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司法書士・行政書士・宅建士のトリプルライセンスが最強!難易度も解説

2024年07月26日

 
合格講座


 

「司法書士、行政書士、宅建士のトリプルライセンスを取得するメリットは?」
「トリプルライセンスを取得すると、具体的にどんなシーンで役立つの?」
「3つの試験に合格するのは難易度が高そう…」

こんな疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか?

確かに「司法書士、行政書士、*宅建士」3つの資格を、全て取得するのは簡単なことではありません。

*宅建士:宅地建物取引士の略称。(以下、「宅建士」と記載)

しかし、だからこそ希少性が高く、挑戦するメリットが大きいことも事実。

”街の法律家”と呼ばれる「司法書士」
行政手続きの専門家「行政書士」
不動産取引のスペシャリスト「宅建士」

これらを組み合わせて仕事を進めていけば、取り扱える業務の幅も一段と広がり、法律家として大きく飛躍することができます。

この記事では、司法書士、行政書士、宅建士のトリプルライセンスを目指す方に向けて、
 ◉ トリプルライセンスを取得するメリット
 ◉ 各資格の試験範囲や難易度の比較
 ◉ 実務で活躍する具体的なケース

等について詳しく解説します。

是非ご一読ください。

【目次】
1.トリプルライセンスを取得する3つのメリット
 1-1.差別化につながる
 1-2.試験効率が良い
 1-3.ワンストップサービスを提供できる
2.トリプルライセンスの難易度は?各試験を徹底比較!
 2-1.それぞれの試験範囲は?
 2-2.試験の合格率は?
 2-3.合格に必要な勉強時間は?
3.実務上のメリットは?組み合わせ別に解説
 3-1.行政書士×司法書士
 3-2.行政書士×宅建士
 3-3.司法書士×宅建士
4.【Q&A】トリプルライセンスに関するよくある質問
 4-1.どの資格から優先的に取得するべき?
 4-2.「司法書士 」「行政書士」「 宅建士」の他に相性の良い資格はある?
5.まとめ

 

1.トリプルライセンスを取得する3つのメリット

トリプルライセンスとは、「司法書士」、「行政書士」、「宅建士」など、3つの資格を保有することをいいます。

司法書士、行政書士、宅建士は、それぞれ担当する業務領域が異なりますが、いずれも法律や不動産に関する専門知識が求められる法律資格です。

これら3つの資格を併せ持つことで、様々なメリットを得ることができるでしょう。

ここでは、特に代表的なメリットを3つ解説します。
 ◉ 差別化につながる
 ◉ 試験効率が良い
 ◉ ワンストップサービスを提供できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1-1.差別化につながる

トリプルライセンスを取得する最大のメリットは、ライバルとの差別化に繋がることです。

司法書士、行政書士、宅建士のうち、1つだけの資格を持っている人は、数多く存在します。しかし、3つの資格全てを取得している人となると、その数は激減します。

3つの資格を取得するためには、長期間の勉強と努力が必要不可欠となるからです。

ただし、難易度が高いからこそ、トリプルライセンス保有者の希少性は、格段に高くなります。

多岐にわたる専門知識を保有することで、顧客からの信頼も深まるでしょう。

トリプルライセンスを取得することで、ライバルとの差別化に繋がり、他の士業とは一線を画した存在となることができます。

司法書士、行政書士、宅建士のトリプルライセンスを取得することは、法律家としてのキャリアを築いていく上で、大きなアドバンテージになるでしょう。

 

1-2.試験効率が良い

試験効率が抜群に良いことも、トリプルライセンスを取得するメリットの1つです。

司法書士、行政書士、宅建士の試験範囲には、憲法や民法、商法など共通する科目がいくつもあります。

例えば、行政書士試験で「法令等科目」の3割以上の配点を占めている「民法」は、司法書士試験、宅建士試験、いずれの試験でも配点の大きい重要科目です。

一見すると、膨大な勉強時間が必要に思えるトリプルライセンスですが、1つの資格の勉強が、他の試験にも役立つため、実は非常にコストパフォーマンスに優れているのです。

しっかりと戦略を立てて、効率的に学習を進めていけば、限られた時間の中で3つの資格を取得することも、決して難しくはありません。

 

1-3.ワンストップサービスを提供できる

クライアントに対して、ワンストップサービスを提供できるようになることも、トリプルライセンスを取得する大きなメリットです。

※ワンストップサービスとは?

1人の専門家に対する依頼のみで、必要な手続きを全て完了できるサービスのこと。


司法書士、行政書士、宅建士の3つの資格を併せ持つことで、本来、複数の専門家で連携しないと進めることができない手続きを、自分1人で完結できるようになります。

例えば、飲食店の開業に関わる手続きを行うケースで考えてみましょう。

【通常の手続きの流れ】

本来であれば、複数の有資格者が連携して、それぞれで手続きを進めていく必要があります。

宅建士・司法書士・行政書士は、それぞれ異なった独占業務を持っているからです。

しかしトリプルライセンスを取得すれば、これら一連の手続きを、自分一人で進めることができるようになります。

依頼者にとっては、複数の専門家に依頼する手間が省けるだけでなく、トータルでのコストダウンにもつながります。

専門家同士の連携不足によるトラブルも、防ぐことができるでしょう。

このようなワンストップサービスは、多忙な現代人のニーズにもマッチしているため、今後ますます需要も高まっていくと考えられます。

トリプルライセンスを取得し、ワンストップサービスを提供できる専門家になることは、大きな強みになるはずです。

 

2.トリプルライセンスの難易度は?各試験を徹底比較!

司法書士、行政書士、宅建士は、それぞれ異なった特徴を有する難関試験です。

ここでは、各試験の範囲、合格率、必要な勉強時間を比較して、各試験の難易度について解説します。

 

2-1.それぞれの試験範囲は?

まずは、それぞれの試験の試験範囲について見ていきましょう。

司法書士試験、行政書士試験、宅建士試験それぞれで出題される科目は、次の表のとおりです。

司法書士行政書士宅建士
憲法憲法権利関係(民法など)
民法行政法法令上の制限
(都市計画法、建築
基準法など)
刑法民法税その他
商法(会社法を含む)商法宅建業法
民事訴訟法基礎法学 
民事執行法行政書士の業務に
関し必要な基礎知識
 
民事保全法  
司法書士法  
供託法  
不動産登記法  
商業登記法  


各試験で、それぞれ特有の専門分野が出題される一方で、「憲法」「民法」「商法」など、重複する科目も存在していることが分かります。

問題の難易度は、試験によって異なるものの、問題に正答するための法律的な思考法は、どの試験でも共通しています。

例えば、宅建士試験で身につけた思考法を、司法書士試験や行政書士試験でも発揮することで、効率良く勉強を進めていくことができるでしょう。

 

2-2.試験の合格率は?

次に、各試験の合格率について見ていきましょう。

 司法書士
試験
行政書士
試験
宅建士
試験
令和5年度5.2%12.3%17.2%
令和4年度5.2%11.2%17.0%
令和3年度5.1%10.7%17.6%


「司法書士試験」の合格率が最も低く「5%」程度。

次いで「行政書士試験」の「11%」程度。

「宅建士試験」が、少し高く「17%」程度で推移していることが分かります。

単純に合格率だけでみると、「司法書士試験」が最も難しそうに見えますが、出題される問題の相性や、試験科目の得意不得意もあるため、一概には言えません。

どの試験も簡単な試験ではないため、計画的に勉強を進めていく必要があります。

※司法書士試験、行政書士試験、宅建士試験の合格率や難易度については、以下で詳しく解説してます。
司法書士試験の合格率はなぜ低い?2023年度の合格率や過去10年間の推移についても解説
行政書士試験の合格率はどのくらい?合格率が低い理由や推移についても解説
宅建士試験の合格率はなぜ低い?合格点や難易度をデータをもとに徹底解説!

 

2-3.合格に必要な勉強時間は?

それでは、各試験の合格に必要な勉強時間は、どの程度なのでしょうか?

一般的には、次のような勉強時間が必要だとされています。

合格までに必要な勉強時間の目安
司法書士試験2000〜3000時間
行政書士試験800〜1000時間
宅建士試験300〜500時間


ただし、合格までに必要な勉強時間は個人差が大きく、学習経験や勉強環境によって、大きく変わってきます。

特に、トリプルライセンスを狙う場合は、既に法律に関する基本的な知識が身についているため、必要な勉強時間は大幅に削減できる可能性が高くなるでしょう。

とはいえ、問題の傾向や難易度は試験毎に異なっており、各試験特有の科目も存在するため、一定の時間の確保は必要になります。

十分な勉強時間の確保が難しい場合は、受験指導校を利用する等して、さらに勉強時間を削減すると良いでしょう。

※司法書士試験、行政書士試験、宅建士試験の勉強時間については、以下の記事で詳しく解説しています。
司法書士試験合格に必要な勉強時間とは?社会人・独学で合格できるかも解説
行政書士試験合格に必要な勉強時間とは?目安や平均・最短合格のポイントについて解説
【500時間必要?】宅建試験の合格に必要な勉強時間について徹底解説!

 

3.実務上のメリットは?組み合わせ別に解説

トリプルライセンスを取得し、複数の資格を組み合わせて仕事を進めていくことで、実務上も様々なシーンで活用することができます。

ここでは、「行政書士と司法書士」、「行政書士と宅建士」、「司法書士と宅建士」の組み合わせごとに、実務上、どのようなメリットがあるのかを見ていきます。

 

3-1.行政書士×司法書士

行政書士と司法書士の組み合わせは、会社設立などの場面で大きな力を発揮します。

例えば、飲食店を開業するケースで考えてみましょう。

営業を開始するためには、行政機関に対する様々な許認可申請が必要になります。

これらの申請は行政書士の独占業務となっています。

一方、許認可を取得した後に法人を立ち上げる場合、必ず、法人登記が必要になります。

法人登記は、司法書士の独占業務です。

複数の資格を保有することで、開業から法人設立まで一貫したサービスを提供できるのが「行政書士×司法書士」の強みだといえるでしょう。

※司法書士と行政書士の違いの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
「司法書士と行政書士の違いとは?仕事内容や難易度・ダブルライセンスのメリットとは?」

 

 

3-2.行政書士×宅建士

「行政書士×宅建士」の組み合わせも、実務上大きな意味を持ちます。

行政書士の業務の中には、宅建士の専門知識が必要となる場面が数多く存在するからです。

例えば、営業許可申請を例に考えてみましょう。

営業許可申請がスムーズに許可されるかどうかは、テナントとして利用する建物の構造によって変わってくるケースが多いです。

事前にそれを的確に判断するためには、宅建士の専門知識が大いに役立ちます。

行政書士として働く上で、宅建士の知識を併せ持つことは、強力なアドバンテージになるでしょう。

 

3-3.司法書士×宅建士

宅建士として不動産取引に精通していることは、司法書士の業務においても、大きな力を発揮します。

例えば、司法書士の独占業務となっている登記業務。

特に不動産に関わる登記は、司法書士と切っても切れない関係にあるメイン業務ですが、正確な登記手続きを行うためには、不動産に関する知識が欠かせません。

一方で、司法書士試験では、「不動産登記法」などの関係法令は学習するものの、不動産取引に関する専門知識を学習する機会は、限られています。

宅建士として、不動産取引にも精通することで、より正確かつスムーズに、不動産登記の業務を行うことができるようになります。

不動産取引から登記手続きまで、トータルでサポートすることで、クライアントからも厚い信頼を得ることができるでしょう。

 

4.【Q&A】トリプルライセンスに関するよくある質問

 

4-1.どの資格から優先的に取得するべき?

司法書士、行政書士、宅建士で、それぞれ専門領域が異なっているため、一概に優先順位を決めることはできません。

自分の目指す将来像を踏まえて判断することがおすすめです。

ただし、勉強効率だけを考えると、「宅建→行政書士→司法書士」の順番に、学習を進めていくケースが多いです。

比較的短時間で合格しやすい「宅建士試験」から受験し、「行政書士試験」「司法書士試験」と進めていくことで、スムーズに勉強を進めることができるでしょう。

 

4-2.「司法書士 」「行政書士」「 宅建士」の他に相性の良い資格はある?

例えば、「社労士」や「海事代理士」等の資格を目指す人もいます。

どちらの資格も、それぞれ異なった専門領域を有しているため、取得することで取り扱える業務の幅が一段と広くなります。

自分のキャリア設計に応じて、必要な資格を取得するとよいでしょう。

※海事代理士の仕事の詳細については、下記の動画で詳しく解説しています。
「2024年 海事代理士の仕事とは?&講座の活用法」

 

5.まとめ

​​この記事では、
 ◉ トリプルライセンスを取得するメリット
 ◉ それぞれの試験の難易度
 ◉ 実務での活用方法

についてお伝えしました。

一見するとハードルが高そうに感じる「トリプルライセンス」ですが、実は非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢です。

1つの試験で学んだ内容を横展開し、取り扱える業務の幅を広げていくことができれば、法律家として、将来にわたって活躍し続けることができるでしょう。

確かに、司法書士、行政書士、宅建士のトリプルライセンスを取得するのは簡単なことではありません。それぞれの試験に合格するには、相当の努力と覚悟が必要です。

しかし、だからこそ得られるメリットが大きいことは間違いありません。

限られた勉強時間で、効率的に「トリプルライセンス」の取得を目指したい方は、ぜひ法律専門受験指導校である伊藤塾をご活用ください。

伊藤塾では、それぞれの試験対策講座で、学習経験に応じた複数のコースをご用意しています。トリプルライセンスに興味を持たれた方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。

伊藤塾が、皆さんの挑戦を全力でサポートいたします。

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著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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