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行政書士試験合格後に登録は必須?登録しないとどうなる?登録料や事務所についても解説

2025年03月24日

 
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行政書士として仕事をするには、行政書士登録をする必要がありますが、登録をしないとどうなるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。

行政書士の資格を活かして一般企業で働く場合、行政書士登録をせずとも転職活動を行うことができるため、登録すべきかどうか悩むことも多いと思います。そこで、この記事では、行政書士として登録することのメリットやデメリット、登録をしないとどうなるのかについて詳しく解説していきます。

登録するつもりがないのに行政書士資格を取得するメリットについても解説していますので、行政書士試験にチャレンジすべきか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

【目次】
1.行政書士試験に合格しても登録は必須ではない
2.行政書士登録をしないことによる3つのデメリット
 2-1.行政書士として活動できない
 2-2.法改正や実務上の重要な情報にアクセスしづらい
 2-3.士業間での交流ができない
3.行政書士登録をしないことによるメリット
 3-1.登録料や年会費がかからない
 3-2.登録の手間を省ける
 3-3.自分の好きなタイミングで登録できる
4.登録しないのに行政書士資格を取得するメリットは?
 4-1.法的知識を身につけることができる
 4-2.就職活動や転職活動を優位に進められる
 4-3.いざとなったら独立開業できる
5.行政書士の登録でよくある質問(Q&A)
 5-1.登録だけして業務をしないことはできる? 
 5-2.事務所なしで登録することはできる?
 5-3.行政書士登録を拒まれることはある?
6.まとめ

 

1.行政書士試験に合格しても登録は必須ではない

行政書士試験に合格しても、行政書士登録は必須ではありません。行政書士登録をしなければ、行政書士として仕事をすることはできません。しかし、登録は任意なので、行政書士試験に合格しても、行政書士として業務を行なう予定がないのであれば、すぐに登録を行なう必要はありません。

実際、行政書士試験に合格したとしても、半数以上がすぐに登録しない選択をしています。たとえば令和2年度(2020年)の行政書士試験の合格者数は4,470人ですが、翌年の令和3年度(2021年度)における、行政書士試験合格者による新規登録者数は1,863人となっています。登録率は41.68%となっており、半数以上が行政書士試験に合格しても登録していないことがわかります。

参照1:最近10年間における行政書士試験結果の推移|一般財団法人 行政書士試験研究センター
参照2:行政書士の登録状況(令和3年度)|総務省

 

2.行政書士登録をしないことによる3つのデメリット

行政書士登録をしないことによるおもなデメリットは、次の3つです。

行政書士登録をしないことによる3つのデメリット
◉行政書士として活動できない
◉法改正や実務上の重要な情報にアクセスしづらい
◉士業間での交流ができない

行政書士として登録をすべきかどうかを判断するためにも、行政書士登録をしないことによるデメリットをしっかり把握しておきましょう。

 

2-1.行政書士として活動できない

行政書士試験に合格しても、登録をしない限り、行政書士として活動することはできません。行政書士資格を有する人が行政書士として仕事をするためには、日本行政書士会連合会が備える行政書士名簿に登録する必要があります。

資格取得者が登録していない場合、行政書士として仕事ができないのはもちろん、行政書士と名乗ることも禁じられます。そのため、名刺に「行政書士」と肩書を付す事はできません。

また、転職する際の履歴書には、後々トラブルになるのを防ぐためにも、「行政書士試験合格(未登録)」などのように、登録をしていない事を明記しておくのが無難です。未登録の状態で行政書士として仕事をしたり、行政書士を名乗ったりした場合には、行政書士法違反となり罰則の対象となります。

 

2-2.法改正や実務上の重要な情報にアクセスしづらい

行政書士登録をしていない場合には、法改正に関する情報や、実務上の注意点・変更点などに関する情報を得る事が難しくなります。

行政書士登録をしている場合、実務上重要な情報については、行政書士会から情報提供を受ける事ができます。しかし、未登録の場合には、行政書士会からの情報や周りの同業者からの情報提供を受けられないため、タイムリーに情報を得る事が難しくなります。

 

2-3.士業間での交流ができない

行政書士登録をしていない場合、ほかの士業と交流を持つ機会が少ないため、人脈を広げる事が難しくなります。

行政書士として仕事をする場合、仕事を獲得したり事業を拡大する上で、他士業との協力が不可欠です。近隣の同業者と交流を持ったり、士業交流会に参加する機会が持てないのは、行政書士として仕事をしていく上ではマイナスです。

もし、将来的に行政書士として独立開業を目指しているのであれば、早いうちから他士業との交流を深め、人脈を広げることを意識するようにしましょう。

 

3.行政書士登録をしないことによるメリット

行政書士登録をしないことは、デメリットだけではなくメリットもあります。

行政書士登録をしないことによる3つのメリット
◉登録料や年会費がかからない
◉登録の手間を省ける
◉自分の好きなタイミングで登録できる

ここからは、行政書士登録をしないメリットについて詳しく解説していきます。

 

3-1.登録料や年会費がかからない

行政書士登録する際には、登録手数料や入会金、年会費等がかかりますが、登録しないのであれば、これらの費用は一切かかりません。登録する際にかかる具体的な費用は、所属する都道府県の行政書士会によって異なりますが、たとえば東京都行政書士会では以下の費用がかかります。

【東京都行政書士会の登録諸費用】

登録手数料2万5,000円
入会金20万円
東京都行政書士会会費3ヵ月分1万8,000円
東京行政書士政治連盟会費3ヵ月分3,000円
登録免許税 (収入印紙)3万円

登録するだけでこれだけの費用がかかるため、当面行政書士としては仕事をする予定がない人にとっては、登録するデメリットが大きいと言えます。

 

3-2.登録の手間を省ける

行政書士として登録するためには、いくつかの手順を踏む必要があるため、登録しないのであれば、登録に必要な手間を省く事ができます。

行政書士名簿への登録を受けるためには、行政書士事務所を設置する各都道府県の行政書士会を通じて、必要書類を提出する必要があります。新規登録のおおまかな流れは、次の通りです。

【行政書士登録の流れ】

各都道府県の行政書士会に必要書類を提出する
⬇︎
書類精査及び現地調査(事務所調査)
※現地調査の代わりに事務所の写真を提出するケースもある
⬇︎
日本行政書士連合会(日業連)で審査
⬇︎
各都道府県の行政書士会から登録通知が届く

行政書士登録をするには、行政書士としての業務を滞りなく遂行できるような事務所を設置する必要があります。なお、事務所として自宅を登録することも可能ですが、各都道府県の行政書士会ごとに設置基準が定められていますので確認が必要です。
※参考:東京都行政書士会行政書士事務所設置指導基準

※後述する下記についても、ぜひ参考にしてください。

5-2.事務所なしで登録することはできる?

 

3-3.自分の好きなタイミングで登録できる

行政書士登録に期限はありません。そのため、行政書士試験に合格後すぐに登録をしなくても、自分の好きなタイミングで登録をする事ができます。たとえば、若いうちに行政書士試験に合格しておけば、定年退職後に行政書士登録をして、独立開業する事も可能になります。

行政書士として登録するには、手間もお金もかかるため、時間のあるうちにとりあえず資格だけ取得しておき、独立開業に向けて準備する期間を設けても良いでしょう。

 

4.登録しないのに行政書士資格を取得するメリットは?

たとえすぐに行政書士登録をしなかったとしても、時間のあるうちに行政書士資格を取得することは大きなメリットがあります。登録しないのに行政書士資格を取得するメリットは、次の通りです。

登録しないのに行政書士資格を取得する3つのメリット
◉法的知識を身につけることができる
◉就職活動や転職活動を優位に進められる
◉いざとなったら独立開業できる

以下、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

 

4-1.法的知識を身につけることができる

行政書士試験は法律の試験です。行政書士試験に合格するために勉強することで、法的な知識や考え方を身につける事ができます。

社会生活を営む上で、法律の知識は必要不可欠です。行政書士試験では、民法や商法などの法律科目が主な試験科目なので、社会生活において役立つ基本的な法的知識を身につける事ができます。また、専門的な知識を駆使するための法的な考え方を身につける事で、一般企業に就職したとしても法的な観点で物事に対処できるようになります。

 

4-2.就職活動や転職活動を優位に進められる

行政書士資格を持っていれば、就職活動や転職活動を優位に進める事ができます。行政書士は、法律系の国家資格です。資格を持っていれば、それだけで法的知識がある事を客観的に証明する事ができます。

また、行政書士試験に合格するだけの努力ができる人間である事もアピールできます。

もちろん、行政書士資格を持っているだけで必ずしも転職活動が上手くいくわけではありません。しかし、今までの職歴も含めて行政書士資格を持っている事をうまくアピールできれば、転職活動をスムーズにかつ有利に進める事ができるでしょう。

 

4-3.いざとなったら独立開業できる

いざとなったときに行政書士として独立開業できるのも、行政書士資格を早いうちから取得しておくことのメリットと言えます。

行政書士は、未経験でも独立開業できる数少ない資格です。もし、行政書士資格を活かして一般企業に勤めたものの、何らかの理由で会社を退職せざるを得なくなった場合には、これまでの社会経験を活かして独立するのも良いでしょう。

行政書士事務所の事業が上手く軌道に乗れば、一般の会社員以上の給料を稼げるだけでなく、年収1,000万円を目指す事も夢ではありません。

※行政書士の独立開業については、こちらの記事をご覧下さい。
→ 行政書士が独立開業するには?年収・資金・成功のポイントを解説!

 

5.行政書士の登録でよくある質問(Q&A)

5-1.登録だけして業務をしないことはできる? 

他の士業との交流機会を持ったり、いざという時にすぐに業務ができるように、開業はせずに、登録だけしておく事もできないわけではありません。たしかに、登録だけしておけば、士業間での交流を深める交流会に参加できたり、実務上の注意点や法改正に関する情報をいち早くキャッチできます。

しかし、事務所設置にかかる手間や費用、登録の際に必要な登録料を考えるのであれば、行政書士として仕事をしないのに登録だけするのはおすすめできません。

また、行政書士として登録をするのであれば、正当な理由なく依頼を断る事はできません。そのため、登録だけして仕事をしないというのは、厳密な意味では認められていない事になります。なお、公務員には兼業禁止規定があるため、働きながら行政書士登録をすることはそもそも認められていない事に注意が必要です。

 

5-2.事務所なしで登録することはできる?

行政書士として業務を行なうためには、事務所を設ける必要があるため(行政書士法8条)、事務所なしで登録する事は出来ません。なお、行政書士の登録を受ける際の事務所の要件は、次の通りです。

【行政書士事務所としての適格性が認められる条件】

◉事務所の使用権原が適正であること
◉秘密が保持できる環境であること
◉事務所の設備が整っていること

行政書士登録をする際の事務所調査で、これら3つの要件を満たしていないと判断された場合、行政書士登録が認められない可能性もあるため、注意が必要です。
(各都道府県の行政書士会ごとに設置基準が定められていますので確認してみてください。)

 

5-3.行政書士登録を拒まれることはある?

基本的に行政書士登録を拒否される事はありませんが、例外として、次の事由に該当する場合には、登録を拒否される可能性があります。

【行政書士登録が拒まれるケース】

行政書士法2条の2に規定される
欠格事由に該当する場合
未成年者(1号)や自己破産者(2号)等
行政書士法6条の2第2項各号に
規定する事由に該当する場合
心身の故障により行政書士の業務を行う
ことができない者(1号)
行政書士の信用又は品位を害するおそれ
がある者その他行政書士の職責に照らし
行政書士としての適格性を欠く者(2号)

参照:行政書士法|e-Gov法令検索

 

6.まとめ

行政書士試験に合格しても、行政書士登録は必須ではありません。

登録期限もないので、すぐに行政書士として働く事を考えていないのであれば、手間や金銭面を考えて登録をしない選択を取るのも良いでしょう。

行政書士資格を持っている事で転職活動が上手くいったり、資格を活かして働く事もできるため、早いうちから行政書士試験にチャレンジする事は非常に有用です。

もし、行政書士試験受験を検討しているのであれば、受験指導校の質の高い講義を有効活用し、効率的に勉強する事をおすすめします。

伊藤塾では、開塾以来、単に合格を目指すだけではなく、“合格後を考える” を理念に、「明日の行政書士講座」など様々な取り組みを行っています。

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→ 伊藤塾の合格後をイメージする様々な取り組み

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伊藤塾行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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