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社労士と行政書士の難易度の違いは?どっちが先?ダブルライセンスもおすすめ

2025年03月30日

 
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社会保険労務士(社労士)と行政書士は、それぞれ専門性の高い業務を取り扱う国家資格でありながら、お互いの業務分野において相互に補完し合える関係性にあります。

この記事では、どちらの資格を取得するかで迷っている人のために、それぞれの業務内容の違いや難易度の違いから、どちらを目指すべきかについて解説していきます。

【目次】
1.社労士と行政書士の違い
 1-1.社労士とは
 1-2.行政書士とは
2.社労士と行政書士の難易度は?どっちが難しい?
 2-1.社会保険労務士験の難易度
 2-2.行政書士試験の難易度
3.社労士と行政書士はどっちを目指すべき?
 3-1.社労士に向いてる人|労務管理の仕事に興味がある
 3-2.行政書士に向いている人|行政関連の仕事に興味がある
4.社労士と行政書士のダブルライセンスで働くメリット
 4-1.仕事の幅が広がり集客しやすくなる
 4-2.独立して年収を上げやすくなる 
5.社労士の受験資格を得る目的で行政書士を先に目指すケースも
6.まとめ

 

1.社労士と行政書士の違い

社労士と行政書士は、同じ士業としてそれぞれの専門分野に精通したエキスパートです。
まずは、それぞれの業務内容の違いについて確認していきましょう。

 

1-1.社労士とは

社会保険労務士(社労士)は、労務関連や社会保険分野に関する専門家です。企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」に対して適切なサポートをするのが、主な業務内容となります。

社労士がサポートできる内容は多岐に渡りますが、近年では、各種ハラスメントに関する相談やメンタルヘルスに関する相談業務も増えています。

【社労士の主な業務内容】

・労働社会保険手続業務(社会保険の適用、各種助成金の申請、就業規則等の変更など)
・労務管理の相談指導業務(雇用管理・人材育成・人事・賃金・労働時間などの相談など)
・年金に関する相談業務
・紛争解決手続(ADR)代理業務
・補佐人としての業務(労働関係紛争に関する裁判で、弁護士とともに裁判所に出頭し陳述するなど)

このように、労働関係や社会保険に関するエキスパートとして企業と労働者の間を取り持つことができるのが、社労士の大きな魅力の1つとなります。

 

1-2.行政書士とは

一方、行政書士は、行政手続きに関する専門家です。1万種類以上の官公署に提出する書類作成業務が、主な業務内容となります。

許認可申請に関する相談や書類作成、提出業務がメインですが、他にも、遺言書や遺産分割協議書の作成、成年後見人としての業務、街の法律家として一般市民向けの法律相談を受ける事もできます。また、特別な研修を修了すれば、特定行政書士として、行政庁への不服申立て手続きの代理業務を行えるようになります。

近年では、資格を活かして企業の法務部で働いたり、ビジネスコンサルタントとしてコンサルティング業務を行ったりするなど、幅広い活躍が期待されています。

※行政書士については、こちらのページで詳しく解説しています。
→ 行政書士とは 仕事内容と資格の活かし方 

※特定行政書士については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【特定行政書士とは?】メリットやできること、勉強方法について徹底解説!

 

2.社労士と行政書士の難易度は?どっちが難しい?

社労士試験や行政書士試験は、それぞれ試験範囲や合格基準が異なるため、どっちが難しいかについては一概には言えません。

ただし、試験制度を比べてみることで、自分に合った試験がどちらなのかを知る事が出来るでしょう。ここでは、試験の内容や合格率から、両試験の難易度を探っていきます。

 

2-1.社会保険労務士験の難易度

 

受験資格下記3つのうち、いずれか1つを満たす必要あり

①学歴による受験資格
→大学、短期大学卒業 など
②実務経験による受験資格
→労働組合の職員として労働社会保険諸法令に
関する事務に従事した期間が通算して3年以上に
なる者 など
③試験合格による受験資格
→司法試験や行政書士試験に合格した者 など
試験形式択一式および選択式問題
※全てマークシート方式
試験科目・労働基準法及び労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
・雇用保険法
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
・労務管理その他の労働に関する一般常識
・社会保険に関する一般常識
・健康保険法
・厚生年金保険法
・国民年金法
合格基準選択式および択一式、各科目ごとに基準点が定め
られ、具体的な基準は年度ごとに若干変わります

【令和5年度の合格基準】
次の2つの条件を満たしたものを合格とする
①選択式試験(40点満点)
→総得点26点以上かつ各科目3点以上
②択一式試験(70点満点)
→総得点45点以上かつ各科目4点以上
合格率例年6~7%
合格まで
に必要と
されている
勉強時間
1,000時間が目安

参照:社会保険労務試験オフィシャルサイト

社労士試験の試験内容は、業務内容に伴い、労働関係に関する法律や社会保険に関する法律から出題されます。各科目ごとに合格基準点が設けられているため、バランスよく得点することが合格の鍵になります。

 

2-2.行政書士試験の難易度

 

受験資格なし
試験形式択一式(マークシート式)
記述式(40字程度)
試験科目【法令等科目】
・憲法
・行政法
・民法
・商法
・基礎法学
【基礎知識科目】
・一般知識
・行政書士法等行政書士業務と密接に関連する
諸法令
・情報通信、個人情報保護
・文章理解
合格基準以下、3つの基準をクリアする必要があります

①法令等科目の得点が満点の50%以上
(122点/244点)
②基礎知識科目の得点が満点の40%以上
(24点/56点)
③試験全体の得点が満点の60%以上
(180点/300点)
合格率例年10%前後
合格まで
に必要と
されている
勉強時間
800~1,000時間が目安

参照:行政書士試験研究センター

行政書士試験の試験科目は、民法や行政法などの「法令等科目」と情報通信や個人情報保護などの「基礎知識科目」の2つに分ける事ができます。

法令等科目および基礎知識科目でそれぞれ基準点が定められているため、試験範囲の広い基礎知識科目を疎かにする事もできません。また、40字程度とはいえ記述式問題も出題されるため、幅広い知識が必要になると言えるでしょう。

※行政書士試験の難易度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 行政書士試験の難易度ランキングや偏差値は?合格するとすごいと言われる理由も解説

※行政書士試験の合格率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 行政書士試験の合格率はどのくらい?合格率が低い理由や推移についても解説

 

3.社労士と行政書士はどっちを目指すべき?

社労士と行政書士のどちらを目指すべきか迷った場合には、将来自分がどういう仕事をしたいか、その仕事をするためにはどんな資格が必要なのかを、じっくり考えてみると良いでしょう。

また、資格を取得した事自体をアピールしたいのであれば、それぞれの試験の過去問を解いてみて、自分に相性の良い資格を目指すのも良いでしょう。ここでは、「社労士に向いている人」および「行政書士に向いている人」それぞれについて解説していきます。

 

3-1.社労士に向いてる人|労務管理の仕事に興味がある

企業の労務管理や社会保険に関する業務など、企業と労働者の関係を公正な立場からサポートしていきたいと考えるのであれば、社労士を目指すことをお勧めします。労務関係や社会保険については、専門的な知識を必要としている企業も多く、社労士の需要は高いです。

また、近年労働トラブルやパワハラなどの各種ハラスメントに関するトラブルや、労働環境からくるメンタルヘルス対策に関する相談も増えているので、今後もますます業務範囲が広がる可能性を秘めています。人を大切にする企業作りをサポートできるのは、社労士の大きな魅力だと言えるでしょう。

 

3-2.行政書士に向いている人|行政関連の仕事に興味がある

官公署に提出する公的書類の作成業務等を通して行政に関わる仕事がしたいのであれば、行政書士を目指すのが良いでしょう。

行政書士が扱える書類作成業務の範囲は多岐に渡るため、幅広い分野で困っている人のサポートができる仕事です。また、遺産分割協議書や各種契約書の作成など、トラブルを未然に防ぐための「予防法務」として依頼者をサポートできるのも、行政書士の魅力の1つだと言えるでしょう。

また、行政書士試験では、民法など法律科目も試験科目に含まれているため、将来的に司法書士試験や司法試験にチャレンジしたいと考えている方にとっても、お勧めの資格となります。

 

4.社労士と行政書士のダブルライセンスで働くメリット

社労士と行政書士のどっちを目指すかで迷っている場合には、両方の資格を取得し、ダブルライセンスで働くことも検討すると良いでしょう。ここでは、業務範囲の異なる2つの資格を取得するメリットについて解説していきます。

 

4-1.仕事の幅が広がり集客しやすくなる

社労士と行政書士のダブルライセンスで働けば、それぞれの専門分野の仕事を扱えるようになるため、業務範囲が広がります。

社労士と行政書士は、一見すると全く違う業務範囲のように感じるかもしれませんが、業務上の相性が良く、お互いの資格では扱えない業務を相互に補い合うことができるようになります。

たとえば、会社を設立する際には、許認可手続きや助成金等の申請手続きなどについて、行政書士としてサポートができます。もし、社労士の資格があれば、設立後の社会保険や労働保険の手続き、労務管理などについて一括して業務を請け負うことができるでしょう。クライアントの悩みに対してワンストップで対応できれば、依頼者としてもわざわざ別の士業に依頼する手間が省けるため、同業者との差別化を図ることができるのです。

 

4-2.独立して年収を上げやすくなる 

ダブルライセンスで仕事の幅が広がれば、独立開業した際に集客を安定させることができるでしょう。社労士の場合は、企業や事務所で勤務する場合が多いですが、行政書士の場合、独立開業するケースも多いです。

社労士として経験を積んだ後に、ダブルライセンスを活かして独立開業すれば、集客率をアップさせて年収を上げる事もできるでしょう。また、2つの専門分野に関する知識や経験、ノウハウを活かせば、企業コンサルティングで年収アップを目指す事も可能です。

 

5.社労士の受験資格を得る目的で行政書士を先に目指すケースも

社労士試験には受験資格が設けられており、基本的には大学や短大、高専などを卒業していなければ受験できません。一方で、行政書士や司法書士などの一部の国家資格を保有していれば、高卒でも社労士の受験資格を得る事ができます。

受験資格の要件を満たさないものの社労士の仕事に興味があり、司法試験や司法書士試験は難し過ぎると考えている場合には、行政書士試験に合格した後に社労士試験にチャレンジする事も、考えられる選択肢の1つと言えます。

また、行政書士試験の勉強で法律に関する基礎知識がすでに頭に入っていれば、社労士の勉強をする際も、スムーズに勉強を進められるでしょう。

 

6.まとめ

当記事では以下の内容について解説してきました。

◉ 社労士と行政書士の業務内容の違い
◉ 社労士と行政書士の難易度の違い
◉ 社労士と行政書士はどっちを目指すべきか?
◉ 社労士と行政書士のダブルライセンスで働くメリット

社労士は労務関係や社会保険に関する専門家であり、行政書士は行政手続きに関する専門家です。

どちらも専門的な分野を扱うエキスパートですが、お互いに補い合える業務内容になっているため、ダブルライセンスで仕事をすれば、仕事の幅を広げる事が出来るでしょう。

どちらの資格を取得すべきかは、将来的に自分がどういう仕事をしたいかで決めるのがお勧めです。

いずれの資格を目指すにしても、早めに勉強を開始するに越したことはありません。

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著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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