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行政書士の独占業務一覧!業務範囲やできない事について解説

2025年03月24日

 
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行政手続を専門とする行政書士の主な業務は、官公署に提出する書類の作成業務ですが、数ある書類作成業務の中でも、高い専門性を持つ行政書士にしかできない独占業務がいくつか存在します。

行政書士の独占業務を無資格者が行なうと、行政書士法違反で罰則を受ける可能性があるため、行政書士の業務範囲を正確に把握しておく必要があります。そこで、この記事では、行政書士の独占業務について、行政書士ができること及びできないことを詳しく解説していきます。

行政書士に興味があるものの、どんな仕事を行なっているのかよくわからない方にも参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧下さい。

【目次】
1.行政書士の独占業務とは?
2.行政書士の独占業務一覧
 2-1.「官公署に提出する書類」の作成
 2-2.「権利義務に関する書類」の作成
 2-3.「事実証明に関する書類」の作成
3.独占業務以外で行政書士ができること
 3-1.弁護士の業務に含まれるもの
 3-2.司法書士の業務に含まれるもの
 3-3.税理士の業務に含まれるもの
 3-4.その他|補助金の申請等
4.行政書士ができない書類作成業務
 4-1.弁護士の独占業務
 4-2.司法書士の独占業務
 4-3.税理士の独占業務
 4-4.その他|助成金の申請等
5.法改正や条例の制定で広がる業務範囲
6.独占業務に違反した場合の罰則
 6-1.行政書士の独占業務を無資格者が有償で行なった場合
 6-2.行政書士が他の士業の独占業務を行なった場合
7.コンサルティング業務と独占業務違反
8.まとめ

 

1.行政書士の独占業務とは?

独占業務とは、資格を持つ人だけが独占的に携われる業務のことをいいます。

行政書士の場合は、報酬を得る業務(有償業務)のみが独占となる「有償業務独占資格」であるため、無償であれば、無資格者も行政書士の業務を行うことができます。

もし、無資格者が有償で業務を行った場合、法律違反となり罰則が科せられます。たとえ行政書士試験に合格しても、登録をしなければ行政書士としての活動はできません。無登録の合格者が有償で行政書士業務を行った場合、罰則対象となってしまいますので、ご注意ください。

なお、独占業務を有する資格は、行政書士だけでなく、弁護士、司法書士、社会保険労務士、宅建士など、複数の資格が該当します。

 

2.行政書士の独占業務一覧

行政書士の独占業務を行なう上で、まずは行政書士法に規定されている行政書士の業務と独占業務に関する規定を確認してみましょう。

(業務)
第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
引用:行政書士法第1条の2|e-Gov法令検索

 

(業務の制限)
第19条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
引用:行政書士法第19条|e-Gov法令検索

行政書士が行える書類作成業務は多岐に渡りますが、行政書士法にも規定されているように、主な独占業務は以下の3つになります。

行政書士の3つの独占業務
◉「官公署に提出する書類」の作成
◉「権利義務に関する書類」の作成
◉「事実証明に関する書類」の作成

ここからは、行政書士の3つの独占業務について詳しく解説していきます。

 

2-1.「官公署に提出する書類」の作成

行政書士の独占業務の1つ目は、「官公署に提出する書類」の作成業務です。ここでいう「官公署」とは、各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等を指します。

行政書士は、これらの行政機関に提出する公的書類の作成を行なったり、手続きの代行、申請書類の相談等を主な業務としています。

官公署に提出する書類の多くは許認可等に関する申請書類ですが、その申請書類の数は現在1万種類を超えるとも言われています。官公署に提出する書類の代表的なものは、次の通りです。

【「官公署に提出する書類」の作成業務】

不動産に関する申請書類・建設業許可申請
・宅地建物取引業免許許可申請
・農地転用許可申請
許認可等に関する申請書類・飲食店営業許可申請
・酒類販売業免許申請
・道路使用許可申請
・旅館営業許可申請
・個人タクシー免許申請
・風俗営業許可申請書
・旅行業登録申請書
法人の設立に関する申請書類・NPO法人設立認証申請
・医療法人設立許可申請
・宗教法人設立認証申請
その他・入札資格審査申請書
・在留資格申請書
・自動車登録申請書
・車庫証明書

各申請書類は専門的な内容のものが多く、法律知識や申請経験がない個人で対応しようとする場合、対応に時間がかかってしまうおそれがあります。特に、許認可等に関する申請については、申請が認められる要件が厳しく、準備や修正手続きだけで数年かかってしまうケースも珍しくありません。

専門的知識を有している行政書士であれば、これらの書類作成業務についても、正確かつ迅速に対応することできます。

 

2-2.「権利義務に関する書類」の作成

行政書士の独占業務の2つ目は、「権利義務に関する書類」の作成業務です。

権利義務に関する書類とは、特定の権利を発生・存続・変更・消滅させる書類のことです。  具体的には、次に挙げるような書類を指します。

【「権利義務に関する書類」の作成業務】

相続関係・遺産分割協議書
・遺言書
・相続分譲渡証書
・特別受益証明書
契約書関係・各種契約書(贈与、売買、交換、
消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇
傭、請負、委任、寄託、組合、終身
定期金、和解)
・念書
・示談書
・協議書
・内容証明
・告訴状
・告発状
行政手続き関係・嘆願書
・請願書
・行政不服申立書
※特定行政書士に限る
・上申書
・陳情書
その他・始末書
・定款

和解書や示談書などの各種契約書類は、特定の権利に対する意思表示を書面に残しておくことで、後々トラブルになるのを防ぐことを目的として取り交わされます。

中には、作成した書面を法的に有効な書面にするために、公正証書として残しておくケースもあります。そのため、行政書士としては、依頼者がどういう目的で書面作成を希望しているかを、しっかり読み取る必要があります。

 

2-3.「事実証明に関する書類」の作成

行政書士の独占業務の3つ目は、「事実証明に関する書類」の作成業務です。

事実証明に関する書類とは、「社会生活に交渉を有する事項を証明するに足る文書」のことを指します。具体的には、次に挙げるような書類を指します

【「事実証明に関する書類」の作成業務】

会社に関する書類・各種議事録(株主総会議
事録、取締役会議事録等
会計に関する書類・会計帳簿
・貸借対照表
・損益計算書等の財務諸表
・決算書類
調査に関する書類・実地調査に基づく各種図
面類(位置図、案内図、現
況測量図等)
・交通事故調査書
・社員履歴調書
・会社業歴書
・交通事故調査報告書
その他・資格証明
・自動車登録事項証明書

事実証明に関する書類は、クライアントである企業と顧問契約を交わすことで、継続して依頼を受けるケースも少なくありません。

 

3.独占業務以外で行政書士ができること

行政書士は、独占業務以外にも様々な業務を行なうことができます。ここからは、他の士業の業務に含まれるもので行政書士が対応できる業務の具体例を確認していきます。

 

3-1.弁護士の業務に含まれるもの

弁護士の業務に含まれるもので、行政書士が行える業務には、次のようなものが挙げられます。

【弁護士の業務に含まれるもの】

・当事者間で争いのない契約書、協議書
 の作成やその相談業務
・内容証明の作成
・官公署への書類提出の代行 など

なお、行政書士は官公署に提出する書類や、私人間で取り交わす契約書等の書面作成業務が主な業務範囲となります。そのため、相手方と交渉したり、裁判を行うなど直接紛争の解決を行う業務はできないことに、注意が必要です。

 

3-2.司法書士の業務に含まれるもの

司法書士の業務に含まれるもので、行政書士が行える業務には、次のようなものが挙げられます。

【司法書士の業務に含まれるもの】

・補助金の申請書に関する相談業務
・融資事業計画書の作成
・帰化許可申請書の作成
・遺言書(公正証書遺言書や自筆証書遺言書)の作成
・遺産分割協議書の作成
・定款の作成及び公証人役場での認証手続き など

なお、相続に関する業務と会社設立に関する業務については、司法書士の独占業務になるものが存在するため、行政書士として対応できる分野をしっかり把握してから業務を行なう必要があります。

 

3-3.税理士の業務に含まれるもの

税理士の業務に含まれるもので、行政書士が行える業務には、次のようなものが挙げられます。

【税理士の業務に含まれるもの】

・補助金の申請書に関する相談業務
・融資事業計画書の作成
・税務申告に必要な一部の書類作成

自動車税・軽自動車税など、税務申告に必要な一部の書類については、行政書士が書類を作成できるものもあります。ただし、行政書士は税務関係の専門家ではないので、税務申告そのものを行えるわけではないことに、注意が必要です。

 

3-4.その他|補助金の申請等

補助金の申請業務を代行して行なう業務は、行政書士の独占業務に該当します。そのため、他の士業が代わりに行なうことはできません。ただし、補助金申請に関する相談業務やサポート業務、書類提出の代行業務であれば、行政書士の独占業務に該当しないため、他の士業でも業務を行なうことができます。

 

4.行政書士ができない書類作成業務

行政書士は、書面作成のスペシャリストですが、他の士業の独占業務となっているものについては、たとえ行政書士資格を有していても行なうことはできません。行政書士ができない書類作成業務としては、次のものが挙げられます。

 

4-1.弁護士の独占業務

行政書士が行えない業務のうち、弁護士の独占業務に該当するものは次の通りです。

・当事者間で争いがある場合の契約書や
 協議書の作成及び相談業務
・裁判手続きに関する書面
・交渉や裁判を行ない当事者間の争いを
 直接解決すること

例えば、相続に関して当事者間で特に争いのない場合であれば、行政書士が遺産分割協議書を作成することができます。しかし、相続について当事者間に争いがあり、当事者では話がまとまらない場合に、行政書士が仲介して直接話し合いをまとめる行為は、弁護士の独占業務違反となります。

特に、依頼者側が独占業務について把握しているわけではないので、交渉を依頼された場合には、弁護士への相談を促すようにしてください。

 

4-2.司法書士の独占業務

行政書士が行えない業務のうち、司法書士の独占業務に該当するものは次の通りです。

・登記申請に関する業務

登記申請に関する業務は司法書士の独占業務に当たるため、行政書士が対応することはできません。例えば、行政書士は会社設立の際に定款を作成できますが、会社設立の登記申請については、行政書士では対応することができません。

 

4-3.税理士の独占業務

行政書士が行えない業務のうち、税理士の独占業務に該当するものは次の通りです。

・税務申告業務

税務申告に関する業務は税理士の独占業務です。会計帳簿の作成など、税務申告に必要な一部の書類を作成することはできますが、税理士の独占業務に該当する税務申告については関わることができません。

 

4-4.その他|助成金の申請等

助成金にも様々な種類のものがありますが、厚生労働省が提供している助成金については社会保険労務士の独占業務とされているため、行政書士が行なうことはできません。

ただし、各自治体独自の助成金や奨励金など、厚生労働省以外の機関が提供する助成金であれば、行政書士も申請を代行することができます。

 

5.法改正や条例の制定で広がる業務範囲

行政書士が作成できる書類の数は多岐に渡り、独占業務に該当するものも多いですが、法改正や新たに条例が制定されることで、行政書士の対応できる範囲が広がる可能性があります。

行政書士が対応できる範囲が広がれば、日常生活の様々な場面で困っている方々の手助けができるようになります。専門家として正確かつスピーディーに対応するためには、新しい申請書類についてしっかり理解をしておくことが重要になります。

 

6.独占業務に違反した場合の罰則

独占業務に違反して業務を行なった場合、各法律に規定された罰則が科されることになります。ここでは、「行政書士の独占業務を無資格者が有償で行なった場合」と「行政書士が他の士業の独占業務を行なった場合」の2つに分けて独占業務違反の罰則を確認していきます。

 

6-1.行政書士の独占業務を無資格者が有償で行なった場合

行政書士資格を有していない人が、行政書士の独占業務を有償で行なった場合、行政書士法違反となり、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科せられます。
参照:行政書士法第21条2項|e-Gov法令検索

なお、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格には、同時に行政書士資格が付随しますので、これらの資格取得者が行政書士の登録をした場合、行政書士の独占業務を有償で行うことができます。

 

6-2.行政書士が他の士業の独占業務を行なった場合

行政書士が他の士業の独占業務を行なった場合、それぞれの法律に規定された独占業務違反となり、罰せられることになります。例えば、司法書士の独占業務を行政書士が行なった場合には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」を科せられます。
参照:司法書士法第78条1項|e-Gov法令検索

また、税理士の独占業務を行政書士が行なった場合には、「3年以下の懲役又は200万円以下の罰金」を科せられます。
参照:税理士法第59条第1項4号|e-Gov法令検索

他にも、弁護士の独占業務を行なった場合には、非弁行為として「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」を科せられるなど、様々な罰則が規定されています。
参照:弁護士法第77条第3号|e-Gov法令検索

悪質な場合には懲戒処分となる場合もあるので、誤って他士業の独占業務を行わないよう細心の注意を払う必要があるでしょう。

 

7.コンサルティング業務と独占業務違反

近年では、資格を活かして企業のコンサルティング業務を行なう行政書士も増えてきましたが、コンサルティング業務は様々な領域の業務を取り扱うことになるため、他の士業の独占業務違反にならないよう、注意する必要があります。例えば、会社の税務申告は税理士でなければできませんし、社会保険や労働保険に関する申請書類の作成は、社会保険労務士の独占業務となっています。

経営コンサルティング業務は、様々な業務を行なうことができるため、他の行政書士と差別化を図りたい場合には積極的に行いたい業務の一つです。
しかし、コンサルティング業務として対応できる幅が広い分、他士業の独占業務に抵触する可能性も高くなるため、注意して業務を行なう必要があります。

 

8.まとめ

行政書士の独占業務は多岐に渡りますが、大きく分けると

①「官公署に提出する書類」の作成
②「権利義務に関する書類」の作成
③「事実証明に関する書類」の作成

の3つの業務に分けることができます。

独占業務以外でも、他の士業と同じように対応できる業務も多数存在しますが、他士業の独占業務となっているものも存在するため、行政書士としてできる業務の範囲をしっかり把握しておく必要があります。

特に、行政書士の資格を活かして経営コンサルティングを行なう場合には、他の士業の独占業務に抵触する可能性が高くなるため、最新の注意を払って業務を行なうようにしましょう

行政書士としてさらなる活躍を目指す方には、ぜひ宅建士や司法書士などの資格にも挑戦し、業務の幅を拡げていっていただきたいと思います。

伊藤塾では、開塾以来、単に合格を目指すだけではなく、“合格後を考える” を理念に、「明日の行政書士講座」など様々な取り組みを行っています。

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著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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