行政書士は独学で合格できる?厳しい?勉強法や独学の注意点などを解説
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行政書士試験は、独学で挑戦する人も多い試験です。しかし、行政書士試験は合格率が毎年10〜13%程度と決して簡単な試験ではありません。
行政書士試験の勉強を始めようと考えている方の多くは、「行政書士試験は、独学でも合格できる試験なのか?」「効率的に勉強を進めるにはどのようにしたら良いだろう?」などと不安を感じていることでしょう。
この記事では、行政書士は独学でも合格できる試験なのか、行政書士試験の勉強法、行政書士を独学で学習する際の注意点などを解説します。行政書士試験の勉強をどのように始めたら良いかと迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
【目次】
1.行政書士は独学でも合格できる?厳しい?
1-1.行政書士試験の合格率
1-2.行政書士試験の合格に必要な勉強時間
2.独学 or 受験指導校?それぞれのメリット・デメリット
2-1.独学で勉強するメリット・デメリット
2-2.受験指導校を利用するメリット・デメリット
3.行政書士試験の勉強法
3-1.基本事項をひと通り理解する
3-2.インプットとアウトプットを反復する
3-3.過去問・模試の演習を繰り返す
3-4.法改正など最新情報を確認する
4.行政書士を独学で学習する際の注意点
4-1.勉強時間を多く確保する
4-2.合格までのスケジュールを立てる
4-3.最新のテキストを使用する
4-4.受験指導校の利用も検討する
5.まとめ
1.行政書士は独学でも合格できる?厳しい?
行政書士試験は、独学で合格している人も少なくはない試験です。しかし、独学で合格している人は、予備試験や司法書士試験の学習経験のある方が多い印象です。行政書士試験以外に法律の学習をしていない人が独学で合格するには、ハードルの高い試験と言えるでしょう。
ここでは、行政書士試験の合格率と合格に必要な勉強時間から、行政書士試験は独学で合格できる試験なのかを解説します。
1-1.行政書士試験の合格率
行政書士試験の直近5年間の合格率は、次のとおりです。
◉令和5年度 13.98%
◉令和4年度 12.13%
◉令和3年度 11.18%
◉令和2年度 10.72%
◉令和元年度 11.48%
参照:直近10年間における行政書士試験結果の推移|行政書士試験研究センター
行政書士試験の合格率は、例年大きな変動はなく10%〜13%程度で推移しています。他の法律系資格と比較すると、予備試験や司法書士試験よりは高い合格率となっていますが、宅建士試験よりは低い合格率となっており、難易度の高い試験と言うことができます。
※行政書士試験の合格率や難易度については、こちらの記事も併せてご覧ください。
→行政書士試験の合格率はどのくらい?合格率が低い理由や推移についても解説
→行政書士試験の難易度ランキングや偏差値は?合格するとすごいと言われる理由も解説
1-2.行政書士試験の合格に必要な勉強時間
行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に600時間〜1000時間程度と言われています。この勉強時間は、あくまでも目安となるもので、法律学習経験の有無や、受験指導校を利用するか独学で対策をするかなどによって大きく変動する可能性があります。
法学部出身者や他の法律系資格の学習で法律知識の素養がある人の場合、ほとんど対策せずに合格する人もいます。一方、独学の場合には法律学習のコツを掴むまでに時間がかかり、1000時間以上かかってしまうケースもあるでしょう。
※行政書士試験の合格に必要な勉強時間については、こちらの記事も参考にしてみてください。
→行政書士試験合格に必要な勉強時間とは?目安や平均・最短合格のポイントについて解説
2.独学 or 受験指導校?それぞれのメリット・デメリット
ここでは、行政書士試験の学習を独学で進めるのか、受験指導校を利用するのか迷っている方に向けて、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
2-1.独学で勉強するメリット・デメリット
独学で勉強するメリットとしては、次のものが挙げられます。
◉自分のペースで勉強できる
◉費用を抑えられる
独学で試験対策を進める場合、自分の理解度や確保できる勉強時間に合わせて勉強を進められます。
ただし、受験指導校を利用する場合であっても、通信講座であればある程度は自分のペースに合わせて勉強を進めることができるため、独学だけのメリットとは言いきれません。
独学の最大のメリットは費用を抑えられることでしょう。独学の場合にかかる費用は、テキスト・六法の購入費用と受験費用だけです。テキスト数冊と六法で2万円程度、受験費用1万円程度の約3万円あれば受験することができます。
一方、独学で勉強するデメリットとしては、次のものが挙げられます。
◉テキストだけでは理解が難しい
◉質問できない
◉スケジュールを組むのが難しい
全くの初学者が法律の学習を始める場合、テキストを読むだけでは理解できないことが数多くあります。
しかし、独学の場合、理解できない部分を誰かに質問することができず、わからないままになってしまったり、誤った理解を定着させてしまったりする可能性があります。
また、自分のペースで勉強を進められることは逆に落とし穴ともなり得ます。試験から逆算してスケジュールを組まなければ、試験範囲の学習が終わる前に試験を迎えてしまう可能性もあるからです。
2-2.受験指導校を利用するメリット・デメリット
受験指導校を利用するメリットとしては、次のものが挙げられます。
◉効率的に学習を進められる
◉いつでも質問できる
◉スケジューリングがしやすい
受験指導校は、各校が実績に基づいて、効率的に学習を進めるためのカリキュラムを提供しています。
講義を聴いても理解ができない箇所については、質問できる環境も整えられているため安心して学習を進めることができます。カリキュラムに従って学習を進めれば、自分でスケジューリングをする必要もありません。
一方、受験指導校を利用するデメリットとしては、次のものが挙げられます。
◉費用がかかる
◉相性が合わない可能性がある
受験指導校を利用するデメリットは費用がかかることです。大手受験指導校の場合、入門から応用までをカバーする通信講座を受講すると、10万円〜20万円程度はかかります。
また、受験指導校にはそれぞれ特色があるため、相性が合わない場合もあるかもしれません。受験指導校を選ぶ際には、自分と講師の相性が合っているのか、体験受講をするなどして確かめるようにするとよいでしょう。
3.行政書士試験の勉強法
行政書士試験の勉強を進める際は、次の流れで進めると効率的に勉強を進めることができます。
1.基本事項をひと通り理解する
2.インプットとアウトプットを反復する
3.過去問・模試の演習を繰り返す
4.法改正など最新情報を確認する
以下、ひとつひとつの内容について詳しく解説します。
3-1.基本事項をひと通り理解する
行政書士試験の勉強で何よりも重要なのは、基本事項を確実に理解することです。行政書士試験は、法令科目5科目、基礎知識4科目と試験範囲が広く、基本事項をひと通り押さえるだけでも時間がかかります。
勉強の初期段階では、応用部分の理解に不十分な点があっても、テキスト・教材を最後まで進めて試験範囲の基本事項をひと通り理解するようにしてください。
試験範囲にひと通り目を通すことで、試験の全体像を把握できるので以後の勉強を効率的に進めることができるようになります。
3-2.インプットとアウトプットを反復する
試験範囲の基本事項をひと通り理解したとしても、それを試験で使える知識にするには、インプットとアウトプットを繰り返して知識を定着させる必要があります。
試験の範囲を区切りながらテキストと問題集を反復することで、テキストで学んだことがどのように出題されるのかを理解するとともに、知識をひとつひとつ確実に定着させることができます。
3-3.過去問・模試の演習を繰り返す
勉強の仕上げ段階では、過去問や模試の演習を繰り返して、合格レベルの点数を取るために足りない部分を補完していくようにしましょう。
過去問や模試の演習で苦手分野が発覚した場合には、テキストや問題集に戻って再びインプットとアウトプットを反復することも重要です。
普段は独学で勉強している人でも、直前の模試はできる限り受けることをおすすめします。自宅で過去問や問題集を解いていても、本番のシミュレーションとしては不十分な点も多いです。
本番と同じ環境で模試を受けることで、本番のシミュレーションをしておけば、本番でも落ち着いて試験に取り組むことができるでしょう。
3-4.法改正など最新情報を確認する
行政書士試験では直近での法改正や制度の変更など、最新の問題が出題されることも多いです。こうした問題に対応するためには、最新情報を確認しておく必要があります。
行政書士の独学用テキストは、毎年改訂版が発売されているものも多いです。行政書士の試験勉強を1年以上続けている人は、最新版のテキストを確認して、最新情報も確認しておくようにしましょう。
4.行政書士を独学で学習する際の注意点
ここでは、行政書士試験を独学で進める際の注意点を4つ解説します。
1.勉強時間を多く確保する
2.合格までのスケジュールを立てる
3.最新のテキストを使用する
4.受験指導校の利用も検討する
以下、それぞれの内容について詳しく解説します。
4-1.勉強時間を多く確保する
行政書士試験に独学で挑戦する場合には、受験指導校を利用するよりも勉強時間を多く確保する必要があります。
特に今まで法律の勉強をしたことがない人の場合、効率的に学習を進めるのは難しく、最初のうちは1ページの内容を理解するのに数時間かかってしまうこともあるかもしれません。
行政書士試験の合格に必要な勉強時間の目安は600時間から1000時間ですが、独学の場合には1000時間を超える勉強時間が必要となることも覚悟しておくべきでしょう。
4-2.合格までのスケジュールを立てる
当然のことながら、独学で学習を進めるにはスケジュールも自分で立てる必要があります。
試験日までに広い試験範囲の学習を終わらせるためには、試験日から逆算してスケジュールを立てることをおすすめします。試験勉強を始める前に、先ほどの項目で解説した学習の段階ごとに、どのくらの時間がかかるかを考えて、試験日までのスケジュールを立てるようにしましょう。
4-3.最新のテキストを使用する
行政書士の試験科目となる法律科目では、頻繁に法改正がおこなわれています。また、基礎知識科目の問題の中には、最新の時事問題が出題されることも多いです。
独学で学習を進めている場合、最新の法改正や時事問題に触れる機会がないまま試験を迎えてしまう可能性もあります。最新の情報を知るために、テキストは常に最新版のものを利用するようにしてください。
4-4.受験指導校の利用も検討する
独学での学習が思うように進まない場合や、壁にぶつかった場合には受験指導校の利用も検討してみてください。
たしかに、受験指導校を利用するには費用がかかります。しかし、独学で理解できないままムダな時間を過ごすくらいならば、受験指導校を利用して効率的に学習を進める方が費用対効果が高いケースも多いです。
独学が難しいと感じたら、無理に独学にこだわらずに、無料体験からでも受験指導校の利用を検討してみることをおすすめします。
5.まとめ
行政書士試験は、独学でも合格を目指せる試験です。特に、法学部出身者の方や他の法律系資格を目指している方は、独学でも効率的に学習を進められる可能性があります。
ただし、法律の学習は単純な暗記作業ではないため、独学ではどうしても理解が難しい場合もあるでしょう。独学での学習に限界を感じたら、受験指導校の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
※行政書士試験合格体験記より
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著者:伊藤塾 行政書士試験科
伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。
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