真の法律家・行政官を育成する「伊藤塾」

カテゴリー:2016年

2016年

第256回 未来志向

恥ずかしい歴史を持つことよりも、恥ずかしい歴史を否定したり、忘れてしまうことの方がよほど恥ずかしいことです。他方で、忘却や歴史の歪曲に抗い、大義のために闘い続けることは、大変な勇気がいるし困難を伴うものです。だからこそ、それを乗り越えた国は、誇りと威信を取り戻すことができ、「国際社会で名誉ある地位を占める」ことができるのだと思います。未来志向の本当の意味を知ることができる作品が年明けに公開されます。「アイヒマンを追え!」というドイツ映画です。

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2016.12.02

2016年

第255回 おまえがガンバれよ

7月10日参議院選挙の無効を求める1人1票実現訴訟の高裁判決が全国で続いています。少なくとも最高裁大法廷判決の趣旨にそった判決が出ると思っていたものですから、東京高裁での合憲判決には驚きました。裁判所の判断のところで、憲法の条文が一切出てこないものでした。正確には、46条という参議院の任期に関する条文だけ引用されていましたが、私たちは任期など争っていませんからほとんど意味のない引用です。憲法の条文解釈は全くなされてない判決でした。国会の判断を追認するだけのものであり、塾生の皆さんに条文解釈が重要だと言っている立場からはとても評価できるような代物ではありませんでした。

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2016.11.01

2016年

第254回 覚悟

先日、司法試験合格祝賀会がありました。伊藤塾開塾前の私の講義から勉強を始め、ずっと塾生でいてくれた人がいました。5年めの最後のチャンスで合格した人もいます。一度就職し働きながら合格した人も何人もいます。伊藤塾には短期合格者も多いですが、こうして「ゆっくりいそげ」を心に、自らの道を切り拓いてきた塾生が大勢います。皆さん、「やればできる必ずできる」「最後まで絶対に諦めない」を実証してくれました。

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2016.10.04

2016年

第253回 オリンピック

9月の臨時国会における憲法審査会では、憲法改正論議が進むようです。ですが、改憲勢力が各院で3分の2を占めたことにより、憲法改正の可能性が出てきたとの報道には違和感があります。国会で行うべき憲法改正の論議は、それぞれの議員や政党が自分たちの理想とする憲法をサロン談義のように言い合うことではありません。あくまでも、現行憲法のどの条文がどのような理由から不都合なのか、それをどう変えなければならないのかを具体的に論議しなければなりません。

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2016.09.02

2016年

第252回 命の価値

自民党の改憲草案は、個人の尊重を否定しています(13条)。かけがえのない個人として尊重することを否定するということは、個人を取り替えがきく道具のように使うことを肯定し、何かの役に立たない人間の尊厳を尊重しなくてもいいという考えにつながります。

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2016.08.01

2016年

第251回 選択

試験では様々な選択を迫られます。試験の最中も発表後にも選択が必要になります。人生は選択の連続です。試験での選択は気合いでなんとかする人もいますが、人生の選択はそうはいきません。憲法は幸福追求権という人権を保障しますが、これは幸福の中身は各自がそれぞれ自分で決めること、その自分が決めた幸福を追求する過程を人権として最大限保障するという意味です。

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2016.07.01

2016年

第250回 憲法と政治

皆さんに一冊の本を紹介したいと思います。学習院大学の青井未帆教授が著した「憲法と政治」(岩波新書)です。毎日のように憲法関連の書籍に目を通しているとある種の慣れに感覚が麻痺してくることがあります。この本はそんな私の心を揺さぶり、改めて憲法と共に前に進む勇気を与えてくれました。

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2016.06.03

2016年

第249回 過去・現在・未来

熊本の震災に対して何ができるか。5年前の東日本大震災のときもそうでしたが、受験生として何もできないもどかしさを感じる人もいることでしょう。しかし、こういうときには普段通りに過ごすことが最も重要です。法律家、公務員として社会に貢献するという志を立てたのですから、それを実現するために全力を尽くす。そして力をつけて、被災者救援、災害対策のために尽力すればいいのです。

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2016.05.03

2016年

第248回 安保法制違憲訴訟

安保法制が3月29日に施行されました。この安保法制には実に多くの市民が全国各地から反対の声をあげ、圧倒的多数の憲法学者をはじめとして元最高裁長官や元内閣法制局長官までもが憲法違反と批判しました。またこれを審議した国会運営が民主主義の実体を欠くものであったことは、国会中継で目の当たりにしたとおりです。

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2016.04.01

2016年

第247回 不安に克つ

予定されている安保法制の施行に先立ち、官邸から、緊急権条項を憲法の明文に加える改憲の動きが出てきています。大災害の不安、周辺諸国からの侵略の不安、テロの不安を指摘しながら、憲法に緊急権条項は必要だというのです。確かに私たちは常に不安と隣り合わせで日々を過ごしています。突然の交通事故や自然災害の被害に遭うかもしれません。不安です。こんなに必死に勉強しても必ず合格する保障などないのですから、勉強を始めること自体不安です。

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2016.03.01

2016年

第246回 怒りの矛先

人はさまざまな怒りを持ちますが、その対象や解消の仕方は人それぞれです。芸能人のスキャンダルに怒る人もいれば政治家に怒る人もいます。その後始末の仕方に納得できず怒り続ける人もいます。その怒りも特定の個人や団体に向けられることもあれば、社会一般に対して漠然とした怒りを感じるという人もいるようです。

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2016.02.01

2016年

第245回 謹賀新年

「日本に、本当に地方自治や民主主義は存在しているのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常といえるのでしょうか。国民の皆さますべてに問いかけたいと思います。沖縄、そして日本の未来を切り開く判断をお願いします。」これは昨年12月2日代執行訴訟口頭弁論での翁長雄志沖縄県知事の意見陳述の最終部分です。

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2016.01.01

伊藤真塾長

伊藤 真

伊藤塾 塾長

司法試験・公務員試験対策の「伊藤塾」塾長・伊藤真の連載コーナーです。
メールマガジン「伊藤塾通信」で発信しています。