中小企業診断士の平均年収は?中央値や年収1,000万以上の秘訣も徹底解説

経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士。近年、リスキリングやキャリアアップの資格としても人気が高まっています。
一方で、「中小企業診断士は稼げない」と言われることもあり、実際にどれくらい稼げるか気になっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では以下のような悩みを解決します。
「中小企業診断士の年収の平均や中央値は?」
「中小企業診断士って稼げる?どんな仕事があるの?」
「独立や副業でどのように活躍できる?」
「中小企業診断士で年収1000万円は可能?高年収を実現するためのコツは?」
資格取得後の活動をイメージしたい人や、中小企業診断士に挑戦しようか迷っている人は、ぜひ最後までご一読ください。
【目次】
1.中小企業診断士の平均年収は947.6万円?中央値は?
2.年収1,000万円以上の中小企業診断士の特徴は?
2-1.中小企業診断士として独立開業している
2-2.専門分野やサービス内容が明確
2-3.公的業務ではなく民間業務(民間契約)が多い
3.中小企業診断士の仕事は?副業でも大丈夫?
3-1.中小企業診断士の仕事は「診る・書く・話す」
3-2.中小企業診断士は副業でも活躍できる?
4.中小企業診断士に関するよくある質問
4-1.そもそも中小企業診断士とは?
4-2.社労士などのダブルライセンスはオススメ?
4-3.中小企業診断士になるためには?
5.まとめ
1.中小企業診断士の平均年収は947.6万円?中央値は?
厚生労働省によると、賃金構造基本統計調査(令和5年)を元に算出した中小企業診断士を含む「その他の経営・金融・保険の専門的職業」の平均年収は947.6万円です。これには中小企業診断士以外の経営コンサルタントなども含まれています。
出典:厚生労働省 job tag 職業情報提供サイト(日本版O-NET) 中小企業診断士
令和4年の給与所得者の平均給与は457万円であることを考えると、中小企業診断士の年収は、サラリーマンの平均よりも高いと考えられます。
出典:令和4年分民間給与実態統計調査結果
また、一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会が調査した「中小企業診断士活動状況アンケート調査 結果について」によると、コンサルティング業務を年間100日以上行っている診断士の年間売上(または年収)は以下の通りです。
年間売上 (または年収) | 回答数 | 構成比 割合 |
300万円以内 | 83 | 14.3% |
301~400万円 | 51 | 8.8% |
401~500万円 | 58 | 10.0% |
501~800万円 | 124 | 21.4% |
801~1,000万円 | 66 | 11.4% |
1,001~1,500万円 | 89 | 15.4% |
1,501~2,000万円 | 39 | 6.7% |
2,001~2,500万円 | 25 | 4.3% |
2,501~3,000万円 | 16 | 2.8% |
3,001万円以上 | 28 | 4.8% |
合計 | 579 | 100% |
中小企業診断士の年間売上(または年収)は「501〜800万円」の割合が最も高く、21.4%を占めます。続いて「1,001〜1,500万円」が15.4%となっています。この表より、中小企業診断士の年間売上(または年収)の中央値は「501〜800万円」であることがわかります。
また、回答者を大きく3つのグループに分けると、「500万円以下」が33.2%、「501〜1,000万円」が32.8%、「1,001万円以上」が34.0%となります。
回答者の3人に1人は年間売上(または年収)が「1,001万円以上」であることから、中小企業診断士は年収1,000万円を目指せる資格だといってよいでしょう。さらに、年間売上(または年収)を「3,001万円以上」と回答した割合は4.8%であり、中小企業診断士は、実力次第で年収3,000万円も可能であると考えられます。
ただし、本アンケートの回答項目は「年間売上または年収」となっていることから、実際に年収ベースで3,000万円を達成している割合は4.8%より低いことが考えられます。加えて、年間売上(または年収)が「300万円以内」と回答した割合は14.3%となっていることから、個人によって売上や年収が大きく異なっていることもわかります。
2.年収1,000万円以上の中小企業診断士の特徴は?
中小企業診断士の収入は個人差がありますが、高収入の中小企業診断士はどのような特徴があるのでしょうか。ここでは一般的に高収入とされる年収1,000万円以上の中小企業診断士の特徴について紹介します。
2-1.中小企業診断士として独立開業している
中小企業診断士として年収1,000万円以上を目指すのであれば、独立開業することが一般的です。会社員は解雇されるリスクは低いですが、給与も安定的です。一方で、独立した場合は仕事を受注できないリスクはありますが、その分報酬も高くなりやすい傾向にあります。
中小企業診断士として年収1,000万円以上を目指したいのであれば、独立することは必要でしょう。
2-2.専門分野やサービス内容が明確
中小企業診断士は税理士や社労士のような独占業務がありません。そのため、中小企業診断士がそれぞれ異なる領域でサービスを提供しています。例えば、金融機関出身の中小企業診断士が財務コンサルタントとして、融資や資金繰りの相談サービスを提供していくなど高収入を実現するためには、専門分野や提供するサービスが明確であることが大切です。
日本中小企業診断士協会連合会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査 結果について」によると中小企業診断士が回答した得意な分野は下図の通りです。
「経営企画・戦略立案」が23%、「財務」が13%、「販売・マーケティング」が12%となっています。
※日本中小企業診断士協会連合会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査 結果について」を元に作成
現時点では「専門分野を持っていない」という人も、専門分野を作っていくことが大切です。日本中小企業診断士協会連合会をはじめとして、多くの中小企業診断士の団体では「研究会」というものが存在します。マーケティングや事業承継のようにテーマごとに研究会が分かれており、実際の中小企業支援の事例などを通じて知識のインプットやノウハウを習得することができます。
このような活動を通じて、専門分野の知識を磨いていくことが中小企業診断士として成功するためには必要です。
2-3.公的業務ではなく民間業務(民間契約)が多い
中小企業診断士の仕事は、地方自治体や商工会議所のような公的機関から依頼される公的業務と、企業と直接契約を交わすような民間業務(民間契約)があります。公的業務では仕事が安定的にある一方で、報酬は民間業務よりも低い傾向にあります。
以下の表は、中小企業診断士の業務の平均的な報酬額を示したものです。「売上のうち公的業務の割合がかなり高い」と回答した中小企業診断士と、「売上のうち民間業務の割合がかなり高い」と回答した中小企業診断士に分けて集計されています。
業務内容 | 売上のうち公的業務の 割合がかなり高い | 売上のうち民間業務の 割合がかなり高い |
診断業務 | 37.7千円/日 | 98.3千円/日 |
経営支援業務 | 37.5千円/日 | 112.5千円/日 |
調査研究業務 | 53.6千円/日 | 89.7千円/日 |
講演 教育訓練業務 | 48.1千円/日 | 119.0千円/日 |
執筆業務 | 7.8千円/400文字 | 6.4千円/400文字 |
その他 | 29.5千円/日 | 61.0千円/日 |
出典:日本中小企業診断士協会連合会 中小企業診断士活動状況アンケート調査 結果について
上記の表から、ほとんどの業務で公的業務よりも民間業務の方が報酬額が高いことが分かります。公的業務は主に税金を元にした資金で運営されているため、報酬額が相対的に低くなる傾向があります。
一方で、民間業務は中小企業診断士と企業の間で自由に報酬を設定できるため、企業側が納得するようなサービスを提案できれば、高い報酬が見込めます。したがって、高収入を実現している中小企業診断士は民間業務を多く受注している傾向にあると言えるでしょう。
3.中小企業診断士の仕事は?副業でも大丈夫?
中小企業診断士ができる仕事は多岐に渡りますが、具体的にはどのような仕事があるのでしょうか。ここでは主な業務内容や副業でも取り組みやすい仕事についてご紹介します。
3-1.中小企業診断士の仕事は「診る・書く・話す」
中小企業診断士の仕事は主に「診る・書く・話す」があります。
「診る」は企業診断や経営支援などです。例えば、社長や従業員からヒアリングを行い、企業の現状を把握し、問題点の指摘や経営改善のアドバイスをする業務などです。
「書く」は本や記事などの執筆活動です。専門分野での執筆やインタビュー記事の作成などがあります。「話す」はセミナー開催や講師などです。商工会議所などで開催するセミナー登壇や、企業に訪問して研修講師として活動することが挙げられます。
3-2.中小企業診断士は副業でも活躍できる?
日本中小企業診断士協会連合会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査 結果について」によると、独立せずに民間企業や公的機関で働いている「企業内診断士」の割合は46.4%となっています。
独立している中小企業診断士と比較すると、企業内診断士は平日の昼間に稼働しづらいというデメリットがあります。一方で、執筆業務のように、働く時間や場所を選ばない仕事は副業と相性が良く、企業内診断士でも活躍できます。また、近年はZoomやTeamsのようなビデオ通話アプリを活用して、平日の夜や週末に経営相談業務を行う企業内診断士も増えており、活躍の幅は広がっています。
4.中小企業診断士に関するよくある質問
4-1.そもそも中小企業診断士とは?
中小企業診断士は中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。中小企業支援法に基づき、経済産業大臣が登録します。
経営コンサルタントの唯一の国家資格とされており、資格取得を通じて経営に関する広い知識を身につけることができます。独立するだけでなく、社内でのキャリアアップや経営企画部への異動を目的として取得する人もいます。
4-2.社労士などのダブルライセンスはオススメ?
日本中小企業診断士協会連合会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査 結果について」によると、中小企業診断士が保有する他の資格及びその回答割合として、「社会保険労務士(社労士):7.7%」、「行政書士:7.4%」「税理士:3.1%」となっています。
既に中小企業診断士以外の士業資格を持っている場合でも、中小企業診断士の取得はオススメです。中小企業診断士の取得を通じて、中小企業の経営に関する理解が深まり、提供するサービス品質や営業力の向上が期待できます。
例えば、社労士は独占業務として助成金の申請があります。また、中小企業診断士は補助金申請で必要となる事業計画の策定が得意です。ダブルライセンスを取ることによって、顧客に対して、助成金と補助金をセットで提案することができるなど、コンサルの幅を広げることができます。
4-3.中小企業診断士になるためには?
中小企業診断士になるためには、中小企業診断士試験に合格する必要があります。中小企業診断士試験は1次試験と2次試験があります。学習時間はおよそ1,000時間が目安とされていますが、もし試験科目に関連する知識を既に持っている場合は、短期間で合格を目指せるかもしれません。
※中小企業診断士試験の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→中小企業診断士試験とは?日程・科目・受験資格など試験内容を分かりやすく解説!
5.まとめ
最後に、今回の記事の要点をまとめます。
◉中小企業診断士の年収の中央値は501万円〜800万円
◉中小企業診断士は年収1,000万円以上を目指すことができる
◉中小企業診断士の仕事は主に「診る・書く・話す」
◉年収1,000万円を目指すのであれば、独立開業することが必要
◉高年収を実現するためには専門分野やサービス内容を明確にすることが大切
◉公的業務よりも民間業務の方が報酬が高い傾向にある
◉執筆業務やビデオ通話アプリを活用した経営相談なら副業でも活躍しやすい
中小企業診断士は活躍の幅が広い資格で、高収入を目指せる資格です。一方で、中小企業診断士の学習内容は難しく、勉強時間が多く必要となります。
そこで、いかに効率の良い学習を行えるかが、中小企業診断士試験合格のカギを握っています。
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著者:伊藤塾 中小企業診断士試験科
伊藤塾中小企業診断士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、中小企業診断士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。