【特定行政書士とは?】メリットやできること、勉強方法について徹底解説!

「特定行政書士ってなに?メリットは?」
「特定行政書士になると何ができるの?」
「試験は難しい?」
という疑問をお持ちではありませんか?
特定行政書士を一言でいうと、「通常の行政書士よりも、できる業務が多い行政書士」です。とはいえ、具体的に何ができるのか気になりますよね。そこで、この記事では、
◉特定行政書士にできること
◉特定行政書士になるメリット
◉特定行政書士になる方法
について解説します。特定行政書士について分かりやすくまとめたので、是非ご一読ください。
【目次】
1.特定行政書士とは?
2.特定行政書士にできる不服申立てとは?
2-1.特定行政書士にできる不服申立ての概要
2-1-1.審査請求とは
2-1-2.再調査請求とは
2-1-3.再審査請求とは
2-2.想定される事例
2-2-1.難民不認定
2-2-2.建設業許可申請の不許可処分
2-2-3.産業廃棄物処理施設の設置許可の不許可
3.特定行政書士になるための方法
3-1.行政書士試験に合格する
3-2.特定行政書士法定研修を受講する
3-3.考査に合格する
3-4.(補足)再受講制度について
4.特定行政書士になるメリット
4-1.業務領域が広がる
4-2.他の行政書士と差別化ができる
5.特定行政書士に関するよくある質問
5-1.特定行政書士は、不服申立て手続きなら全て取扱える?
5-2.特定行政書士になるための勉強方法は?
5-3.特定行政書士になるオススメのタイミングは?
5-4.特定行政書士になるための難易度は?
6.まとめ
1.特定行政書士とは?
特定行政書士とは、日本行政書士会連合会が実施する「特定行政書士法定研修」の課程を終了した行政書士のことをいいます。
特定行政書士になると、通常の行政書士の業務に加えて、許認可等に関する行政庁への不服申立て手続きの代理業務を行うことができます。
例えば、「行政書士が、クライアントから依頼されて、飲食店の営業許可を申請したところ、許可の要件を満たしているはずなのに、不許可となってしまった。」というケースを考えてみましょう。
通常の行政書士であれば、一旦営業が不許可となってしまうと、いくら納得がいかなくても、諦めるか、不服を申し立てるために弁護士等へ業務を引き継ぐことしかできません。しかし、特定行政書士になると、納得のいかない「不許可処分」に対して、自分で「不服申立て」の手続きができるようになるのです。
「許認可等の申請」から「不服申立て」の手続きまで総合的にサポートできるのが、「特定行政書士」と「行政書士」の大きな違いです。
2.特定行政書士にできる不服申立てとは?
この章では、特定行政書士にできる不服申立ての手続きについて解説します。
2-1.特定行政書士にできる不服申立ての概要
特定行政書士にできる「不服申立て」の手続きとは、行政書士法によって、以下のように規定されています。
【行政書士法 第一条の三 二項】行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
簡単に説明すると、行政書士が行った許認可等の申請について、
◉行政庁(国や地方公共団体)の処分(許可・不許可の判断など)に納得できない
◉申請したのにいつまで経っても許可・拒否どちらも判断されない(不作為)
などの不服がある場合、行政庁(国や地方公共団体)に対して、不服を申し立てることができる制度です。これを「不服申立て」の手続きといいます。
特定行政書士にできる「不服申立て」の手続きには、以下の3種類があります。
◉審査請求
◉再調査請求
◉再審査請求
それぞれ、説明します。
2-1-1.審査請求とは
「審査請求」とは、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為によって不利益を受けた国民が、不服を申し立て、行政庁が審査する手続です。
基本的には、処分庁の最上級行政庁が審査請求先となります。不服申立ての原則は、この「審査請求」です。
2-1-2.再調査請求とは
「再調査請求」とは、審査請求をする前に、処分庁に対して直接、再調査を請求する手続きです。「再調査請求」は、法律に特別の定めがある場合のみ、行うことができます。
2-1-3.再審査請求とは
「再審査請求」とは、「審査請求」に対する裁決に不服がある場合、「審査請求の裁決」又は「処分」を対象に、再度審査を請求する手続きです。「再審査請求」についても、法律に特別の定めがある場合のみ、行うことができます。
2-2.想定される事例
日本行政書士会連合会では、特定行政書士の活躍が想定される事例を、具体的に3つ紹介しています。
(参考:日本行政書士会連合会 令和5年度特定行政書士制度PRポスター)
◉難民不認定
◉建設業許可申請の不許可処分
◉産業廃棄物処理施設の設置許可の不許可
簡単に紹介しますので、あなたが行政書士になって取り組みたい分野も想像しつつ、チェックしてみてください。
2-2-1.難民不認定
1つ目は、出入国管理及び難民認定法に基づく「難民認定申請」に対する不認定処分に対して、異議申立てをする事例です。
例えば、「自分の国に帰国すれば、政府による迫害を受けるおそれがあるとして、難民認定申請を行ったにも関わらず、難民条約上の迫害のおそれは認められないとして不認定となった」というケースが想定されています。
2-2-2.建設業許可申請の不許可処分
2つ目は、建設業法に基づく「建設業許可申請」に対する不許可処分に対して、不服申立てをする事例です。
例えば、「管理責任者としての経験年数や、常勤性に疑義があることを理由に不許可となったが、判断を見直す余地がある場合」に不服申立てを行うケースです。
2-2-3.産業廃棄物処理施設の設置許可の不許可
3つ目は、産業廃棄物処理施設の設置許可申請に対する不許可処分に対して、不服申立てをする事例です。
例えば、「条例により、周辺住民の同意書の提出が、産業廃棄物処理施設の設置許可の要件となっているが、周辺住民の同意書の提出を要件としていることに疑義がある場合」に不服申立てを行うようなケースです。
3.特定行政書士になるための方法
この章では、特定行政書士になるための方法について解説します。
特定行政書士になるためには、以下の3ステップをクリアする必要があります。
1.行政書士試験に合格する
2.特定行政書士法定研修を受講する
3.考査に合格する
それぞれ説明します。
3-1.行政書士試験に合格する
まずは、行政書士試験に合格し、行政書士として登録する必要があります。
特定行政書士になる資格があるのは、既に行政書士名簿に登録されている人だけだからです。なお、行政書士試験で求められる知識と、特定行政書士になるための研修や考査を突破するために必要な知識に、大きな違いはありません。
本気で特定行政書士を目指すのであれば、まずは余裕を持って行政書士試験を突破できる実力をつけることが必要です。
※行政書士試験に合格する方法については、こちらの記事を併せてご覧ください。
→ 行政書士試験合格に必要な勉強時間とは?目安や平均・最短合格のポイントについて解説
→ 行政書士は独学でも合格できる?勉強法や独学の注意点などを解説
3-2.特定行政書士法定研修を受講する
特定行政書士になるには、日本行政書士会連合会が実施する「特定行政書士法定研修」を受講する必要があります。なお、令和5年度の特定行政書士法定研修の概要は下表のとおりです。
実務経験は求められていないため、1年目の行政書士でも、申込さえすれば研修を受講することができます。
受講資格 | 行政書士(申込時点において、 行政書士名簿に登録されている者) |
受講料 | 8万円(テキスト代含む) |
講義時間 | 18時間 ※ビデオ・オン・デマンドシステム による受講 |
受講期間 | 2023年8月1日(火)〜9月20日(水) |
講義科目 | 行政法総論(1時間・1コマ) |
行政手続制度概説(1時間・1コマ) | |
行政手続法の論点(2時間・2コマ) | |
行政不服審査制度概説(2時間・2コマ) | |
行政不服審査法の論点(2時間・2コマ) | |
行政事件訴訟法の論点(2時間・2コマ) | |
要件事実・事実認定論(4時間・4コマ) | |
特定行政書士の倫理(2時間・2コマ) | |
総まとめ(2時間・2コマ) |
(参考:日本行政書士会連合会 令和5年度特定行政書士法定研修 募集要領)
3-3.考査に合格する
「特定行政書士法定研修」の受講が終わったら、例年10月頃に実施される「考査」に合格する必要があります。
考査は、マークシートによる30問択一式問題で行われます。考査の合格基準点は、例年「およそ6割程度」だとされています。
3-4.(補足)再受講制度について
考査を突破できなかった場合には、再受講制度も準備されています。
再受講制度では、研修を受けることなく、無料で翌年の考査を受験することが可能となっています。また、特定行政書士法定研修を再受講する場合にも、3年目までは受講料が半額になる等の減免措置が設けられています。
4.特定行政書士になるメリット
この章では、特定行政書士になるメリットについて解説します。特定行政書士になると、例えば以下のようなメリットがあります。
◉業務領域が広がる
◉他の行政書士と差別化ができる
それぞれ説明します。
4-1.業務領域が広がる
特定行政書士になるメリットの1つ目は、「業務領域が広がる」ことです。特定行政書士になると、「不服申立て」の手続きといった通常の行政書士にできない業務についても、取り扱うことができるからです。
例えば、許認可申請をメインとして取り扱っている行政書士が、
「万が一、申請が不許可となった場合は、不服申立ての手続きまで一貫してサポートします」などとアピールすれば、仕事の幅が大きく広がります。クライアントに対して、より幅広いサービスを提供することができるため、新たなビジネスの横展開につながる可能性もあるかもしれません。
限られた範囲内とはいえ、法的紛争性のある法律事務にまで、業務領域を拡大できることは、特定行政書士の大きなメリットです。
4-2.他の行政書士と差別化ができる
特定行政書士になるメリットの2つ目は、「他の行政書士と差別化ができる」ことです。特定行政書士の数はまだまだ限られており、希少性がとても高いからです。
例えば、日本行政書士会連合会の「行政書士会員検索」によると、行政書士(個人)全体の登録人数は「52,067人」(令和6年3月1日時点)となっています。一方で、特定行政書士の人数は「5,212人」となっており、全体の「およそ10%」程度しか存在していません。
つまり、行政書士の10人に1人しか取り扱うことのできない業務を担当できるのが、特定行政書士だといえます。この希少性の高さは、クライアントから選ばれる行政書士になるために、明確な差別化ポイントの1つとして活用できます。
5.特定行政書士に関するよくある質問
最後に、特定行政書士に関する「よくある質問」について、まとめて回答します。
特定行政書士の勘違いされやすいポイントについても解説しているので、ぜひ最後までチェックしてください。
(よくある質問)
◉特定行政書士は、不服申立て手続きなら全て取扱える?
◉特定行政書士になるための勉強方法は?
◉特定行政書士になるオススメのタイミングは?
◉特定行政書士になるための難易度は?
5-1.特定行政書士は、不服申立て手続きなら全て取扱える?
不服申立て手続きが全て取り扱えるわけではありません。特定行政書士が不服申立てできるのは、以下の要件を満たしている場合に限られます。
◉行政書士が関与することのできる行政手続きであること
◉行政書士が作成した書面を提出したことにより、不許可などの不利益処分がなされたこと
そのため、例えば「行政書士に依頼する前に、依頼者本人が作成して申請した許認可申請」が、「不許可」となっても、特定行政書士が「不服申立て」をすることはできません。許認可の申請をする際は、事前に行政書士に相談してもらうことが大切です。
5-2.特定行政書士になるための勉強方法は?
前述のとおり、特定行政書士になるための研修は、18時間のビデオ講義がメインとなっています。研修では、広範囲を短時間で網羅的に勉強することになります。
知識に自信がない場合は、事前に行政書士試験の過去問等を利用して、勉強しておくとよいでしょう。なお、法改正がされている場合もあるため、最新の過去問以外を使用する場合は要注意です。また、「特定行政書士法定研修」の講義科目の中で、特に「要件事実・事実認定」については、学ぶ機会が少なく、苦手としている人が非常に多い分野です。
「特定行政書士」として活躍するためには必須の知識である一方で、学習に時間がかかる分野でもあるため、事前に予習しておくことをおすすめします。
伊藤塾では、「特定行政書士考査対策」に必要な「行政法」全般はもちろん、手薄になりがちな「要件事実」についても分かりやすく学べる「行政書士実務講座」を用意しています。「特定行政書士考査対策」はもちろん、行政書士としての実務に必要な知識とスキル、独立・開業に向けたノウハウについても学べるので、興味がある方は、ぜひ体験講義を視聴してみてください。
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5-3.特定行政書士になるオススメのタイミングは?
本気で特定行政書士を目指すのであれば、以下のような理由から、「行政書士試験」合格後、なるべく早めに研修を受講するのがおすすめです。
◉行政書士試験で学んだ知識が活かせる
◉時間が経つほど、法改正による学び直しが多くなる
◉行政書士の仕事が軌道にのると、研修の受講に充てる時間が取り辛くなる
特定行政書士になるための資格として、経験年数は求められていません。特定行政書士を目指す場合は、1年目でも積極的に研修の受講を検討してみましょう。
5-4.特定行政書士になるための難易度は?
特定行政書士になるために必要な考査の「到達基準点(合格点)」は、例年およそ6割程度だとされています。
参考:日本日本行政書士会連合会 令和5年度特定行政書士法定研修 募集要項 〈出題範囲及び到達基準点について〉
一方で、合格率については、毎年の公表はされていないものの、例年60%程度だといわれています。
【平成 28 年度特定行政書士法定研修に係る結果】
申込者数 | 1,453名 |
受験者数 | 1,173名 |
修了者数 | 766名 |
合格率 | 65.3% |
なお、前述のとおり、行政書士試験合格から年数が経過していない受験者のほうが、考査に合格しやすい傾向があります。特に、行政書士試験に向けてしっかりと勉強し、余裕をもって合格できるレベルの知識を身につけた受験生であれば、特定行政書士になることも難しくはないでしょう。
6.まとめ
この記事では、
◉特定行政書士の概要やできること
◉特定行政書士になるための方法
◉特定行政書士のメリットやよくある質問
についてお伝えしました。
特定行政書士になるためには、まずは「行政書士試験」の合格に向けてしっかりと勉強し、確実に得点できる力を身につけることが大切です。そして、行政書士試験合格後、なるべく早めに「特定行政書士法定研修」を受講しましょう。
限られた時間の中で、効率的に勉強したい方は、伊藤塾にお任せください。
伊藤塾の行政書士合格講座は、法律を初歩からしっかり学習していくことができる講座です。
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是非、伊藤塾で一緒に頑張りましょう。

著者:伊藤塾 行政書士試験科
伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。
