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司法試験・予備試験って何点とれば合格できるの?短答・論文ごとに合格ラインを徹底分析

2025年03月04日

 
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「予備試験って何点取れば合格できるの?8割くらいとらないと合格できないんだろうか」
「司法試験って短答の点数が合否に影響するみたいだから、9割くらいとらないと合格点には届かないのかな」
「合格最高点や合格最低点など、どれくらいの得点が平均なのか、まとまっている表などを見て今の自分の位置を確認したい!」

など、予備試験や司法試験の合格点について気になっている方も多いと思います。

予備試験および司法試験は、それぞれ短答式試験と論文式試験に分かれていますが、それぞれ合格点をとることが出来なければ、試験に合格することはできません。

それでは、実際にどのくらいの点数をとることができれば試験に合格できるのでしょうか。

この記事では、司法試験および予備試験、それぞれの短答式試験、論文式試験について、各試験の配点をご紹介し、その合格点や平均点、最高点や最低点を解説していきます。

合格点を知ることで目標を定める事ができます。

闇雲に勉強するのではなく、目標の点数を定めて勉強するようにすると、効率良く勉強することが出来るでしょう。

【目次】
1.司法試験について
 1-1.短答式試験
  1-1-1.各科目の配点について
  1-1-2.合格点と得点分布
 1-2.論文式試験
  1-2-1.配点
  1-2-2.得点分布
2.予備試験について
 2-1.短答式試験
  2-1-1.配点 
  2-1-2.得点分布
 2-2.論文式試験
  2-2-1.配点
  2-2-2.得点分布
3.まとめ

 

1.司法試験について

司法試験は、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)として働くために必要な知識や素養を兼ね備えているかどうかを判断するための試験になります。

司法試験は、短答式試験と論文式試験に分かれており、合計4日間のうち、3日間かけて論文の試験を行い、残り1日で短答式試験を行います。

司法試験の短答式試験では憲法、民法、刑法の3科目が、論文式試験ではそれに加えて商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、選択科目の合計8科目が試験範囲になります。

以下、それぞれの試験について詳細を解説していきます。

 

1-1.短答式試験

短答式試験は、例年試験最終日に行われ、それぞれ憲法が50分、民法が75分、刑法が50分という時間制限の中で問題を解いていくことになります。

短答式試験は論文式試験に比べて与えられている点数が低いため、論文の勉強に力を入れるあまり、短答の勉強を怠る方もいますが、司法試験には、短答式試験の合格に必要な成績を得た者のみが、短答式試験および論文式試験の成績を総合して判定されるという、二段階選抜制とも呼べる制度が存在しています。

短答式試験及び論文式試験において最低ラインに達していない科目が1科目でもある者については、それだけで不合格とされてしまうことを考えると、短答式試験対策も十分に行っておく必要があると言えるでしょう。

試験はマークシート方式で、かつ論文式試験と違い、試験中に六法などの参照物を使用する事は認められていません。

論文式試験とはまた違った知識や頭の使い方が要求されますが、短答式試験では 、論文式試験で問われる知識と重なっている知識ももちろん出題されるため、論文の勉強をしっかりやれば、短答でもある程度の点数はとれるようになるでしょう。

しかし、論文式試験では直接問われないような細かい条文知識(短答プロパー)が出題されることも多いため、論文式試験とは別個に対策をする必要があります。

 

1-1-1.各科目の配点について

司法試験は短答式試験と論文式試験の合計得点で合否が決まるため、短答式試験の配点については事前に確認しておく必要があります。

それでは、試験科目である憲法、民法、刑法の配点を確認してみましょう。

科目問題数配点試験時間
憲法20~25問50点満点50分
民法30~38問75点満点75分
刑法20~25問50点満点50分


試験時間は、憲法が50分、民法が75分、刑法50分になります。

試験時間については民法については1時間15分もあると聞くと長いように感じますが、問題数から換算すると、どの科目も1問にかけられる時間はおよそ2分~2分半程度となり、時間に猶予はない事が分かるかと思います。

問題数は民法の分量が多く、問題文も長いため、事案の分析に時間がかかってしまう事が多く、時間が足りなくなってしまった、という声もよく聞きます。

このように、短答式試験では細かい専門的な知識を問うだけでなく、迅速かつ正確に事案を処理することができるかという、問題の処理能力も問われているのです。

合計175点満点で、この点数も司法試験の合否に加味されます。

例えば、短答式で9割取れれば158点、合格ラインギリギリであれば96点(令和4年)となり、点数差は62点も開きが出てきます。

司法試験は相対評価の試験であり、周りと比べて良い点数を採ることが出来れば合格できる試験です。

後述しますが、論文式試験の各科目の配点は100点であることを考えると、仮に論文式試験において憲法が7割の50点しか取れなかったとしても、短答式試験で差が50点以上ついているのであれば、その分で点数を取り返すことができるのです。

このように、司法試験が絶対評価ではなく相対評価の試験であることを考えれば、短答式試験で少しでも点数を取り、他の受験生との点数差を広げておくことは大いに価値があることなのです。

 

1-1-2.合格点と得点分布

では、短答式試験ではどれくらい点数をとることができれば合格することが出来るのでしょうか。

短答式試験の試験科目が3科目に変更になった平成27年から令和4年までの、短答式試験合格者の平均点、および短答式試験の合格ラインを確認していきましょう。

年度短答式試験合格者
の平均点
合格ライン
※憲法20点、民法30点、
刑法20点以上であることは共通
2015年(平成27年)133.6点114点
2016年(平成28年)133.2点114点
2017年(平成29年)125.4点108点
2018年(平成30年)128.1点108点
2019年(令和元年)129.3点108点
2020年(令和2年)118.1点93点
2021年(令和3年)126.4点99点
2022年(令和4年)123.3点96点
8年間の平均127.2点105点

成績判定について(令和4年度)
短答式試験の各科目において、満点の40%点(憲法20点、民法30点、刑法220点) 以上の成績を得た者のうち、各科目の合計得点が96点以上の成績を得たものは、短答式試験の合格に必要な成績を得た者とする(令和4年6月1日司法試験委員会決定)

参照:令和4年司法試験(短答式試験)の結果

表をご覧いただくと分かるように、平均点が一番低い年は118.1点で満点の68%程度、一番高い年は133.6点で76%程度が平均点となっています。

また、8年間の平均点は127.2点となっており、満点である175点の73%程度が合格者の平均点になっているので、短答で不利にならないためには、7割以上の得点を目指すことが必要といえるでしょう。

合格最低ラインについては、科目別にはどの年も満点の40%点以上の成績を得た者が最低ラインであることは変わりませんが、合計の合格最低ラインについては、毎年少しづつ変動があります。

過去8年の合格ラインの最低点は93点で175点満点の53%程度、最高点は114点で満点の65%程度の得点率となっています。また、過去8年の合格ラインの平均点は105点で、満点の60%の得点率になっています。

このことから、司法試験の短答式試験は6割程度が合格最低ラインであることが分かります。

 

1-2.論文式試験

論文式試験は、試験の1日目から3日目にかけて実施される、論述形式の試験になります。

法曹にとって必要不可欠な知識や、法的な分析力・問題処理能力を有しているかどうかを試す試験であり、司法試験の天王山とも言える重要な試験になります。

試験科目は法律基本7科目である憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法に加え、選択科目の合計8科目で行われます(選択科目は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の中から1科目選択します。)。

短答式試験とは違い、試験中に貸与された六法(司法試験用法文)を閲覧するのが認められていることから、論文式試験が、単に知識を問う目的だけではなく、いかに法律の知識を使って設問中での問題を処理することができるかを問う試験であることが分かります。

 

1-2-1.配点

令和5年の司法試験は7月に実施され、論文式試験は中日を挟んで計3日間で行われます。

司法試験の天王山は間違いなく論文式試験であり、論文式試験でどれだけ点数をとるかで合否は変わってきます。

そのため、事前に論文式試験に関する詳細な情報を確認して置く必要があります。

まずは、司法試験の論文式試験の科目別の配点や試験時間を確認してみましょう。

【2023年(令和5年)司法試験日程】

日程試験名試験科目時間配点
7月12日(水)論文式試験
(論述式)
選択科目
(※1参照)
180分100点
公法系科目
第1問(憲法)
120分100点
公法系科目
第2問(行政法)
120分100点
7月13日(木)民事系科目
第1問(民法)
120分100点
民事系科目
第2問(商法)
120分100点
民事系科目
第3問(民事訴訟法)
120分100点
7月15日(土)刑事系科目
第1問(刑法)
120分100点
刑事系科目
第2問(刑事訴訟法)
120分100点
7月16日(日)短答式試験
(マークシート式)
憲法50分50点
民法75分75点
刑法50分50点

※1 :倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)より1科目選択

配点はどの科目も100点満点で採点されるため、合計で800点満点となります。

選択科目についても他の法律科目と同様の点数が振られているため、選択科目だからといって対策を疎かにするのは得策ではありません。

また、試験時間については、選択科目が3時間、他の法律科目が2時間となっていて、選択科目の方が1時間多い事が分かります。

最終的な合否の判定は、単純に短答式試験の点数と論文式試験の点数を加算して合計点数を出すわけではなく、以下の式で算出した総合点を元に行われることになります。

【総合点の算式方法】
短答式試験の得点+(論文式試験の得点×1400/800)


この点数が合格最低点数を超えれば司法試験に合格することが出来ますが、短答式試験の点数が満点で175点なのに対し、論文の試験が800点(式にあてはめると1,400点満点)であることを考えると、司法試験で最も重要な試験は論文式試験であるということがお分かりになるでしょう。

(※総合点は1,575点満点となります。)

 

1-2-2.得点分布

論文式試験ではどれくらい点数をとることができれば合格することが出来るのでしょうか。

現行の司法試験が始まった平成18年から令和4年までの、論文式試験の平均点、および総合点の平均点や、総合点における合格ラインを確認していきましょう。

年度総合評価対象者の
論文式試験の平均点
(800点満点)
総合点の平均点
(1,575点満点)
総合点における
合格ライン
(1,575点満点)
※公法系科目・刑事系科目は50点、
民事系科目は75点、選択科目は
25点以上であることは共通
2006年
(平成18年)
404.06点951.46点915点
2007年
(平成19年)
393.91点941.69点925点
2008年
(平成20年)
378.21点930.64点940点
2009年
(平成21年)
367.10点767.04点785点
2010年
(平成22年)
353.80点744.00点775点
2011年
(平成23年)
353.05点738.91点765点
2012年
(平成24年)
363.54点761.08点780点
2013年
(平成25年)
361.62点760.20点780点
2014年
(平成26年)
359.16点751.16点770点
2015年
(平成27年)
376.51点793.16点835点
2016年
(平成28年)
397.67点829.52点880点
2017年
(平成29年)
374.04点780.74点800点
2018年
(平成30年)
378.08点790.17点805点
2019年
(令和元年)
388.76点810.44点810点
2020年
(令和2年)
393.50点807.56点780点
2021年
(令和3年)
380.77点794.07点755点
2022年
(令和4年)
387.16点802.22点750点
17年間の平均377.11点809.06点815点

法務省:司法試験の結果について

成績判定について(令和4年度)
論文式試験の各科目において、素点の25%点(公法系科目・刑事系科目は50点、民事系科目は75点、選択科目は25点)以上の成績を得た者のうち、短答式試験の得点と論文式試験の得点による総合評価の総合点750点以上の者を合格者とする。(令和4年9月5日司法試験委員会決定)


司法試験においては、合格者の論文式試験の点数データは公表されていません。

上記表では、論文式試験の各科目において、素点の25%点(公法系科目・刑事系科目は50点、民事系科目は75点、選択科目は25点)以上の成績を得て総合評価対象者となった者の論文式試験の平均点、及び総合点(短答式の得点+論文式の点数✕1.75)の平均点、そして、総合点における合格ラインについてまとめています。

さて、司法試験に合格するためには、いったい論文式試験でどのくらいの点数を獲得すればよいのでしょうか。

先に計算した短答式試験の合格者の平均点(127.2点)と、上記表の総合点における合格ラインの17年間の平均点(815点)から、合格に必要な最低限の論文式試験の点数を計算してみました。

結果、合格に必要な論文式試験の点数は393点(800点満点)以上という結果となりました。

つまり、論文式試験については、ざっくりと5割以上得点できれば合格点を超える可能性があるといえるでしょう。

まとめると、司法試験の短答式試験の最低合格ラインはおよそ6割程度、論文式試験の最低合格ラインはおよそ5割となります。

司法試験は難易度の高い試験ではありますが、決して満点を目指す必要はなく、5〜6割程度の得点で十分合格が狙えるとなると、だいぶ気が楽になるのではないでしょうか。

 

2.予備試験について

司法試験予備試験は、司法試験の受験資格を得るための試験であり、「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法5条)試験になります。

予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験と3段階に分かれており、短答式は1日、論文式は2日間、口述は1日でそれぞれ行います。

短答式試験の試験科目は、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、一般教養(人文科学、社会科学、自然科学、英語)の計8科目、論文式試験では法律基本7科目に加えて、選択科目、法律実務基礎科目(民事系および刑事系)の合計10科目が試験範囲になります。

以下、それぞれの試験について詳細を解説していきます。

 

2-1.短答式試験

予備試験の短答式試験は、法律科目が各30分、一般教養科目が1時間30分という時間制限の中で問題を解いていくことになります。

予備試験の短答式試験に合格した者のみが次の論文式試験を受ける事ができます。

司法試験とは違い、予備試験の短答式試験の点数は直接合否に関係しないため、合格点を超えることができれば、何点とっても変わりはないという事になります。

試験はマークシート方式で、かつ論文式試験と違い、試験中に六法などの参照物を使用する事は認められていません。

基本的な対策は司法試験と一緒で、論文式試験とはまた違った知識や頭の使い方が要求される短答式試験では 、基本は論文の勉強をしっかりやればある程度の点数をとれるようになります。

しかし、論文式試験では直接問われないような細かい条文知識(短答プロパー)が出題されることも多いため、論文式試験とは別に対策をする必要があります。

 

2-1-1.配点 

予備試験の短答式試験の結果は、予備試験の合否に直接は反映されません。

そのため、合格点をとることができれば、特に何点とるかは問題になりません。

ただ、もちろん高得点をとることが出来ればその分知識がついているという事でもあるため、論文の勉強に影響が出ないように短答の勉強もするべきだといえるでしょう。

それでは、次に試験科目である法律基本7科目、および一般教養科目の配点を確認してみましょう。

科目問題数配点試験時間
民法各科目ごとに
10問~15問程度
90点満点90分
商法
民事訴訟法
憲法60点満点60分
行政法
刑法60点満点60分
刑事訴訟法
一般教養40題の中から
20題選択して回答
60点満点90分


試験時間は各科目30分ずつとなり、民事系科目(民法、商法、民事訴訟法)で90分、公法系科目(憲法、行政法)で60分、刑事系科目(刑法、刑事訴訟法)で60分の3つのブロックに別けて試験を受ける事になります。

試験時間については、問題数から換算すると、どの科目も1問にかけられる時間はおよそ2分~3分程度となり、時間に猶予はない事が分かるかと思います。

特に民法などは、問題文それ自体も長いことが多いため、事案分析に時間がかかってしまう事が多く、時間が足りなくなってしまった、という声もよく聞きます。

このように、予備試験の短答式試験でも、細かい専門的な知識を問うだけでなく、迅速かつ正確に事案を処理することができるかという、問題の処理能力も問われているのです。

一般教養については、司法試験の試験科目ではなく、また予備試験の論文式試験科目でもありません。

そのうえ、試験範囲は多岐にわたり、問題の難易度もかなり高いため、一般教養の勉強に時間を使うのは得策ではなく、他の法律科目のみで合格点をとる戦略を取ることが、試験対策上有効になるでしょう。

仮に、一般教養科目0点であっても、他の法律科目で8割(210点満点で168点)とることが出来れば、それだけで合格ラインに達することができるのです。

予備試験では、効率良く勉強することが合格の鍵になってくるでしょう。

 

2-1-2.得点分布

では、予備試験の短答式試験ではどれくらい点数をとることができれば合格することが出来るのでしょうか。

予備試験が始まった平成23年から令和4年までの、短答式試験合格者の平均点、および短答式試験の合格ラインを確認していきましょう。

年度短答式試験合格者
の平均点
合格ライン
※合計270点満点
2011年
(平成23年)
184.7点165点
2012年
(平成24年)
184.1点165点
2013年
(平成25年)
185.3点170点
2014年
(平成26年)
185.7点170点
2015年
(平成27年)
187.5点170点
2016年
(平成28年)
181.5点165点
2017年
(平成29年)
174.9点160点
2018年
(平成30年)
177.7点160点
2019年
(令和元年)
177.0点162点
2020年
(令和2年)
173.7点156点
2021年
(令和3年)
178.7点162点
2022年
(令和4年)
175.0点159点
12年間の平均180.5点163.7点

参照:司法試験予備試験の結果について

平均点が一番低い年は173.7点で満点270点の64%程度、一番高い年は187.5点で69.4%程度が平均点となっています。

また、合計平均点はおおよそ180.5点となっており、満点270点の67%程度が合格者の平均点になっている事がわかります。

合格最低ラインについては、最高点は170点で、3年続けて最高点でしたが、その後は160点になっていくなど、合格点は下がっている傾向が見られます。

合格最低ラインの平均点は163.7点で、一般教養も含めると各科目でおおよそ6割程程度とることができれば、短答式試験に合格することができます。

ちなみに、一般教養科目が0点の場合でも合格できるように、法律7科目で8割(168点)とることが必勝戦略となります。

 

2-2.論文式試験

予備試験の論文式試験は、9月に2日間かけて実施される、論述形式の試験になります。

予備試験は、司法試験の受験資格を得るための試験であり、法曹にとって必要不可欠な知識や、法的な分析力・問題処理能力を有しているかどうかを試す試験です。

予備試験において一番重要な試験であり、短答式試験でいくら高得点だったとしても、論文式試験で点数をとれない限りは予備試験に合格することはできません。

試験科目は法律基本7科目である憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法に加え、選択科目および法律実務基礎科目(民事・刑事)の合計10科目で行われます(選択科目は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の中から1科目選択します。)。

司法試験と同様、試験中に貸与された六法(司法試験用法文)を閲覧するのが認められていることから、論文式試験が単に知識量を問う試験ではない事がわかります。

 

2-2-1.配点

令和5年から予備試験の試験日程は変更となっており、短答式試験が7月、論文式試験が9月、口述試験が1月に行われます。

最終合格率が3~4%程度の予備試験の論文式試験で合格点をとるためには、効率良く勉強をすることが必要不可欠です。

そして、効率良く勉強するためには、事前に目標を定め、どれくらいの点数を取得できれば合格することができるのか、詳細な情報を確認しておく必要があります。

まずは、論文式試験の科目別の配点や試験時間を確認してみましょう。

科目配点試験時間
憲法各50点満点2科目あわせて2時間20分
行政法
民法3科目あわせて3時間30分
商法
民事訴訟法
刑法2科目あわせて2時間20分
刑事訴訟法
選択科目1時間10分
法律実務基礎(民事系)2科目あわせて3時間
法律実務基礎(刑事系)


配点はどの科目も50点満点で採点されるため、合計で500点満点となります。

選択科目や実務基礎科目についても、他の法律科目と同様の点数が振られているため、法律基本科目ではないからといって、対策を疎かにするのは得策ではありません。

また、試験時間については、法律実務基礎2科目が各1時間30分、他の法律科目が1時間10分となっていて、法律実務基礎科目の方が少し時間が多い事が分かります。

試験時間はどの科目も1時間以上あり、時間だけ見れば十分なように感じるかもしれませんが、実際に答案を作成してみると時間的にまったく余裕がない事がわかります。

このことから、初見の問題に対し、いかに迅速に問題を分析し、適切に問題を処理することができるかを問われている試験といえるでしょう。

 

2-2-2.得点分布

それでは、論文式試験ではどれくらい点数をとることができれば合格することが出来るのでしょうか。

予備試験が始まった平成23年から令和4年までの、論文式試験合格者の平均点、および合格者の総合点の平均点や、予備試験合格における合格ラインを確認していきましょう。

年度論文式試験採点
対象者の平均点
※合格者の平均点は
公表されていません
合格ライン
2011年
(平成23年)
195.82点245点
2012年
(平成24年)
190.20点230点
2013年
(平成25年)
175.53点210点
2014年
(平成26年)
177.80点210点
2015年
(平成27年)
199.73点235点
2016年
(平成28年)
205.62点245点
2017年
(平成29年)
208.23点245点
2018年
(平成30年)
200.76点240点
2019年
(令和元年)
191.58点230点
2020年
(令和2年)
192.16点230点
2021年
(令和3年)
197.54点240点
2022年
(令和4年)
210.45点255点
12年間の平均195.45点234.6点

参照:司法試験予備試験の結果について(法務省)

論文式試験合格者の平均点は公表されていないため、採点対象者の平均点を確認してみますと、平均点をとっても合格ラインに乗っている年はありません。

合格ラインの点数でいうと、最高点は令和4年度の255点で、満点500点に対して51%程度の得点率で、最低点は210点で、満点500点に対して42%程度の得点率になっています。

合格ラインの平均点は234.6点で、満点500点の5割弱程度が合格点となる傾向にあります。

今後もこの傾向が続くかはわかりませんが、この合格点を見れば、何か特別な知識や技術が必要になるわけではなく、基本的な事さえしっかり理解出来ていれば、十分合格できる試験であるといえるでしょう。

 

3.まとめ

この記事では司法試験、予備試験の配点や合格点について解説してきました。

合格点は毎年変動するものですが、その数字が大きく変わることはなく、最低限とらなければいけない点数は下記の通り決まってきます。

◉司法試験も予備試験も、短答式試験の最低合格ラインはおよそ6割
◉司法試験も予備試験も、論文式試験の最低合格ラインはおよそ5割

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伊藤塾司法試験科

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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