えるでしょう。
法律相談の段階で依頼者の信頼を得られなければ、その後の依頼にもつながりません。
3-2.書面作成
多くの弁護士にとって、最も時間を使う業務は書面作成です。
弁護士が作成する書面には、内容証明郵便、契約書、遺言書のほか、裁判の訴状や準備書面などがあります。
交渉事件でも裁判でも、書面作成は避けては通れない業務です。法律文書をわかりやすく明確な内容で作成する能力は、弁護士にとって最も重要な能力の1つです。
しかし、近年のAI化により、契約書の作成やチェック、過去の判例との照合や損害賠償金の算出などパターン化された業務については、AIを使って効率的に処理させるようになっていくことが予想されます。
その結果、これまで弁護士が書面作成や事務作業に費やしていた多くの時間を、法律相談やトラブルの調停、仲裁など、諸問題を解決するための時間に当てられることとなり、弁護士としての活躍の場はより一層広がることになるでしょう。
3-3.交渉事件
法律にかかわるトラブルは、全てが裁判で解決されるわけではありません。
離婚や相続、交通事故、企業と労働者の雇用問題などは、裁判になる前の交渉で解決するケースが多いです。
当事者同士の話し合いでは解決しない問題も、弁護士が交渉することで解決するケースは少なくありません。
3-4.民事訴訟の代理人
お金の貸し借りや、交通事故の損害賠償など民事訴訟における代理人も弁護士の仕事の1つです。
民事訴訟の代理人としての仕事も、書面作成が仕事の大半を占めます。裁判に向けては、主張を整理した準備書面を作成したり、主張を裏付ける証拠書類を用意したりする必要があります。
実際の裁判期日は、大半が15分~30分ほどで、その準備のために長い時間をかけて書面を作成するのです。
3-5.刑事手続の弁護人
刑事事件の弁護人としての主な仕事は、逮捕・勾留中の被疑者と面会して助言を行う、被害者と示談交渉を行う、刑事裁判での弁護活動を行うといったものです。
刑事事件の被疑者は、社会から隔離されて大きな不安を抱えています。自暴自棄になり、無実の犯罪を自白してしまう被疑者もいます。被疑者の立場に寄り添い、適切なアドバイスを送ることは弁護士としての重要な仕事です。
3-6.企業の顧問
企業の顧問業務では、契約書の作成やリーガルチェック、労働問題の相談が多いです。特殊なケースでは、M&Aや破産といった企業再編の手続きを手伝うこともあります。
顧問としての仕事では、法的な知識だけでなく業界特有のルールや財務関係の知識が要求されるケースも少なくありません。
弁護士としての仕事を続けていくには、司法試験や司法研修所での勉強で得た知識だけでは足りず、仕事を始めてからの経験や自主学習によって知識を積み重ねていくことが不可欠です。
3-7.その他
他にも、家庭裁判所での離婚や相続事件の代理人や、成年後見人、遺言執行者など、弁護士としての仕事は多種多様です。
法律はあらゆる場面で適用されるもので、法律の専門家である弁護士もあらゆる場面で必要とされます。
4.弁護士の一日
ここでは、弁護士の所属人数が10人以下の法律事務所に就職した弁護士の標準的な業務の流れを見ていきましょう。
弁護士は、午前9時ころから事務所に出勤して業務を開始することが多いです。それから、午後6時ころまで、依頼者との打合せ、裁判の出廷、メール・電話の対応などをして過ごします。
依頼者との打合せは、新規の法律相談のほか、継続中の裁判や交渉事件についての打合せも含まれます。日によっては、出勤から法律相談だけで1日のスケジュールが埋まってしまうこともあるでしょう。
受け持ちの裁判期日がある場合には、裁判所に出廷します。調停事件や証人尋問の手続きがある場合を除いては、1回あたりの期日は15分~30分程度で終わることが多いです。大きな事件の証人尋問手続は、複数の日にまたがって朝から夕方まで行われることもあります。
弁護士の業務で最も時間がかかるのは書面作成です。しかし、午前9時から午後6時ころまでの時間では書面作成の時間が取れないことも少なくありません。そのため、多くの弁護士は、遅い時間まで事務所に残って書面作成をして過ごします。繁忙期には、休日も書面作成に充てることが多いです。
扱う事件の数が多くなると、依頼者とのメールや電話対応も多くなり、書面作成に集中できるのは、早朝や遅い時間だけになります。特に弁護士として仕事を始めて、多くの経験を積む必要がある段階では、休みなく働き続けるようなタフさも必要となるでしょう。
しかし、書面作成のAI化が進めば、非常にスマートな働き方へ今後進展することが期待されています。
5.まとめ
弁護士としての仕事は、強い責任感が求められるもので、精神的にも肉体的にもハードなものです。それでも、依頼者から直接感謝されるやりがいのある魅力的な仕事です。
働き方も多種多様で、自分の働き方に合った弁護士像を見つけるのも難しくはないでしょう。自分が弁護士として働く姿をイメージすると、司法試験の勉強にもより一層力が入ることでしょう。
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著者:伊藤塾 司法試験科
伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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