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【2024年度】法科大学院(ロースクール)入試の難易度と対策を解説

2025年03月04日

 
合格プレミアムコース


 

司法試験の受験資格を得るには、以下の2つのルートがあります。

①予備試験ルート:予備試験に合格する
②法科大学院ルート:法科大学院に進学し、修了もしくは最終学年進学時点で一定の成績を収めて学長認定を取得する

近年では、法曹コースの導入と法科大学院の最終年度での受験資格が認められたことにより、法科大学院ルートでも今までより2年も早く司法試験に挑戦できるようになりました。また、法科大学院在学中受験者の司法試験合格率が予備試験合格者の司法試験合格率に次ぐ高さとなったことから、法科大学院ルートの人気が高まっています。

今回は、令和6年度の法科大学院入試の実施状況をご紹介するとともに、入試制度や難易度、試験対策などについて解説します。司法試験への挑戦を検討している方、どの法科大学院を受験すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

※司法試験の合格率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【最新版】2024年度司法試験の結果は?合格率や合格者数・大学別ランキングも紹介

【目次】
1.令和6年度 法科大学院の入学者選抜実施状況等
2.法科大学院の入試制度
 2-1.法科大学院入試は各大学が独自に実施している
 2-2.既修者コースの入試制度
 2-3.未修者コースの入試制度
3.法科大学院入試の難易度
 3-1.入試倍率について
 3-2.入試難易度の高い法科大学院の特徴
4.法科大学院入試の試験対策
 4-1.できるだけ早いタイミングで法律基本科目の学習を始める
 4-2.司法試験の学習は法科大学院に入学してからでは遅い
5.まとめ

 

1.令和6年度 法科大学院の入学者選抜実施状況等

令和6年度(2024年度)の法科大学院入試の実施状況は、以下のとおりです。

(※法科大学院の記載の順番は、倍率が高い順となっています。)

 定員志願者受験者合格者入学者競争
倍率
倍率
前年比
定員
充足率
日本大学6050644655368.111.84 0.60
専修大学2834831239178.00▲0.090.61
筑波大学3634829744376.750.68 1.03
関西大学4049244371336.243.62 0.83
法政大学3034029862364.811.75 1.20
東京大学2301,2331,0722441974.391.58 0.86
東北大学5044538490514.270.83 1.02
東京都立大学4028723360433.880.89 1.08
学習院大学3012911633233.520.82 0.77
上智大学4017414241223.460.20 0.55
一橋大学8531331397893.23▲1.191.05
広島大学2012210934173.21▲0.410.85
関西学院大学3032430094403.19▲0.271.33
神戸大学80647567187883.03▲0.211.10
同志社大学70541449151712.970.43 1.01
慶應義塾大学2201,1341,0263482002.95▲0.060.91
大阪公立大学3021815553352.920.61 1.17
岡山大学241129734222.850.47 0.92
京都大学1606035591981512.820.30 0.94
九州大学4517514555372.640.32 0.82
立命館大学70573526204782.580.53 1.11
名古屋大学5021617870602.540.01 1.20
明治大学40439404161462.51▲0.931.15
南山大学20816526162.500.75 0.80
琉球大学16504719102.47▲0.130.63
愛知大学201029338192.45▲0.260.95
大阪大学80597474199902.380.14 1.13
福岡大学20918536262.36▲0.091.30
早稲田大学2001,2668523692082.310.04 1.04
金沢大学15454118102.280.83 0.67
千葉大学4020917377512.25▲0.051.28
北海道大学5016412958512.22▲0.091.02
中央大学2001,1381,0815211482.07▲0.080.74
創価大学28514925181.96▲0.140.64
令和6年度計2,19713,51311,6603,8112,0763.060.27 0.94
令和5年度計2,19712,17410,5403,7821,9712.790.24 0.90

参照:各法科大学院の令和2年度~令和6年度入学者選抜実施状況等|文部科学省

令和6年度の法科大学院入試では、志願者数、受験者数、合格者数、入学者数すべてにおいて過去5年間で最多となり、競争倍率、定員充足率においても過去5年間でもっとも高い数値となりました。

競争倍率については、

8倍以上→ 日本大学(8.11倍)、専修大学(8.00倍)の2校
6倍以上→ 筑波大学(6.75倍)、関西大学(6.24倍)の2校
4倍以上→ 法政大学(4.81倍)、東京大学(4.39倍)、東北大学(4.27倍)の3校

となりました。

受験者数の増加に伴い、競争倍率が4倍を超える法科大学院の数は、令和5年度の4校に対し、令和6年度は7校に増えており、全体の平均倍率も令和5年度の2.79倍から3.06倍に増加しています。

もっとも、8倍超の倍率となった日本大学、専修大学については定員充足率(入学者数/入学定員)が1を大きく下回っていることから、他の法科大学院と併願している受験生が多かったものと推測されます。

入学者が定員を下回っている法科大学院は34校中17校と、まだ半数が定員割れしているものの、入試倍率は1校を除きすべて2倍以上となっているため、法科大学院入試は誰でも簡単に合格できる試験ではないといってよいでしょう。

倍率だけで試験の難易度を測ることはできませんが、司法試験合格実績の高い法科大学院をはじめ、希望の法科大学院に入学するためには、今後ますますしっかりとした対策が必要になることは間違いありません。

 

2.法科大学院の入試制度

法科大学院については、同じ大学でも複数のコースが設置されているため、入試制度を複雑と感じる方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、法科大学院入試の難易度を解説する前提として、入試制度について詳しく解説します。

 

2-1.法科大学院入試は各大学が独自に実施している

現在の入試制度では、各法科大学院に共通の試験はありません。

かつての法科大学院入試では、大学入試の共通テストのような位置付けで適性試験が実施されていました。しかし、法科大学院受験生の減少にともなって適性試験は廃止され、現在は、各大学が独自に試験を実施しています。

各大学の実施する入試については、既修者コースと未修者コースに分けられており、既修者コースでは法律の論文試験、未修者コースでは小論文試験とする大学が多くなっています。

 

2-2.既修者コースの入試制度

各法科大学院が設置する既修者コースは、次の3つに分けられています。

・5年一貫型選抜
・特別選抜(開放型)
・一般選抜


5年一貫型選抜
は、大学を3年で早期卒業する法曹コースを設置する大学と協定を結び、法曹コースの成績と面接結果をもとに入学者を選抜する方法です。5年一貫型選抜では、入試の段階で法律の論文試験は課されません。

特別選抜(開放型)は、法曹コース修了予定者が協定関係にない法科大学院を受験する場合の選抜方法です。たとえば、中央大学の法曹コース修了予定者が、慶應義塾大学を受験する場合は特別選抜(開放型)を受験できます。特別選抜(開放型)の入試では、法曹コースの成績や面接に加えて、法律の論文試験が課されます。

既修者の一般選抜は、法曹コースとは関係なく、広く一般の人が受験できる選抜方法です。既修者コースの一般選抜では、法律の論文試験によって選抜する大学が多くなっています。

特別選抜(開放型)と一般選抜は、併願できます。法科大学院によっては、法律の論文試験以外の試験を課したり、英語の能力を示す資料など独自の提出物を課したりするところもあるので、詳しい試験内容については、各法科大学院のサイトで確認するようにしてください。

京都大学法科大学院の入試情報はこちら
慶應義塾大学法科大学院の入試情報はこちら
東京大学法科大学院の入試情報はこちら
神戸大学法科大学院の入試情報はこちら
北海道大学法科大学院の入試情報はこちら
東北大学法科大学院の入試情報はこちら

 

2-3.未修者コースの入試制度

未修者コースの入試制度には、次の2つがあります。

・ 特別選抜
・ 一般選抜


未修者コースについては、各法科大学院が社会人枠、グローバル法曹枠など、特別の選抜方法を実施していることがあります。未修者の特別選抜は、法曹コースとは関係ありません。

特別選抜を受験できるのは、他学部出身者、社会人経験者など各大学が指定する条件を満たす人だけです。未修者の特別選抜では、筆記試験を実施せずに、提出書類と面接試験のみで選抜する大学が多くなっています。

未修者の一般選抜は、大学を卒業した人、卒業見込みの人なら誰でも受けられる試験で、法学部出身者でも未修者の一般選抜を受験する人は少なくありません。未修者の一般選抜では、小論文試験によって合否が判定されます。

 

3.法科大学院入試の難易度

法科大学院入試の難易度は、入試倍率だけでは測れません。ここでは、入試倍率や各法科大学院の特徴をもとに、法科大学院入試の難易度について解説します。

 

3-1.入試倍率について

令和6年度の入試状況では、半数の法科大学院が入学者定員割れとなりましたが、入試倍率自体はほとんどの大学が2倍を超えています。今後もさらに受験者が増加する可能性が考えられるでしょう。

そのため、どの法科大学院を受験する場合であっても、入試の難易度が易しいとは言えません。今後は、受験生の増加により難易度が上がる可能性もあります。

法科大学院によって受験生のレベルも変わるため、倍率の高さが難易度と比例するわけではありません。法科大学院入試の難易度を判断するには、倍率だけでなく、受験する法科大学院入試の特徴も考慮する必要があるでしょう。

 

3-2.入試難易度の高い法科大学院の特徴

入試の競争倍率が他の法科大学院と比較して高くなっていなくても、司法試験で高い合格実績を誇る法科大学院は、入試難易度が高いと言ってよいでしょう。

慶應義塾大学や京都大学は、いずれも入試倍率が2倍台となっており、倍率だけを見ると法科大学院の中でも中位に位置しています。しかし、これらの法科大学院は司法試験の合格実績も豊富なことから、受験生のレベルが高いです。そのため、倍率は中位であっても、入試難易度は最上位と言えるでしょう。

※法科大学院の司法試験合格率や合格者数については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【2024年度版】おすすめの法科大学院ランキング!合格率や難易度・穴場の法科大学院も解説

 

4.法科大学院入試の試験対策

ここでは、法科大学院入試の試験対策について解説します。

 

4-1.できるだけ早いタイミングで法律基本科目の学習を始める

法科大学院入試に臨むに当たっては、法律基本科目の学習は欠かせません。これは、未修者コースの受験生にも当てはまります。

法科大学院に入学する目的は、司法試験に合格することです。司法試験に合格するには、法科大学院に入学する前の段階で、法律基本科目の学習をひと通り終えていることが重要です。

では、どのようにして法律基本科目の学習を進めればよいのでしょうか。

もっとも効率的かつ網羅的に法律基本科目を学ぶ方法は、予備試験の学習です。

大学入学後にいきなり司法試験や法科大学院入試は受験することができないため、大学生がまず受験できるのは予備試験となります。したがって、大学入学後のできるだけ早いタイミングで、予備試験の学習を始めることが、法科大学院入試の試験対策としても非常に有効です。

予備試験の学習のゴールは、予備試験に合格することではありません。司法試験に合格することです。

したがって、予備試験の学習は、予備試験ルートで司法試験合格を目指している人だけでなく、法科大学院ルートを選択した人にとっても、必須の学習であると言ってよいのです。

早期に予備試験の学習を始めるメリットは以下のとおりです。

・学部試験の成績が上がり、高いGPAを獲得できる
・特別な法科大学院入試対策をしなくても、好成績での合格が期待できる
・特待生として合格できる可能性もある
・司法試験合格率の高い難関法科大学院への合格が期待できる
・法科大学院入学後、すでに予備試験の学習を進めてきた周囲との学力差に苦しまずに済む
・司法試験に合格する可能性が高くなる


※ぜひ、以下の記事も併せてご覧ください。
法学部は難しい?GPAを上げて弁護士への道を切り開く方法
法科大学院に行くな・やめとけは本当か?ロースクールから司法試験に合格する秘訣とは

 

4-2.司法試験の学習は法科大学院に入学してからでは遅い

「本格的な司法試験の学習は、法科大学院に入学してから始めればよい。」と考えている人は意外と多いのではないしょうか。

しかし実際には、法科大学院に入学してから本格的に司法試験の学習を始めるのでは「遅い」といってよいでしょう。

例えば、2024年度司法試験における法科大学院在学中受験者の合格率を見てみると、既修コースの61.3%に対し、未修コースは29.4%と大きく差が開きました。

この合格率の差を見れば、「法科大学院に入学してから司法試験の学習を始めるのでは遅い」といわれる理由がお分かりになるかと思います。

また、無事、法科大学院に入学できたにも関わらず、法科大学院の授業についていけず留年してしまったり退学を余儀なくされてしまうという人も決して少なくありません。

※法科大学院の留年率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
法科大学院の留年率は意外と高い?その原因と留年回避の対策を徹底解説

法科大学院に進学する人の中には、学部生の段階で予備試験の学習を一通り完了している人が一定数いますし、特に、上位校といわれる法科大学院では、入学生の多くが予備試験の学習経験者であり、授業のレベルが相対的に高くなっています。

法科大学院の授業についていけないとなると、当然ながら進学の目的である「司法試験合格」を果たすことはできません。

したがって、法科大学院に進学して司法試験に合格するためには、法科大学院修了レベルと同等の知識量を培うことができる予備試験の学習を、大学入学後のできるだけ早いタイミングでスタートさせることが必須であるといえるのです。

※予備試験と法科大学院のW合格を果たした伊藤塾受講生の体験談をご紹介します。

安心感を持って勉強できたので余計な心配をした記憶なし

K.Uさん(大阪大学法学部4年)
予備試験とW合格・法曹コース
5年一貫型合格・特待生合格

【合格校】
京都大学法科大学院(既修)
大阪大学法科大学院(既修)法曹コース・5年一貫型
神戸大学法科大学院(既修)
同志社大学法科大学院(既修)全額免除

受講講座:司法試験入門講座(本科生)、予備試験全国公開論文模試、など

基本的に予備試験の勉強をしていれば法科大学院の試験対策にもつながると考えていたので、特別な対策は特にしていませんでした。試験問題の傾向や試験時間など独特な点については、試験日の1週間前から軽く時間を計って過去問を解くことで慣れるようにしました。

伊藤塾を利用して良かったことは、全く法律の知識がなかった私でも1年という短期間で、予備試験合格と法科大学院入試に合格できました。圧倒的な実績から講師を信じて安心感を持って講義に集中できたため、余計な不安や心配をした記憶がありません。本当に淡々と勉強することができました。司法試験も同様に淡々と勉強して備えたいと考えています。

※K.Uさんの勉強法や司法試験対策など、さらに詳しい内容はこちらをご覧ください。

 

5.まとめ

法科大学院入試の難易度は、倍率だけでは判断できません。受験する法科大学院を決める際には、倍率だけでなく、司法試験の合格実績なども考慮することが大切です。

どの法科大学院を受験する場合であっても、法律基本科目の学習は必要です。法律基本科目をマスターするために有効な方法は、予備試験の学習です。

法科大学院への進学の目的は司法試験合格です。そのため、予備試験の学習は、法科大学院への入試対策はもちろん、司法試験合格に直結する非常に重要な学習であることは間違いありません。

もし司法試験合格を目指しているのなら、予備試験ルート、法科大学院ルート問わず、大学入学後のできるだけ早いタイミングで予備試験の学習を始めることが大切です。

予備試験の学習方法について不安な方は、司法試験・予備試験を知り尽くした伊藤塾までぜひお気軽にお問い合わせください。

2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※1
2024年 予備試験合格者 449人中 405名(90.2%)※2
伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)

なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

 

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伊藤塾司法試験科

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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