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法科大学院の留年率は意外と高い?その原因と留年回避の対策を徹底解説

2025年03月04日

 
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弁護士や検察官、裁判官になることを目標に法科大学院への入学を考える際、一番気になるのは司法試験の合格率かと思います。

司法試験を受験するためには、法科大学院を修了(2023年より在学中受験も可能となる)するか、予備試験に合格する必要があります。

そのため法科大学院ルートで司法試験を受験しようと考えている場合、まずは法科大学院で留年せずにしっかり進級し、司法試験の受験資格を得ることが重要になります。

しかし、実際のところ、法科大学院では毎年多くの学生が進級の壁に阻まれ、留年する結果が生じてしまっています。

つまり、司法試験に最短で合格するためには、法科大学院に入学する前から基礎学力をしっかり固めておき、法科大学院を留年せずにしっかり進級することが非常に重要であるといえるのです。

本記事では、法科大学院の留年率をもとに、法科大学院に入学する前に基礎学力をつけることの重要性や、留年することにより就活にも影響が出てしまう可能性などについて解説していきます。

【目次】
1.留年率とは?
2.令和4年度の留年率
3.ストレート率(修了率)
4.留年する原因は基礎学力不足
5.法科大学院入学前に基礎学力をつける必要性
 5-1.基礎学力がないと進級や修了すら難しい
 5-2.留年すると就職活動に影響が出てしまう可能性も
 5-3.早い段階から基礎を固めることで他の受験生に差をつけることができる
 5-4.予備試験であれば在学中に受験することもできる
6.まとめ

 

1.留年率とは?

留年率とは、「法科大学院を卒業した者のうち、標準修業年限を超えて卒業した者の割合」のことを指し、法科大学院に入学以降、次年度に進級できた割合を示す進級率と表裏一体の指標になります。

法科大学院への進学を考える場合、どうしても司法試験の合格率にばかり目がいきがちですが、留年率にまで目を向けることで、司法試験に最短で合格するためにはどの法科大学院を選択すべきか、法科大学院の入学までに何をすべきかが見えてくるでしょう。

留年率があまりに高いところだと、思うように進級することができず、「想像していたよりも勉強が大変で辛い」と、法科大学院への入学を後悔してしまい、勉強のモチベーションが下がってしまう可能性があります。

法科大学院に入学する前に、留年率や修了率といったデータも気にするとよいでしょう。

 

2.令和4年度の留年率

それでは、実際にどれくらいの人が留年しているのでしょうか。

令和4年度の各大学院の具体的な留年率を確認してみましょう。

法科大学院を
置く大学の名称
留年率
1年次
(未修)
2年次
(未修、既修1年)
北海道大学44.0%18.2%
東北大学22.7%22.7%
筑波大学54.7%31.7%
千葉大学26.7%11.8%
東京大学27.8%22.7%
一橋大学4.80%7.5%
金沢大学60.0%50.0%
名古屋大学31.6%32.8%
京都大学29.7%16.7%
大阪大学43.9%19.2%
神戸大学33.3%21.8%
岡山大学50.0%20.0%
広島大学30.0%48.1%
九州大学35.0%29.5%
琉球大学43.8%25.0%
東京都立大学75.0%23.8%
大阪公立大学53.8%30.0%
学習院大学66.7%48.1%
慶應義塾大学40.9%17.0%
上智大学50.0%23.1%
専修大学68.2%23.5%
創価大学40.0%0.0%
中央大学39.2%30.2%
日本大学12.5%6.5%
法政大学36.4%35.7%
明治大学42.9%16.1%
早稲田大学5.9%12.5%
愛知大学41.2%46.2%
南山大学33.3%0.0%
同志社大学45.5%29.9%
立命館大学15.8%10.3%
関西大学50.0%19.4%
関西学院大学63.6%37.5%
福岡大学30.0%0.0%
平均39.7%23.2%

出典:令和5年度法科大学院関係状況調査

表を見ていただくと、未修コース1年次の留年率が高くなっており、東京都立大学の75%が一番高く、ついで専修大学が68.2%、学習院大学が66.7%という結果になっています。

また、未修生1年次の留年率の平均は39.7%、未修生と既修生(1年目)が合流した2年次の留年率の平均は23.2%となっており、法科大学院における進級の壁は、特に未修者にとっては高いものとなっていることがわかります。

ただし、この数字には、在学中に予備試験や司法試験に合格したことにより法科大学院を中退した人の人数も含まれている可能性があるため、進級できずに留年してしまう、実質的な留年率はもう少し低い可能性があることに留意してください。

 

3.ストレート率(修了率)

次に、ストレート率(修了率)を確認してみましょう。

表内の「標準修業年限以内の修了率」とは、入学者のうち、未修なら3年・既修なら2年で留年せずに過程を修了した者の占める割合のことを指します。

ストレートで卒業した者の割合にあたるため、以下ストレート率といいます。

法科大学院を置く
大学の名称
標準修業年限修了率
北海道大学76.90%
東北大学55.80%
筑波大学42.40%
千葉大学77.30%
東京大学62.00%
一橋大学82.00%
金沢大学12.50%
名古屋大学69.40%
京都大学78.80%
大阪大学62.00%
神戸大学68.20%
岡山大学52.60%
広島大学29.40%
九州大学61.00%
琉球大学44.40%
東京都立大学82.10%
大阪公立大学
(旧大阪市立大学)
36.40%
学習院大学52.20%
慶應義塾大学78.80%
上智大学37.50%
専修大学25.90%
創価大学66.70%
中央大学69.30%
日本大学73.20%
法政大学62.50%
明治大学38.00%
早稲田大学62.60%
愛知大学10.00%
南山大学66.70%
同志社大学58.10%
立命館大学62.70%
関西大学54.30%
関西学院大学31.40%
福岡大学54.50%
全体55.81%

参考:修了認定の実施状況および標準修業年限以内の修了率 |文部科学省

ストレート率が高い順でみてみると、東京都立大学が82.10%でトップ、ついで一橋大学が82.00%、慶應義塾大学が78.80%となっていて、約2割だけの生徒がストレートで卒業できなかった結果となっています。

ストレート率が低いところだと、愛知大学が10.00%、金沢大学が12.50%、専修大学が25.90%となっていて、8割から9割の生徒がストレートで卒業できていないというかなり低い水準になっていることがわかります。

全体の数字をみても、半数近い生徒が思うように進級できていないという結果になっていますが、法科大学院入試という厳しい選抜試験をくぐり抜けてもなおこの進級率であるということは、法科大学院での学びの環境は決して甘いものではないということの表れであるといえるでしょう。

つまり、司法試験に合格するためには、まず法科大学院で留年しないという大きな壁があるのです。

 

4.留年する原因は基礎学力不足

法科大学院で留年してしまう主な原因は、基礎学力が不足している点にあります。

法科大学院は、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクールで、法科大学院課程を修了した者には司法試験の受験資格が与えられます。

各学年に進級するためには、必要とされる単位を取得し、かつ大学院によっては進級試験や進級要件(一定のGPA)が課されることになります。

大学のように単位不足による留年とは異なり、単位を取得できていたとしても留年の措置が存在するのが法科大学院です。

単位の取得に関しては、日々の授業の予習、復習を欠かさないことで対応できるかもしれませんが、進級試験や進級要件に関しては、予備試験に対応できるくらいの基礎的な学力が必要になります。

法科大学院では、試験に関する勉強をするだけでなく、司法試験に合格し、実務の世界に出たあとに活躍するために必要な知識を学び、必要な経験を積むことができます。

しかし、法科大学院での日々の授業に追われてしまい、司法試験に合格するための基礎学力を養う時間がとれないこともよくあり、そのままだと進級試験に合格することはできません。

最短で司法試験に合格するためには、早い段階から基礎学力を定着させることで、進級試験でつまづかないようスムーズに進級することが重要になってくるでしょう。

 

5.法科大学院入学前に基礎学力をつける必要性

留年の主な原因が基礎学力が不足しているからだとしても、法科大学院に入学してから基礎学力をつければ間に合うのではないかと考える人もいるかもしれません。

しかし、司法試験に合格することを考えると、法科大学院に入学してから勉強したのでは遅く、入学前から勉強しておく必要があります。

ここでは、法科大学院に入学する前に基礎学力をつけておく必要性について解説します。

 

5-1.基礎学力がないと進級や修了すら難しい

法科大学院の進級試験において最も重要なのが、基礎学力が定着しているかどうかです。

基礎学力不足では、司法試験に合格するどころか、受験資格を得るために法科大学院課程を修了することや、進級することすら難しいのが現状です。

それぞれの法科大学院では、法科大学院修了者の質を一定以上に保つため、厳格な進級試験が定められています。また、成績を決める試験自体も、授業でおこなった内容とは異なる司法試験レベルの問題が出される大学院もあります。

司法試験合格を目指すのであれば、法科大学院に入学する前には、予備試験受験レベルの基礎学力をつけておくことが重要です。

 

5-2.留年すると就職活動に影響が出てしまう可能性も

法科大学院で留年をしてしまった場合、その後の就活に影響が出てしまう可能性があります。

もちろん、就活は留年したかどうかで全てが決まるわけではなく、その人の能力や人格などを含めて判断することになるため、留年したからといって必ずしも就活に影響があるわけではありません。

しかし、1次選考など書面のみで選考が行われる過程がある場合においては、形式的に考慮される可能性があるため、注意が必要です。まったく同じ条件で2人の応募が来て、一方はストレートで卒業、もう一方は留年しているのであれば、当然留年していない方を採用することになるでしょう。

特に志願者の多い法律事務所や大手企業の場合、応募人数が多いことから、書類選考で大量の選別を行う必要があるため、法科大学院での留年歴がネックになる可能性もありますので、できる限り留年しないよう入学前にしっかり力をつけておく必要があるでしょう。

 

5-3.早い段階から基礎を固めることで他の受験生に差をつけることができる

基礎学力が不足したままで法科大学院に入学を考えている人の多くは、入学後に司法試験や予備試験の勉強を開始すればいいと考えています。

そのため、法科大学院の入学試験に通るレベルの勉強しかしていないことが多いことから、この時点で予備試験受験レベルまで基礎学力を上げておけば、周りの同級生に相当差をつけることができます。

もちろん、そこまでの学力がついているのであれば、進級試験でつまずくことはほとんどないため、より司法試験の勉強に力を入れることができます。その結果、司法試験でも結果を出しやすくなると言えます。

 

5-4.予備試験であれば在学中に受験することもできる

法科大学院に入学した時点で、予備試験受験レベルまで力をつけることができれば、法科大学院在学中に予備試験を受験することができます。

令和4年度の司法試験全体の合格率は45.52%、法科大学院ルートの合格率は37.65%であるのに対し、予備試験ルートの合格率は、97.53%と非常に高い数字となっています。

もし、法科大学院在学中に予備試験に合格することができれば、司法試験合格もすぐそこまで来ていると言えるのです。

将来法曹の仕事に就くことも目標にしているのであれば、できるだけ早いタイミングで司法試験や予備試験の勉強を始めることをおすすめします。

もし、大学時代に勉強を開始することができれば、法科大学院入学まで十分な時間を取ることができます。

仮に、法曹の道をあきらめることになってしまったとしても、法律の勉強は論理的思考力を養うことにもつながるため、一般企業に就活する際にも、将来仕事をしていくうえでも非常に大きな強みとなるでしょう。

 

6.まとめ

◉司法試験に最短で合格するためには、法科大学院で留年しないことが必要不可欠
◉留年せずストレートで卒業できるのは生徒の半分しかいない
◉留年しないためには、法科大学院入学前から予備試験受験レベルの力をつける

法科大学院では、進級の際に次年度へ上がるだけの基礎的学力がついているかどうか、厳しくチェックされます。

単位自体は取れていたとしても、GPAが低く学力レベルが基準に達していないとみなされれば、容赦なく留年となってしまうため、早めに予備試験、司法試験受験レベルの力をつけておく必要があります。

法科大学院に入学してから司法試験の勉強を開始するのではなく、できるだけ早い段階で、理想は大学入学した時から継続的に勉強をしておくのが、司法試験合格への近道になるといえるでしょう。

しかしながら、司法試験の勉強を大学の学業と両立しながら独学で続けるのは、文字通り「暗中模索」の状態に陥りかねません。迷いの中で試行錯誤を重ねながらの学習スタイルでは、精神的に疲弊してしまい、法曹への道を断念することになってしまうかもしれません。

効率よく勉強し、早期合格を確実なものとするならば、多くの合格者が選択したように予備校を有効活用してみてはいかがでしょうか。

伊藤塾はあなたのチャレンジを心から応援しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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