第20回 司法試験第七科目

先日、別冊宝島「この資格をねらえ」におもしろいことが載っていると知人から知らされました。そこには「司法試験受験界の4大学校の受験生によるとLは自習室、Wは本屋、I は宗教、Tは養老院」とあるそうです。なるほどと感心しながらもやはりこのI は宗教というのがちょっとひっかかりました。他にもたまに「あそこはあやしい」という声も聞くことがあります。「やればできる」とか、「無限の能力を確信しろ」とかがどうもうさんくさいらしいのです。そういえば前回の雑感でも死とか魂とか言ってしまいました。まあ、いろいろな考え方の人がいてこの世の中は進歩するのだし、評判になること自体はうれしいことです。そして、憲法を勉強している皆さんなら宗教の本質が絶対性にあることやそれが私の考え方とは全く逆であるということは理解しているでしょう。しかし、ひょっとして、心配になる人もいるかもしれませんので少し弁解させてもらいます。
最近、択一の過去問を解いては模試を受ける毎日がいやになってしまう人はいませんか。論文過去問の答案構成をしては覚えての繰り返しが単調で投げ出したくなる人はいませんか。司法試験の勉強って、もっとダイナミックで知的な刺激があって興奮するものだったはずなのになぜか、ワクワク、どきどきしない。そんな人いませんか。
また、いつも本試験であがってしまうので不安だという人は?こんなときに何が必要か、それは基本書でもなければ判例百選でもない。自分自身をコントロールするノウ・ハウです。
どんなことにも地道にやらなければいけない時期はあるものです。こつこつと一歩一歩進まなければいけない時があるのです。この試験は始めるのは簡単ですが続けるのは大変です。そして本番で自分のもてる力を最大限発揮する。これができれば合格します。自分をコントロールして目標にうまく自分自身を誘導する技術が必要なのです。部分的な病気を治してもそのための薬の副作用でまた新しいところが具合悪くなるように、勉強面だけ鍛えてもだめなのです。心と健康もセットでコントロールすることが必要なのです。このように司法試験合格も自分を人間全体として見ていくトータルマネージメントの発想が不可欠と考えています。合格だけが目標じゃない、その後のことを考えようというのもそこから来ています。明日の法律家講座もモチベーションの強化というセルフマネージメントの基本を実践するためのものです。つまり実はもっとも合格に直結する講座なのです。これは、私の15年の受験指導経験からくる確信です。それは、宗教のように救いを求めるのでなく、自分の能力を確信して自分の力を出し切れれば合格するのであって、私はその助けをしているだけのことなのです。知識や技術で一定のレベルまで到達したらあとは心のトレーニングしかない。これはスポーツを含めて勝負の世界では常識だし合理的に考えて誰でも理解できることだと思います。
徹底した合理性と人間の無限の可能性の確信は十分に両立します。そして、人間の本当の強さは心の強さにある、自分の人生観、世界観を確立して自分の道を切り開いていける心の強靭さにあると信じています。 皆さんの将来に期待しています。

伊藤 真
司法試験・公務員試験対策の「伊藤塾」塾長・伊藤真の連載コーナーです。
メールマガジン「伊藤塾通信」で発信しています。
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